赤い服着た救世主。
2年ぶりの更新・・・スマホ大破から1年半・・・誠に申し訳ありませんでした。
とりあえず、また、ぼちぼち書いていこうと思いますのでお付き合いください。
当初のプロットからズレがでましたが、予定は未定ながら12月ネタをぶちこむまでひとまず頑張ります。
やばい。これは、ヤバい。
吐く息は白く、凍え死ぬと思う程度には、寒い。カチカチと鳴る歯に、ガタガタと震える身体。
一切の灯りのない日本家屋に、がっちりと閉まった門構え。既に日は暮れており、辺りに人の気配はない。
そう、我が家にも、人の気配は、ない。
おじぃは甥の・・・次の師範となる方の家に行っており、おばぁはご実家に呼ばれて不在。
尚、二人と一緒に家を出た私は例の如く図書館に居たのだが、程よく効いた暖房の誘惑に負け、爆睡。
閉館時間が近付いているのに一向に姿を見せない私を探してくれた司書さんに起こされ、謝り倒しながら慌てて帰ってきたのがついさっき。
そして今、非常にヤバい問題に直面している。
鍵が、ないのだ。
つまり、家に入れない。
おじぃもおばぁも、帰宅するのは明日。
それまで、家に入れない。
・・・どうしようかね、ほんと。
走って来た為に、かいた汗が冷めて余計に寒い。温まった身体はとっくに冷えて、指先は既に痛いくらいだ。
ハァ、と息を吹き掛けても暖かいのは一瞬で、水気の所為で更に冷える。
防寒具はコート、マフラー、ニット帽。
手持ちの荷物は筆記用具、ハンカチ、ティッシュ、リップクリーム、残金430円な財布、今日借りた本3冊、司書さんがくれたチョコ。
うん、どうにも出来ねぇなコレ。
430円じゃあったい缶飲料買っても3本が限界だし、暖かさも持って3時間もない。
公衆電話で連絡しようも、生憎近くにない。
交番で保護を求めようにも、あそこの警察官に近付きたくないので却下。
鍵を忘れたと思われる図書館に戻るのも考えたが、今頃は設備点検しているハズなので職員不在で意味がない。
詰んだ。
・・・あ、ヤバい。
立ってるの、つらい。
ズルズルと門構えを背にしゃがみ込み、膝を抱えて蹲る。木製の戸が微かに温かく感じるほどには、体温が下がっているらしい。
道路のコンクリートから寒さが込み上げてくるが、家の敷地内よりマシだ。風避けにいいと思った庭だが、池の水が風を冷たくするようでただの拷問だったのだ。
悴んだ手足の先が痛い。確か痛いと分かるならまだ大丈夫だとどっかで聞いた気がするが、その真偽はどうでもいい。辛い。
ぎゅっと丸まって熱を逃がさないようにするも、下がった体温は取り戻せない。ガタガタ震えていた身体も、震えが収まってきている。
決して良い意味ではなく、体力の限界的な意味で筋肉が活動をボイコットしていると思われる。
やばい。やばい。やばい。
どうしよう。どうしたらいいよ。
寒い。辛い。痛い。
コレ、下手したら、死ぬ。
葛城家に凸るか?
ワンチャン図書館行ってみる?
色々と嫌なことになりそうだけど僅かな望みにかけて交番?
やべぇな、録なライフ○ードがねぇわ。
掠れてきた視界に、限界を感じる。
本当に、生命の危機が迫ってる。
ふと瞼が閉じそうになったその時、ブルルンッと、車のエンジン音が聞こえた。
眩しいライトに、目が眩む。
「穂澄ちゃん!?」
聞こえたのは、女性の声。
聞き間違えでないのなら、私の名前。
とりあえず、これで凍死は逃れそうだ。
あ、もう、げんかい。
「か、おり、さ・・・」
「穂澄ちゃん!しっかりして!!」
今日も赤い服似合ってますね。
そんな軽口すら言えないまま、記憶は暖かい人肌に抱きしめられたことを最後に途切れた。
主人公は何も考えずに自ら爆心地というフラグを踏みに行ってます。
地雷を埋めてるのも当人です。
無自覚にですが。
次話は解説もどきな予定です。




