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第十三話

「“勇者の血”についてようやく我が国でも研究が認められましてね。過去にあの薬を利用した者は殆どが()()()()()いたらしいです」


 最早、人の姿とは別の異形の姿に変わり果てたロバートの亡骸を指して、アルフォンス様はそんなことを口にします。

 それじゃ、“勇者の血”というものはまるで化物を生み出す薬ではありませんか。


「そもそもは有事の際にデルバニア王国に忠実な屈強な戦士を作るための霊薬だったとか。しかし、副作用によって理性を失って暴れ出す者が後を絶たなくなってしまい、封印したとのことです」


「それをアイリーンが持ち出して、ロバートに飲ませたと。こうなることを知っていて……」


「そうですね。異形にならなかった例外が王家の血を引く者と“勇者の血”を得た者の混血児の血を得た者のみだったらしいです。恐らくアナはそのために――」


 アルフォンス様によるとロバートのように“勇者の血”を飲んでも無事だった者の例外こそアナスタシアのような出自の者の血を得た人間だけだったそうです。

 だからこそ、アイリーンとロバートはアナスタシアを手に入れようとしたのだということみたいです。


「もっとも、赤ん坊では血の量や力の大きさは足りず……ある程度成長するまで待たないとならなかった。この時期まで音沙汰無かったのはそんな理由でしょう」


 だから私に逃亡中に邪魔になったアナスタシアを押し付けるような真似をしたのですね。

 ところで、アルフォンス様はどうしてこのタイミングでここに――?

 

 従者を引き連れて、私の元に駆けつけたことには何か理由があるのでしょうか……。

 アナの頭を撫でている彼を見ながらふと私の頭に疑問が湧き上がりました。


「あの、アルフォンス様。次にこちらに来られるのはもう少し先だと聞いていたのですが」


「ええ、その予定だったのですが……こちらもアイリーンとロバートの行方を探っていましたので。もっと早く駆けつけられればエリスさんやアナも危ない目に遭わずに済んだのですが」


「それでは私たちを助けるためにわざわざ来られたということですか?」


「もちろん、それもあります。しかし、もっと大事なことはアナの出自がデルバニア国王にも知れたということですね」


「……っ!?」


 アルフォンス様は全てを見通したように私とアナスタシアの顔をご覧になって、優しく微笑みました。まるで私がアナスタシアのために何を考えているのかをご存知のように。

 私はアルフォンス様を頼るつもりでいました。

 国王陛下に裏切り者だと糾弾されようとも、両親に迷惑をかけようとも……。

 

「大丈夫ですよ。心配なさらずとも。私が話をつけますから」


 アルフォンス様は力強く自分が国王陛下と話をつけてくれると約束してくれました。

 そんなに簡単に話がつくとも思えませんが、自信がありそうな彼の顔を見ると不思議と安心します。


 アルフォンス様を信じてみよう。私はそう決断しました――。

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