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1-26 対チームロー③


 ※※※※※


『観客の皆さんは速やかに退場してください!! ここは危険です! 今すぐにここから離れてください!!』


 解説のジュリー・ローズが観客の生徒及び貴族等々の方を誘導する。


『この結界魔術はチームどちらかの旗を折る、もしくは全員が倒されることで強制的に解除される仕組みになっています!! 逃げてください!! 解除されてから遅いんです!!』


 ジュリーの呼び声も虚しく一定の人は離れたが、まだ半数以上の人は座っている。

 センリ・アーヴァインもすでにこの結界魔術の中に入った。


 肝心の五大魔術師(クインテット)第二位ゼルベルン・アルファというと、他学年も同じで負けたチームの暴走が起こっており、上手く一年生のところまで手を回せなくなっているらしい。


 一体この『星極の術魔祭』予選はどうなっているのか。


『早く逃げて!!』


 ジュリーは叫び続ける。


 ※※※※※


「それで終わりか!! ダブラス・オーガス!!」

「まだまだ!!」


 オレとダブラスは連続で拳と拳をぶつけ合う。

 だが、徐々にダブラスの足が引きずっている。


「ごっ……!!」


 オレの拳がダブラスの溝に入った。


 ダブラスは後ずさり、片膝がつく。


「くそっ……。まさかここまで差があるなんて」

「悲観することないぞ。力だけなら五大魔術師(クインテット)にも劣らないほどの力があるのは自負している」


 実際、フレイとオレの力の差だけならオレのほうが圧倒的に上だった。それでもあの頃のフレイとオレの実力は一向に埋まる気配が無かった。

 フレイはそれほどまでに対人の技術を持っていた。


五大魔術師(クインテット)に劣らない力……ね。だが、俺はただ天性魔術に頼るだけの魔術師じゃないんだよな……!!」

「……!!」


 中位魔術《礫地の剣(グラウンドソード)》がオレの足元から貫く。

 オレは間一髪で避けるが、その瞬間に中位魔術《雷の一閃(バッテリーレイ)》が目の前まで迫る。


 手刀でその魔術を弾く。が、その瞬間ダブラスが脇腹を殴ってきた。


「……!!」


 こいつまじか。


 この打撃は《獅子の怒号(ライオンハート)》だけじゃない。

 付与魔術《身体強化(マージナル)》の、おそらく強化段階十を掛け合わして殴ってきやがった。


 あいつ、《二重魔術(ダブルスペンド)》までできるのか……!!


「がはっ……!!」


 吐血。

 ダメだ。いくらオレの体が頑丈とはいえこの攻撃はさすがに効きすぎている。

 オレは思わず膝をついた。


 とはいえ、こんな無理な付与を施したんだ。お前だってただじゃ済まないだろ。


「が、ああああああああああああ……!!」


 ダブラスは殴った左手を抑えて喘ぐ。

 これで五分五分と言ったところだな。


 オレは再び立ち上がる。


「……!! お前、まだ立ち上がれるのか」

「当然だ。こんなところで負けてられるか。でも、今の攻撃はさすがに効いた。師匠にもこんな攻撃を味わったことは無かったから」


 現在ダブラスの天性魔術《獅子の怒号(ライオンハート)》は顕在。

 まだ、左手は使えないがそれ以外なら問題無しに動ける。


 対してオレはさっきの攻撃を受けてかなり消耗したが、全然いける。

 まだ追い込まれたうちに入っていない。


「さあ、最終ラウンドだ……!!」


 お互い考えていることは同じだった。

 右手を引いて両者は構えた。


 消えた。


 その瞬間、結界魔術《疾走する草原》の風は一切を以て無風と化した。


「「地の格闘術“【剛拳】貫き”……!!」」


 決着はいかに六大武術を洗練したかにかかった。

 そしてその衝撃が収まった直後勝者のみが立つことが許された。


「確かにお前は強かった。ちゃんとお前の覚悟は伝わったよ」


 勝者ノア・ライトマン。

 ダブラス・オーガスとの一対一に倒されかけたにも関わらずも見事勝利を収めた。


「おい」


 ダブラスはすぐに目覚め、起き上がる。


「なぜ俺を完全に気絶()とさなかったんだ?」

「これでわかっただろ? オレはお前より強い。だから、ここは協力してほしい。お前のチームメイトが殺人者にならないように。だから、あえて最後少し加減したんだ」

「……わかった。どちらにしろ俺はお前に負けていた。ここはお前に協力しよう。せめて無理なお願いをしたしな」

「……ありがとう」


 オレたちはすぐにチームユプシロンの陣営に向かう。

 あいつら、大丈夫だろうな。


 その時、激しい爆発音が聞こえた。

 この爆発音は殺しにかかる魔術が放つ音によく似ていた。


 耐えてくれ、皆。


 ※※※※※


 既にそこはまさに戦場と化していた。


 疾走するはずの草原が炎が燃え広がる荒野へと変貌し、燃え広がる炎の中でセンリ先生が何かと戦っているのが見えた。


 レノンが現在馬鹿三人衆の他二人を治療していた。


「おい、一体どうなってんだ!」

「ノア君!! ここに来ちゃダメ! ここは危ないの!」

「じゃあ、お前もここから離れろ。魔術で二人浮かせられるだろ?」

「私が浮かせられるのは一人だけなの!!」


 くそ、最悪だ。

 オレがダブラスが一緒になって殺しに行っていると勘違いしなけりゃこんなことには……!!


「おい、ノア・ライトマン。あれを見ろ」

「あれってなん――――……!!」


 嘘だろ。なんでこいつがこんなところにいんだよ!!


 大きな二枚の翼を持ち、強固な鱗に覆われたトカゲに似た最上位の魔物。


 ドラゴン。


 奴はオレたちに気づきこちらを見つめた。

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