表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/4

第4話。

1週間遅れましたすみません。

2年1組。

はっきり言って先輩の教室に入るのには勇気というものがいる。

この教室に簡単に入っていった

紫織と冬坂、少しすごいな。


俺はゆっくりと足のつま先を2年1組の教室に踏み入れる。

その瞬間、大きな声が聞こえた。


「きゃーはっはっはっはっ!

一誠君何してんの!? めっちゃ慎重に入ってくるじゃん! 」

俺は思わず顔を赤らめる。

そんなに俺変だったか?

ちょ、はず……。

ってか冬坂、さっきから、

紫織に向かって華がないっていったり、俺に向かって大笑いして来たり、酷くねぇか?

微妙に渡辺とか藤川とかにかぶる。

ダルい。


俺は無言になったまま真顔で

スタスタと2年1組の教室に入って行く。

絵糸と冬坂は黒板の前で話していたのに、紫織だけ椅子に座っている。

それも誰かもわからない2年1組の人の席に。

俺はちょっと気になる。


「紫織、なんでそこに座ってんの?」

俺がそういうと、即座に紫織が立ち上がる。

そして普段はあまり感情が表情に出たり動揺したりしないはずの紫織の顔が一瞬にしてリンゴのようになる。

な、なに、どうしたんだ?


「あ、いや、これは、その、

別に深い意味はなくて、だから、

ここの席の子がどうとかじゃなくて、

えっと、その、いや、あの! 」

ん、ん? 動揺しすぎじゃん?

すごく焦った様子の紫織は、紫織らしくない。

なんで俺がここの席に座っているの?

と問いかけただけなのに、

こんなに動揺してるんだ?

俺はなにも言わずに真顔で紫織を見つめる。

そうするとゆっくりと紫織が口を開いた。


「あ、あのね、

ここの席の子、野球部に入ってる人なんだけど、前私がクイズ研究会で人が集まるの待ってた時、

この野球部の人、1人でセッティングっていうの? なんかやったり、素振りしたりしてて、その、なんか、気になって、見てたの。

そしたらその野球部の人も私の方見たの。目があって。

そのとき、その子、私に向かって思いっきり手を振ってくれて。

しかもとても笑顔で。ね。

ちょっと気になって。

で、でも、好きっていう感情とは違うよ? だから誤解はしないでね!」


俺は後半の方はあまり聞こえていなかった。

な、なんだよそれ。

野球部のやつと目があって、ときめいちゃった系か?

んだよ……。

もしかしたら、なんてドキドキしてたの俺だけってことか?

サッカー部の帰りにジュース買った時、急に紫織が顔近づけて来て、

あれも自然な、紫織からしたらなにも不思議なことでもないような行動ってことかよ。

勝手に1人でドキドキして、

俺、バカみてぇ。


「あっそ。そんで惚れたの? 」

少しぶっきらぼうになったかも。

そう考えたのも、そのセリフを吐いたあと。


「だ、だから違うってば!

どうしてそうなるの!? 」

紫織は、顔を真っ赤にしてる。

それもさっきみたいに恥ずかしくて、とかじゃなくて、怒ってて。

なんだよ。

悪いのは紫織だろ。


「そうとしか見えねぇだろ。

ってか、惚れたからって勝手に席に座るとか、それ、ストーカーみてぇ。

気持ち悪い。

女ってみんなそんなことすんの? 」

俺のその一言が決め手となったのか、

紫織は目を大きく見開いて、

「ふざけんな! 」と叫んだ。

俺はその紫織の普段出さない発言に、

少し驚く。


「気持ち悪い? 人に恋するのが?

そんな、そんな酷いことっ……!」

紫織の言葉はそこまで来たら詰まった。そして小さな声で、

「なんでよ……」と言う。

俺はその紫織を見て、ふぅ、と軽く溜息のようなものをつく。


「紫織、そう言う性格やめたほうがいいよ。少なくとも俺は好きじゃない。その野球部のやつにも嫌われんぞ」

俺はただの嫉妬からこんなことを言っただけだ。

だけど案外強い口調になってしまったらしい。

紫織の目の中がキラッと光ったとおもうと、ツゥーッと水が垂れた。

紫織の体がカタカタと震える。


「絵糸。俺場所移動する」

絵糸は相変わらずの糸目で俺を見ると、糸目を更に細くして、俺のことを睨んでくる。

俺は少し怖くなり、2年1組を出る。

俺の後ろから、

「……ッチ 」

と舌打ちが聞こえたような気がした。


**


そしてぶらぶらと当てもなく校内を歩いていた時。

突然悲鳴が聞こえた。

俺は「は……? 」と声を漏らす。

その声の高さからして、女だろう。

俺は今凹型の校舎の長い直線の通路にいる。凹の下の部分って言えばわかるか? そこの端っこにいるわけだが、

俺のいる端っこを右とすると、左のはじの方から何か動くものが見える。

俺はじっと目を凝らす。


それはよく見ると人だった。

2つの髪がぶらぶらとなっているところから、女だと推測できる。

さっきの悲鳴はあの女か?

顔までははっきり見えない。

いくら視力両目2.5の俺でも。


「ッタ、タスケッ、助けて! 」

小さな声だが明らかにそう聞こえた。

その後ろからもう1つ黒い影が見えた。teacherという名の人殺し野郎にに追われてる?

前田先生は身長は180は超えているから、すぐに一目で前田先生はわかるはずだ。

それに対して宮沢先生は

身長150センチと、かなり低い。

その奥の影は小さいから、宮沢先生か。

宮沢先生は足の速さは自己紹介の時

50メートル9秒6ですとかって言ってたから、50メートル6秒03の俺にとっては余裕。

つまり走って捕まるってことはまずない。だからここは自分の身を守るよりもあの女を助けるか。


にしても今回は結構早いな。見つかるのが。いやぁ、厄介。


「おい、ここまで逃げてこ……い? 」

そこにいたのは、宮沢先生ではなく

普通の生徒だった。

「んな……」

そしてその逃げてた2つ結びの女と

宮沢先生と勘違いしちまった女は

俺の前まで来るとこんなことを言い始めた。


「いやーん、良かったじゃん杏奈(あんな)

念願の本田くんに話しかけてもらって!!」

「ちょ、(はな)! 本田くんの前で言わないで! 」

は、は?

な、何が起きてんの?

意味わかんね。


「あのね、本田くん、この子本田くんが……」

「まって、このことは私から言いたい。華は口出ししないで」

片方の杏奈と呼ばれた女は、華という女の口を押さえる。

華は「ご、ごめん」と言うと、

杏奈の後ろの方に行った。

そして杏奈の背中をツンツンとしている。


「あ、あのね、わ、私!

本田くんが! 好きなの!

こんなとこで言うのもあれだし、

本田くんと話したこともないんだけど、その、返事お願いします! 」

ん、ん!?

今の何、さりげなく告られた系のやつ!? ちょ、意味わかんね、は?

まって頭のいい奴らって、

こんなに簡単に告白すんの?

いや、は?


「あ、いや、その、なんというか、

ゴ、ゴメ……」

俺がそう言いかけた時、

目の前から杏奈の顔が一瞬で消えた。

それもパンッ! という高い銃声とともに。


「キャ、キャァァァァァァ!! 」

華が叫ぶ。

けれどその叫び声も無視するように、

華の顔も飛んでった。

俺は「あ……」と言うとすぐに回れ右して走った。

その時俺の目の端には、銃を持った宮沢先生が見えた。

お、女のくせによくやるな……。

その瞬間、キュィィィンッ! と俺の耳のすぐそばで音がする。

そして目の前にあった

何に使うかわからない大きなボックスのようなものに小さな穴が空いた。

俺が後少し右側にいたら当たってた……。

そう思うと恐ろしくて震えが止まらない。


急いで階段を降りるとそこにふらっと絵糸が現れた。


「っと、絵糸! 逃げろ! 宮沢先生が来てる! 」

絵糸の黒目が大きくなったような気がした。

そしてそのとたん絵糸は手をポケットに突っ込んだ。

何をするのかと思ったら、右ポケットから拳銃が出た。


「は、は?」

俺は意味がわからずそう言う。

なんで絵糸が持ってんの?

そして絵糸は階段に銃の先を向ける。


カチャッという音が聞こえる。

「絵糸、ガチで撃つのか?

相手はいくら殺人鬼といえど女だぞ?」

俺は顔が多分引きつっていただろうなと思いながら

絵糸に言う。

そう言ったら急に絵糸はいつもの低い声を

もっと低くしてきつい目つきで言った。


「一誠。お前死にたいのか?

それに言っとくけど、俺、

さっきの紫織に対しての一誠の態度、

ゆるさねぇから。

紫織あの後一人でどっか行ったぞ。

一誠は紫織の方に行ったほうがいいんじゃねぇの」


俺の背筋がブルっと震える。

その瞬間、宮沢先生がひゅっと出てきた。

そして瞬時に銃声の音が聞こえる。

宮沢先生の頬から血が出る。

弾丸が宮沢先生の頬をかすったようだ。


「うわぁお。ずいぶんクレイジーな子だな。

片桐か。ちょっとマークしとくわ」


そのまま宮沢先生も弾丸を放てばよかったのに、

宮沢先生は尻尾を巻いてすぐ帰って行った。

俺は何かが突っかかる。

でもその突っかかりを取るかのように、

絵糸はこう言った。


「さっさと紫織のとこ行けカス」

俺は何も言えなくなって、スマホを取り出しながら絵糸から離れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ