29:魔法少女(ゆうき視点)
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朝霧 有紀
種族:人間
性別:女
年齢:15
Lv:6
HP:95
MP:270
筋力 :19(+5)
器用さ:41(+10)
知性 :70(+20)
俊敏性:20(+15)
耐久性:12(+5)
魔力 :50(+50)
魅力 :180(+100)
運 :40(+10)
第一職業:
第二職業:
第三職業:
技能:
称号:《異世界人》《転性者》
装備:服
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暫しの混乱の後、多少なりとも落ち着きを取り戻した僕が自分のステータスを表示させた結果、この様な記述が目の中に飛び込んできた。
あれ? と思ったのは性別と年齢。
「男?」と疑問形だったのが「女」と断言する形に変更されている。
そして年齢が一つ若返っていて……。
これってもう全くの別人って事だよね?
それで……「転性者」とは何ぞ??
うん、まあ、ニュアンス的には分かるけどもさぁ……。
「そう言えばまだお名前聞いてなかったわね、貴女のお名前は?」
人心地ついたところで瑠璃色髪のルリさんが尋ね掛けてきた。
なので僕が有紀ですと答えると、彼女は「じゃあユウキちゃん、よろしくね♪」なんてめっちゃ良い笑顔で曰う。
僕の身体をこんなにしておいて反省の色なんて欠片ほども見えない。
「それでユウキちゃん、何があったのか教えてくれないかしら?」
「えっと――」
ルリさんが急に真顔になったものだから僕も真面目になって、これまで起きた事を掻い摘まんで話した。
僕が相良君たちの召喚に巻き込まれてこの世界へとやって来たことも踏まえて、無能だからと追い出されたこと、この一週間でギルドのお仕事を頑張ったこと。今朝になって王都の方から爆発音があって、魔王軍の襲来と予測した僕は一目散に逃げ出したこと。
話している間に悔しい気持ちが込み上げてきて、最後の方は意図せず涙声になっていた。
「そう、そんなことが……」
ルリさんは時折相づちを打つくらいで僕の話を遮らなかった。
この世界がゲームと酷似した、もしくはそのままゲーム世界の中かも知れないなんて突拍子も無い話であっても茶々を入れる事もしない。
後になって思うに、僕はどうして出会って間も無い彼女にそんな所まで話してしまったのか、自分でも良く分からなかった。
「けれど大凡の経緯は分かったわ。……そうね、私が直接出向いていっても良いのだけれど、折角だし、ユウキちゃんがやってみなさいよ」
「え、でも……」
この人は何を言っていやがるのでしょうか。
僕は町の女性と比べても同じか劣っているくらい非力で、しかも今はか弱い女の子になってしまっている。
そんな僕に一体どれ程のことが出来るというのか。
なのにルリさんは物凄く楽しそうな顔で告げた。
「ねえ、貴女、私と契約して魔法少女になりなさいよ」
「えっと、どういう……」
全くワケが分からないよ。
剣と魔法のファンタジーゲームの世界で魔法少女って、明らかにジャンルが違うじゃあないか。
なのにこの魔法使い様、いけしゃあしゃあと曰いやがった。
「私は死んでしまった貴女を蘇生させるために既に契約の名の下に魂を繋げているの。この状態から更に契約更新することで貴女を魔法少女にする事が出来る。具体的に言えば貴女自身の魂を触媒にして宇宙から途方も無い力を引っ張ってくる。原理的には神聖魔法に近い形になるけれど、詠唱も祈りも必要とせずに神の力を振るえるようになるというのは、物凄いことよ?」
説明は正直よく分からない。
けれど何かを犠牲にする必要は無さそうだった。
「そうしたら、相良君達を救うことができますか?」
胸の奥で魚の小骨のように引っ掛かっている後悔の念。
勇者達は抗う事の出来ない死に直面しているというのに、僕一人だけ逃げ出した格好になっているのは、スッキリしない。
そりゃあ、勝手に召喚に巻き込んでおいて無能だからと放り出した王女の子飼いと呼ばわってもそれはそれで間違いでは無いのだけれど。
でも彼らだって望んでそうなったワケでは無いのだし、せめて四人には生き残るチャンスが与えられるべきだと思うんだ。
そんな事を考える僕はお人好しを通り越して単なるバカなのかも知れない。
でも、それでも僕は、救える命があるというのなら手を差し伸べたいと思ってしまったんだ。
「ええ、魔法少女になれば他の誰かを救う事なんて簡単よ。だって、言うなればそれは神の奇跡そのものなのだから」
「わかり……ました。僕を、魔法少女にして下さい!」
僕は決意してルリさんを見据えた。
彼女は優しく微笑んで手を差し出す。
白くて繊細そうな指先。
そこへ僕は自分の指を重ね合わせた。
「じゃあ始めるわね。――貴女に永遠の祝福を、そして神をも砕く力を」
キィィィィン。
何処かで甲高い音色が響き始める。
視界が光に包まれる。
やがて耳の奥で轟音が鳴り、全身が沸騰したように熱くなる。
光の中で僕の中の何かが造り替えられていくのが分かった。
恐ろしいのに快感と幸福感に満たされていく。
もう止めてと拒みたいのに濁流に押し流される意識では叶わない。
「あぁ……」
やがて光が収まっていき、全身が弛緩したようにクタリと崩れ落ちる。
「契約は更新されたわ。おめでとう、貴女はたった今から魔法少女よ」
ルリさんが告げるのを耳にして、そして意識がフッと立ち消えた。
「んっ……」
やがて気絶から快復したボクは、ゆっくり立ち上がると自分のステータスをもう一度開く。
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朝霧 有紀
種族:人間
性別:女
年齢:15
Lv:6
HP:95(+2,500)
MP:270(+50,000)
筋力 :19(+250)
器用さ:41(+100)
知性 :70(+300)
俊敏性:20(+450)
耐久性:12(+250)
魔力 :50(+900)
魅力 :180(+1,500)
運 :40(+30)
第一職業:神の眷属
第二職業:
第三職業:
技能:水神の寵愛
称号:《異世界人》《転性者》《魔法少女》
装備:服
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補正値がとんでもないことになっていた。
魅力が天元突破しているのは何故だろうとは思ったけど、敢えて考えないようにする。
技能に出現した“水神の寵愛”とは何だろう。
というか魔法少女ってのは称号で、職業としては“神の眷属”ってことになるのか。
何だかとても良い気分だ。
言葉に仕切れないほど爽快で清々しい、生まれ変わった気分だった。
「あら、属性は水なのね。だったら炎系の攻撃に対しては耐性が半分くらいまで落ち込むから気をつけなさいね」
「はい、ルリさん」
瑠璃色髪の魔法使い様は、装甲板に覆われた機械の杖の柄で地面を突くとニヤリと笑んだ。
「じゃあお征きなさい。貴女はもう手を差し伸べる側なのだから」
「はいっ!」
ボクは我が身を見下ろして身に付けていた衣装が替わっていることを確認すると足に力を込めて大きく跳躍した。
単にジャンプしただけなのに、十メートル以上も飛び上がっている。
なのにそんな自分を全く疑問に思わない。
ボクに出来ない事なんて無いのだと、本能が囁いているから。
「来いっ!」
短く叫ぶと足下から水が湧いて出てきて、それは龍の形を成した。
ボクがその上に着地すると龍の目がキラリと光を帯びて、そのまんまの格好で王都めがけて一直線に飛んでいく。
衣装は水色のドレス。手には蒼い槍を携えている。
ボクはこんな非現実的な姿になっていても、当たり前の事ように受け入れていた。




