進化
数日後、オレは表彰されていた。
雪の中、おばあさんの荷物を持ち、目的地まで運んであげたから。
そんなこと、普通じゃね⁉︎って思ったが、表彰してくれるなら、まぁ…いいか。
ありがたく賞状をいただいた。
オレは、その日大さじ一くらいの人気だった。
そして、なぜか愛依がオレをじっとみてくる。
「愛依、そんなに賞状欲しいのか?なら、名前かきかえてやろうか?」
…
愛依は、また鼻でフッと笑って
「それはいらない。ただ、ありがとうね」
と笑った。
ん?
なにがありがとう?
「えっ、やっぱめっちゃ賞状欲しい?」
「違うよ。」
それから数日後、今度はオレがくしゃみ連発して、愛依がティッシュをくれた。
あ…これって…
「前のティッシュまだ持ってたの?」
「ううん、おばあちゃんがくれたの」
…
へぇ。
オレがおばあさんからもらったティッシュと同じだった。
偶然かな?なんて思ったら、
「柚木也が助けたおばあさんって、実はわたしのおばあちゃんなの。」
なんていうやん。
「そうなの⁉︎」
「うん。ほんとうは次の日おばあちゃんうちにくる予定だったんだけど、雪で電車とまるかなって思って、早めにきたんだって」
「ふーん」
…
「ねぇ、柚木也…」
「なに?」
「ううん、やっぱりなんでもない」
——
よくわからなかったが、そのままオレは中学を卒業した。
それからオレは、少し大人になった。
だって、バイトもしてるし電車通学だし。
まぁ、一番成長を感じているのは、バイトだ。
大人に混じりその場その場での対応。
なかなか頭の回転が良くないと、お客さんが怒り出す可能性もある。
だから、瞬時に対応しないと命とりだ。
そんな過酷な大人子どものハーフなオレたちに、試練がやってきた。
なぜか、カフェの隅で怒り狂うおじさん。
接客していたのは、愛依。
そう、オレたちは偶然バイト先が一緒のカフェなんです。
オレは、愛依とおじさんに駆け寄った。
「お客様、いかがなされましたか?」
「ゴニョゴニョペラペラ」
ほうほう。
オレは、すぐさまお詫びして対応したら、おじさんが落ち着いた。
そもそもおじさんは、何を言っていたかわからない。
しかし、ジェスチャーでなんとか理解した。
無事ことなきことを終えた。
なんなら、おじさんから笑みが溢れた。
こちらがきちんと対応して、笑顔を向けると、おじさんも自然と心がほころんだのだろう。
よかった。
愛依が、ありがとうとジェスチャーしたので、オレは軽くうなずいた。
バイト終わり、珍しく愛依が一緒に帰らない?と誘ってきた。
珍しい。
とりあえず
「「おつかれー」」
と挨拶を交わし二人並んで歩き出した。
「ねぇ、柚木也…今日はありがとう」
「あぁ、たいしたことないよ」
「こわくなかった?」
「ううん、全然」
…
愛依が黙った。
強がりやがってって思われたんかな…
「あのさ、」
強がんなって言われる?
まあ、別にいいけど。
「あの…」
「なに?」
「わたし…好きなタイプ、昔聞かれたでしょ。」
「あぁ、うるさいくらいいっぱいあったよな」
「うん。でもね、一つになったの」
「ふーん」
たぶん彼氏ができたのだろう。
「柚木也」
「え?」
「好きなタイプ、柚木也」
…
ちょっとなにを言っているのか、わからない。
「え?」
「わたし、幼馴染失格だよね。柚木也のこと、全然わかってなかったな。ごめんね」
「ううん、オレが秘密主義だったのが悪い。」
「あはは、秘密主義とか普通言う?」
「言うだろ。てか、ありがとうな」
「なんで?あのときフッてくれたから、こんな女と付き合うことなく平和に暮らしてるってこと?」
「んなわけないだろ。あのときフッてくれてオレは、かわることができた。」
「かわらないよ、柚木也はずっと優しかったんだよ。」
「…ありがとう。オレは、愛依が幼馴染でよかった」
「そう?わたしは、よくないよ?」
「なんで⁉︎なんかやっぱり迷惑かけてた⁉︎」
「ううん、幼馴染どまりじゃイヤってこと」
「え、てことは…愛依さん、こんなオレだけど、お付き合いしていただけますか?」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
以前とは、全く違う告白。
そして、ちょびっと大人風味なオレは少し成長して、ほんとうに大切におもえる人と出会えて、これからも色々学んで歩んでいく。
二人で子どもと大人のハーフから、大人に進化できるといいな。
おしまい♡




