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1-27 対ドラゴン①


 ※※※※※※


 ほとんどの観客がジュリーの呼び声でなんとか退場させることに成功した。

 ジュリーも逃げる準備を始める。


 ただ、一つ胸騒ぎが残る。


「みんな、ご無事で」


 ジュリーはそう言い残して実況席を去った。


 ※※※※※


「ガルラララララララララ……!!」


 ここに来てドラゴンかよ……!!

 前出くわしたケルベロスといいどうなってんだよ!


 いや、チームローの他四人が倒れている。

 四人同時複数詠唱の高位召喚魔術でドラゴンを呼び出したと考えたほうが妥当か。


 いや、そんなことはどうでもいい。


「ダブラス。お前のチームメイトをここまで運んでくれないか」

「わかった。でも、お前はどうするんだよ」

「オレはあいつらに加勢しに行く」

「……おい!!」


 オレはダブラスとノルンを置いてドラゴンのもとに音に向かった。






「高位魔術《豪炎の咆哮(マキシマムフレイム)》……!!」


 センリ先生の魔術も虚しくドラゴンの固く覆われた鱗には歯が立たない。


「くそ、どうやってこいつを倒せば……!!」

「落ち着いてください。必ず勝機があるはずです!!」


 ドラゴンも高位魔術《豪炎の咆哮(マキシマム・フレイム)》を放つ。


「高位魔術《千差万別の防壁(オールオブ・バリア)》……!!」


 フェルトはセンリ先生を囲うように魔術を展開。

 ドラゴンの魔術の炎がフェルトの防壁にぶつかる。


「くっっっそおおおおおおおお!!」


 フェルトの防壁は機能している。だが、それ以上にドラゴンの魔術の威力が向上している。

 さらに火力が上昇した。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 フェルトは全魔力を防壁に捧げた。それでも尚、収まらないドラゴンの魔術。


 防壁が破られた。


 この瞬間、二人は確実に死を確信したはずだ。

 でも、それは確信には至らなかった。


 光の剣術“【秘剣】魔術返し”。


 ドラゴンの魔術は跳ね返され自身で被爆した。


「ガラララララララ……」


 ドラゴンは自分が編み出した炎で倒れる。


「まったく、戻ってくるのが遅いじゃないか」

「悪いな。遅くなった」


 オレは背中でフェルトに答える。


「なんで来てしまったんですか、ノア君? 君も彼らと同じ所に居てくれた方が守りやすいのに」

「悪いな、センリ先生。こちとら生憎守られに来たわけじゃないんだ」


 オレは手刀の形にして高々と挙げ、振り下ろす。

 そこに地形を変えるほどの衝撃波を唸らせる。


「オレはドラゴンを討伐にしに来た。だから先生こそあっちに行っといてくれ。それにもう、魔力切れ仕掛けてるだろ?」


 フェルトはセンリ先生の肩を叩く。


「ノアに任せておきましょう。彼は強い。対して僕たちは魔力がじり貧だ。ここは引きましょう、先生」


 センリ先生は心配しそうな表情でオレを見つめる。


「なにかあったらすぐ私を呼んでください。ここは任せます」

「おう。先生もあいつらを頼むぞ」


 センリ先生はこクリと頷き、フェルトと一緒に走っていくのが見えた。


 さあ、始めようか。

 オレはゆっくりドラゴンの元に近づく。


 ドラゴンもまた起き上がる。


 双方の動きがぴたりと止まった。

 そして、戦いは突然開始される。


 高位魔術《豪炎の咆哮(マキシマムフレイム)》。

 奴が先に動いた。


 オレはそれを逆手に奴の頭上まで一気に距離を詰める。


 地の格闘術“【剛拳】貫き”。

 ドラゴンの首が地面に食い込む。


 だが、奴がしっぽでオレを吹っ飛ばす。


「“斬撃・六連”」


 光の剣術“【斬撃】三日月”を六発同時に飛ばして奴の体に刻み込む。


 へぇ。

 オレの斬撃で千切れないとは中々強いドラゴンだな。

 大したもんだ。


 と、感心している間に吹き飛ばされた方向より奴がいた。


 これは俊敏……いや、転移魔術か……!!


 高位魔術《豪炎の咆哮(マキシマムフレイム)》が再び襲い掛かる。

 いや、お前学習しろよ。


 光の剣術“【秘剣】魔術返し”。


 オレは空中で振り返り奴の魔術を弾き返す。

 奴は被弾する。


 奴はそのまま落下し煙を巻き上げる。さっきの“魔術返し”のおかげでオレはそのままの位置で地表へと着地した。


 お前はドラゴンだ。あんな自由落下で倒れるわけないだろ?


「ガラララララララララララララララ……!!」


 巻きあがる煙から奴が飛び出てくる。


 奴の前足が交互に飛んでくる。

 オレはそれを半歩引いて避ける。


 奴は大きく前足を振り下ろす。

 これも力任せのこ――――いや、魔術が来るな。


 中位魔術《陣風の嘶き(ハリ・ブレード)》を爪に纏わせ襲い掛かる。

 オレはそれを半身で避けた。


 そして――――


「“斬撃”」


 縦に振り下ろした光の剣術“【斬撃】三日月”が奴を切りつける。


「ガララララララララララララ……!!」


 どうした? これで終わりか?


 オレは徐々に奴のもとに近づく。


「グルルルルル……」


 奴もオレを警戒し、ずっとこちらを睨みつける。


 オレはこの時気づいていなかった。

 今いるこの位置はまさにチームローの敵陣であること。

 そしてドラゴンの届く位置ににチームローの旗があることを。


 奴がしっぽを振る。

 すると、チームローの旗がそのしっぽに当たり、折れてしまった。


「あ……」


 結界魔術が解除される。

 周りの炎はそのままに実技場の会場がそこに現れた。


「おい待て……!!」


 奴はさっきの魔術が結界だと見抜いて大きな翼を広げて飛び立ち、実技上の天井を破った。


「ガララララララララララララララ……!!」


 この私立タレミア魔術学園において前代未聞の異例が発生した。

 魔物、それもドラゴンの出現を確認。


 ドラゴンが学園内に解き放たれた。

星★★★★★、レビュー、感想、ブックマークのほど、よろしくお願いします!!


1つでも多くの評価ポイントがあるだけで作者は泣いて大喜びします!!

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