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第61話 馬面の男

 崖を登り切った瞬間。

 俺たちの眼前に広がっていたのは馬面だった......!

 そう馬面だった。俺とチサはそれを見るや否や同時に絶叫していた。危うく折角登り切った岩壁から落ちてしまいそうになるくらいには危なかった。


 何とか持ち堪え岩壁から、大陸へ上陸することに成功する。そこには、辺り一面に積もった雪と、針が集まったかのように尖った歯を持つ10m程の木々、更には地面に生える草までもが刺されば怪我ではすまないと思えるような尖った形状をしていた。


 俺は辺りを見渡した後、俺は恐る恐る足下へ視線を移す。そこには栗毛の馬面、この寒いのに上半身半裸ではあるものの鍛え上げられた肉体を持つ男がうつ伏せで倒れていた。


(俺も上半身裸だし、なんか見てると親近感が湧いてくるな......。)


 ただ、その男は見るも無残なほどに体中傷だらけだった。


「なあ、チサ。これどうする?」


「妾は放っておいても良いと思うがのう。」


 チサがそう言った時、男の体がピクッと動いた気がした。まあ気のせいだろう。


「まあ、それもそうだな。とりあえず進もうか。」


「うむ!妾も賛成なのじゃ!」


 ピクッ!ピクッ!


 視界の端で何かが起き上がった気がしたが断じて気にしない。チサもまた見なかったフリをしている。


(まさか、この大陸の人ってみんな馬面...。)


 そんな嫌な想像が俺の頭に過った瞬間! 俺の目の前に馬面が現れた。


「うおおおおおお!!??」


「なななななな!!??」


 俺とチサは再び目の前に現れた馬面に驚く。

 たしかに視界の端で目覚めてたのは知ってたけど、まさか目の前に来るなんて思わないじゃないか! 普通後ろから声かけるだろ!


「君達は薄情者カッ! 傷ついた者を見かけたら助けましょうとお母さんやお父さんから教わらなかったのカッ!」


「すみません。俺の両親はもうこの世にはいませんから。」


 俺は馬面の男からスススッと距離を取りながら言う。


「妾も物心ついた時には既に両親はおらなんだのう。」


 チサはモンスターだからな...。それも間違ってはいないのだろう。


「ナッ......! それは真カッ! 大変失礼しタ。両親の愛を知らぬ者達にだとは知らずに酷いことを言ってしまっタッ!」


(その最後の語尾を上げる喋り方何とかならねーのか!)


 俺は内心でツッコミを入れる。チサは必死で笑いを堪えている。よほど笑いのツボに入ったのだろう。その姿が可愛らしくて思わずずっと見ていたい衝動に駆られるが俺は我慢する。


 若干認識に齟齬(そご)があるような気はしたが、修正するほど暇じゃないので、チサを肩に乗せたまま去ることにする。


「じゃあ。俺たちは先を急がねばなりませんから。失礼します。」


 俺は必死で笑いを堪えるチサを横目に森へ入ろうとする。


「待テッ......! 待ってくレッ! 私が悪かっタ!この通りダ。先程の岩壁を崩壊させる一撃をもろにくらったおかげで、一人で動く程の力ガァッ! 頼ムッ! 助けてくレッ!」


 怒涛の喋り攻撃に耐えられなかったチサの腹筋は遂に崩壊した。


「ふっふっふふはははは!ふふふふ!ふっふ!はははは―。」


 チサの笑い声が雪の降り積もる森へと響き渡る。

 そうして笑い続けるチサに馬面の男からの追い討ちが入る。


「ナッ......! 何がおかしイ! 人の真面目な頼みをなんだと思っているのですカッ!」


「ふっふふーはぁはぁ......ふーふふふふ......も......もうやめて......やめて欲しいのじゃ。ふふふふ。」


 俺は笑いが止まらないチサへと助け舟を出すことにする。このまま笑っているチサを見ているのも可愛らしくて良いのだが、このままチサが笑い死にされるのは困る。


「馬面の方......。すみませんがしばらく黙って頂けますか?この子どうも貴方の喋り方がツボに入ったようで。」


 俺はこの馬面の男から距離をおきたい一心で言葉が敬語調になる。


「ナッ......! 私の喋り方の何処ガッ!」


 馬面の男はショックを受けるがその言葉が更にチサの笑いに油を注ぐ。


「ふふふふふっふはぁ......ははっふふふふはぁ....」


「喋るなって言ってるだろう!」


 俺は大声でそう叫ぶと満身創痍の有り様の馬面のみぞおちにチサが今座っていない方の左でフックをかます。


「ヘブぁああああああああああ!!!!これはイッタインノオオオオオオ!」


 その悲鳴でチサの笑いはブレーキの効かないフルスロットル状態となり、その後数分間ずっと笑い続けた後に腹筋が本当の意味で崩壊して俺の肩にさえ座れないレベルになってしまった。


「ひぃ......ひぃ......。ジンすまんの......妾しばらくの間立つことはおろか、座ることやもできぬかもしれぬ......。一生分の笑いを身を以て体験した気分なのじゃ。」


 そしてチサを背負った俺は、流石にこのまま馬面の男を放っておくのは可愛そうだと思った。


 この大陸に上陸する為に必要だったとはいえ、岩壁を破壊したのに巻き込んでしまった罪悪感。


 助ければこの大陸の情報を得られるという打算もあって俺は、この男が目覚めるのを待つことにした。


 それから1時間後...。笑い疲れて眠ってしまったチサを背負い俺は雪が降り積もる中で地面を見守っていた。


 と言っても本当の地面ではなく、俺の左フックでノックアウトした馬面の男が倒れている地面だ。


 馬面の男が目覚める。


「ここは何処ダ......!」


 正直、俺とチサの合技を受けて、俺の右フックを受け、更にはこの雪で体温が奪われているにもかかわらず、目を覚ますこの男の異常さに俺は少し親近感を覚えた。


 俺は本題を切り出すことにする。


「この大陸の情報を俺たちに教えてくれないか?そうすればお前のことを助けてやってもいい。」


 俺はバレていないのをいいことに、合技の一撃のことはひとまず棚に上げて、交渉を持ち掛けるのだった。




何とか書けました!ふー......メンテめ。やってくれる。すみません。メンテは悪くないです。忘れてたしょた丼が悪いのです。


一つ感謝を。

遂にユニークアクセス1000突破しました!!

読んでくださってる皆様本当にありがとうございますm(__)m

これからも頑張って更新していきますので、ジンとチサの物語を見守って頂ければ幸いです。


では第62話で!


20/12/2

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