ベルファレス様は探されたい【番外編SS】(☆☆☆☆)
『外敵女騎士のわたしが竜王様の寵妃に!? 降伏から始まる溺愛生活』番外編ショートストーリー
時間軸は本編最終話前。
単話で読めます。本編よりコメディ感、溺愛度強め。
タイトルは聞き覚えのあるものを拝借してつけています。
朝目覚めると、隣に寝ていたはずのベルが居なくなっていて、わたしは大慌てで寝間着のまま城内を探し回っていた。
一緒に暮らし始めてから気づいたのだが、ベルには放浪癖のようなところがあり、わたしが眠っている間にふと居なくなっていることがこれまでもよくあった。
しばらくすると戻ってきたりするのだが、今回ばかりは我慢できずに探しに行くことにした。
城内ですれ違ったリグ・ハティ夫妻を呼び止める。
「ベルは知らないか?」
「あら? ご一緒ではないのですか?」
ハティが不思議そうに聞く。
「そうなんだ。朝起きたら居なくて……」
「……俺らも姿は見てない。きっと洞窟で瞑想しているか、城外の温泉にでも浸かっているんじゃねぇか?」
なるほど。どっちも心当たりがある。
さすが、幼少から共に過ごしてきた友人リグだ。
城外の温泉とは、最近教えてもらった彼のお気に入りの場所だ。後者の可能性が高そうだ。
寝間着に外套を羽織り、朝の清々しい空気の中、湯煙立つ温泉に向かった。
「レラ、おはよう……」
読みは当たった。
ベルは温泉に浸かっていた。
呑気に挨拶を交わしている場合か!?
外気の方が冷えているせいで、ベルの体からはほわほわと白い湯気が立っていた。濡れた肌が朝日で照り返されて眩しい。神々しい雰囲気に包まれている。
「おはよう……じゃない! わたしに黙ってどこに行くんだよ。起きた時に隣に居なかったから心配したんだからな」
これは本音だ。
「ほぅ……俺が居なくて寂しかったと」
「うぅっ……」
ベルはニヤリと笑みを浮かべた。このままやつのペースに飲まれたくないが、否定もできないので、頭をかきながら適当にあしらう。
「まっ、まぁ……そんなところだ」
照れ隠しにそっぽを向いているとベルが声を掛けてきた。
「一緒にどうだ?」
わたしも温泉に入れ。ということである。
まったくその予定はなかったので、早く出るようベルに促す。
「朝食もまだだし。じゅうぶん浸かっただろう? もう出よう」
わたしから手を差し出したその時……。
ばっしゃーん。
岩場でバランスを崩し、服のまま温泉の中に落ちてしまった。
「……服を脱いでから入れ」
「わかってるよっ!」
豪快な入浴にベルもあっけにとられていた。
「あああ!! 足が滑ったぁ!! わたしのばか!」
胸まで湯に浸かってしまい服のまま全身びしょ濡れだ。
薄い布でできた寝間着が水分を吸って肌に張り付き、わたしの体を露わにしていく。
それを眺めるベルの視線は先ほどと明らかに変わって熱を帯びていく。
「濡れてしまったなら仕方がない。脱いでちゃんと浸かれ」
ベルは濡れた布越しに胸に口づけると、たどたどしく服を剥がしていく。体に布が張り付いて、上手に脱げない。
「ちょっと……早く」
めくり上げた寝間着が首元で止まってしまい、頭が抜けない。
早く脱がせてくれと催促するが、ベルはもたついて膠着状態が続いた。
両手を挙げたまま濡れた布で顔を覆われた格好は間抜けで恥ずかしい。
「ひゃっ」
露わになった胸をベルがぱくりと口に含んだ。思わず変な声が出る。
どうにもできずに、ベルの施しを受け入れ体を震わせる。ひとしきり胸に口づけを浴びたあと、さっきまでのもたつきが嘘のように、するすると服を脱がされていった。
目隠し状態が解消され、目の前に現れたベルに唇を奪われた。
朝にしては深く、濃厚な口づけに、腰が抜けそうになる。
そのままベルに抱きかかえられ、ベルを連れて帰る目的を忘れて湯に浸かった。
もう朝飯はいらないくらい、お腹いっぱいだ。
ぼぅっと湯に浸かりながら、ベルはこんなことを語っていた。
「レラに見つけてもらうのは悪くないな。レラが俺を探し回っている様子を想像するとたまらない……」
それからというもの、ふと姿をくらましたベルを探し回るお遊びに付き合っている。
探されたい。
なんてベルファレス様のくせに可愛い願望もあるものだ。




