第54話 『黒影切』の過去
このお話で第二章完結です!現在第二章の登場人物や用語を纏めておりますので、完成したらお知らせさせて頂きますね!
老婆は話し始める。
これは今から1300年と少し前のお話......。
創生2128年、あるブラウンエルフの中では裕福でもかといって困窮している訳でもない家庭に、1人の男の子が生まれた。
その男の子は、何故か、ブラウンエルフの両親から生まれたはずなのに、その身体は褐色では無く、全身が黒で染まっていた。
その身体を両親は大層気持ち悪がった。
「ねぇ!なんで私の子こんなに真っ黒なのよ!これじゃ悪魔の化身みたいじゃない。」
「俺に言われたってしらねぇよ!大体こんなきみの悪い子産みやがって!お前、実はブラウンエルフの皮を被った悪魔なんじゃねぇのか?」
「なんてこと言うのよ!そんなわけないじゃない?そういうあんたこそ悪魔なんじゃないの?」
そんな男の子に親は名前を与えませんでした。
男の子の両親は日に日に男の子を巡って仲が悪くなってゆきました。ただ、男の子が生まれたブラウンエルフの村では離縁は認められていませんでした。
更に捨て子をした者は村八分にするという決まりがあり、真っ黒な子が生まれた事は既に村中に知れ渡っていました。
そうしてその男の子は両親からの愛情も受けられず、少し大きくなって村の中を出歩く様になると。
「おい!クロンボが来たぞ!俺知ってるんだぜ?あいつは悪魔の化身で、悪魔に心臓を売ったからあんな真っ黒なんだってよ。」
「うわー......。私悪魔と一緒になんていたくない!」
「く......来るな!悪魔を僕にうつさないで。やめてくれー!!!!」
男の子はクロンボというあだ名をつけられ、馬鹿にされ、避けられ、遊んでくれる子も友達も、男の子には出来ませんでした。
(僕が、こんな姿だから......僕が悪魔に心を売ったからみんな僕を嫌うし、お父さんもお母さんも仲が悪いんだ。)
男の子は日に日に孤立を深めていきます。
外にで出始めた頃は周りの子供達がからかったり、大袈裟な反応をして逃げたりしていました。
それが日を追うごとに、声をかけられることや反応されることが減ってゆきます。
最後には男の子が現れると、皆が一斉にその男の子を避ける様になりました。男の子の行く手にいる人は皆が少年を見ると道を開ける様に。
こうして男の子は孤独のまま10歳を迎えることとなります。ただ、男の子は諦めていませんでした。友達を作ること。そして両親からの愛を受けることを。
そうして男の子は思い至ったのです。
「そうだ!僕がみんなの生活の基盤になってる獲物を捕らえられる武器をもっと使いやすい武器を作れるようになれば......!僕がみんなのためになれば、きっとお母さんもお父さんも僕のことを誇りに思って大事にしてくれるに違いない!!」
そう思うが早いか、男の子は毎日毎日地上へ降りて木材を一生懸命集め、それを買い叩かれ、騙されながらも必死でお金を貯めます。
勿論男の子の両親は男の子への関心を失っているし、周囲のブラウンエルフ達は、男の子の行動をただきみが悪いものとしてしか見ていなかったので、誰も男の子の試みには気付きませんでした。
そうして5年後、男の子......否、少年は遂に完成させます。そう、木から......木から作ったとは思えない様な切れ味を持つ剣を。
それを誇らしげに両親に見せた時、両親は顔色を変えて少年を褒めたのです。産まれて初めて褒められた少年は舞い上がります。
そう。それがこの両親の策略だったのです。
この両親には既に息子であるはずの少年に対する情などは残っていませんでした。
こうして少年は毎日親から搾取される日々を送ることになります。外には出して貰えず、ただただ、延々と剣を打たされる日々。
何故少年が耐えられたかって?それは毎晩両親が少年に向かって声をかけてくれたから。15年間ひとりぼっちだった少年にとって愛に飢えた少年にとって上部だけでもその言葉は嬉しかった。
「ありがとう。今日も頑張るのよ。」
「お前が頑張ってくれて父さん誇らしいぞ!」
こうしてそんな両親の言葉が、笑顔が嬉しかった少年はその後2年間毎日毎日打ち続けました。だけど、その日々にも終わりが来ます。
ある日、足りなくなった木材を頼もうと両親の所へ向かった少年は聞いてしまったのです。両親の本当の言葉を。
「まさか悪魔が金のなる木になるなんて人生分からないものだ。」
「ええ!今まではご近所からも悪魔の子を産んだ親だとずっと蔑まれていたのに、今となってはその人達が羨望や嫉妬の視線を向けてくる。これほどの優越感はないわ。」
「俺達が、十分に生きていける金が貯まるまでは生かしておいて、貯まったら殺して逃げようか。」
「まあ、それはいい考えね!是非そうしましょう。あの子にはそれまで仮初の愛情を与えておけば無償で働いてくれるんだもの。」
そんな両親の言葉を聞いた時、少年の心はガラガラと音を立てて崩落していった。
そしてその後少年は、両親に具合が悪いことを伝え、1週間だけ休みを貰うと、与えられた工房に篭り、二振りの刀を完成させた。
そして少年はその刀に『黒影切』の名を、更に自身の銘として、「取り戻す」という意味のリゲインを変化させ、ルゲインの銘を打った。
そして少年はその刀を以て両親を殺し、集落の人々を全員殺した後、自分もその命を絶った....。
老婆は話し終わった時泣いていた。
「フェッフェッフェ......。これが黒影切と、この刀を打った名工ルゲインの過去だよ。お主はこの刀に認められたからには、この過去を胸に刻んでおかないとねぇ。」
俺は涙は流れていなかった。ただただ黙って老婆の話を聞いていた。俺の肩の上で聞いていたチサもまた涙は流してはいなかった。
だが、今の話を聞いた俺は、絶対にこの刀を手放すわけにはいかないと思った。刀の中で会った真っ黒な少年はルゲイン本人だったのだろう。俺はこの世界から奪われた物を取り戻す為にも、もうこれ以上奪われない為にも、俺は刀を握りしめ決意する。
「俺は、この世界を必ず護って解放してみせる!!俺が背負う想い全てを懸けてでも―。」
〜第二章チサとの出会いとジンの旅立ちの決意編〜
完.
というわけで、第二章関係しました......!!!!
ここまで読んでくださった皆様本当にありがとう!
自分の書くお話に自信がなくて、度々弱音っぽいことも書いてたけど......。
読んでくださる方がいてここまで書ききることができました!本当に感謝です。
これからもジンとチサの物語は続いてゆきます。
これからもよろしくお願いしますm(__)m
では、第三章でお会いしましょう!
20/11/28
これから先が気になる!面白い!と思えた方は是非是非評価とブックマークをよろしくお願いします!




