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オケアノスオブイースポーツエリア  作者: 桜崎あかり


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第12話『トップランカー』その7

・2021年9月25日付

細部更新

 2分を経過した辺りで、偽アルテミシアの方が若干ネタ切れをしているように見えた。


 所詮はゲームのボスキャラ、パターンが分かってしまえば怖くはない。それは偽物も同じの様である。


 しかし、パターンが分かっても簡単にいかないのは――アルテミシアがラスボスとして設定されているからだろう。


【アレを攻略できるのか?】


【別のボスもいるようだが、どれが簡単という事はない】


【しかし、アルテミシアはラスボスの中でも上位に該当している。パターンが分かっても勝てるとは――】


【ゲームとしては絶対勝てないや無敵が横行するのは――さすがに考え物だ】


【クリア不能は一番やってはいけないだろう】


「実況スレでもあるが、クリア不能はさすがに――引くな」


「他のボスだったらクリア可能なのでは? アルテミシアはハズレ――」


「そうとも限らない。確かにステージ3のボスはランダム要素もあるが、引き当てる方法がない訳ではないだろう」


「リズムゲームで隠しボス曲を出現させるのに、相当の実力がないと出現させられないのと同じか?」


「そう考えていいだろう」


 アルテミシアとのバトルを見ていたギャラリーは、色々な事を思うだろう。


 それは動画を視聴しているユーザーも気持ちとしては同じだった。


「こっちでやる事は終わったし、あとは――」


 モニターを見ていたアロハシャツの男性、彼は中継全てを見終わる前にセンターモニターを離れる。


 彼にとっては、今回のバトルは目的ではなかった――ようにも思えるが、真相は不明だ。



 アルテミシアの攻撃には端的に分けると2種類ある。一つは遠距離射程のビーム攻撃、もう一つは近距離の真空刃を発生させる物だ。


 ビームはパターンさえ分かれば怖くはない。既に一部のプレイヤーは見切り始めている。


 問題は、真空刃の方だろうか。こちらは出現パターンが不定期であり、1分が経過した辺りでも撃ってくる事はなかった。


 向こうの体力ゲージが減った辺りで発動する所を踏まえると、一定のダメージを与えた際に撃ってくるのかもしれない。


「パターンは何となく分かっても、楽曲の演奏をしつつ攻撃をよけるのは――至難の業ね」


 アルストロメリアは、改めて思い知る事になった。


 リズムゲームだけでなく、アクションゲームとしての要素を持っているファンタジートランスのシステムを――。


 単純にリズムゲーム要素をアクションゲームに足しただけと慢心していたプレイヤーは、その恐ろしさを知った事で次々とリタイヤしている事実。


 残りプレイヤーの数的な部分を踏まえれば、このゲームの難易度は一目瞭然だったのに。


 普通のリズムゲームでは汗や疲れの影響で操作感覚が狂う事もあるが、ARスーツは疲れにくい材質が使われていたりするので問題はない。


 ある種のご都合主義スーツと言われるかもしれないが、それは今更と言えるだろうか。


「ビーム攻撃は単調としても――」


 アルストロメリア以外もこのフィールドで起きている異変には気付き始めていた。バグ技だけでなく、ラスボスのライフ自動回復や無尽蔵なライフ量――。


 明らかにこのゲーム内に閉じ込めておこうと言う気配さえ感じられたからである。一体、このゲームの開発者は何を考えているのか?


 その一方で、閉じ込めると言う部分は間違っていないが別の説を考える人物もいた。


「単純に閉じ込めると言っても、こちらが閉じ込められたのではなく――偽のアルテミシアを封じる狙いがあったとしたら?」


 これに気付いていたのはシナリオブレイカーである。何故、この考えに至ったのか? 単純にポジティブな意見ではないようだが。


 彼女の眼も――ある意味で偽のアルテミシアに対して、何かを感じているように思える。


 今の所は真空刃も2回しか披露しておらず、直撃したのはモブプレイヤーだけだ。


 仮に回数制限があったとしても、その威力は一撃必殺なので――回避する事が必須だろうか?


『我を閉じ込めるだと? そのようなことは不可能だ――』


 あまり喋る事のなかった偽アルテミシアが久々に台詞を発した。


 むしろ、向こうが正体バレを回避する為に下手に発言する事を回避していたのかもしれない。


「不可能ではないわ!」


 アルストロメリアはビームライフルを展開し、連続発射でターゲットに命中させていく。


 この攻撃が命中した事で偽アルテミシアのライフは減っていくのだが、何かがおかしいように思えた。


 ライフゲージと数字化されたライフが矛盾しているのである。どちらが正しいのかは――。



 その一方で、中継映像を草加駅近くで見ていた人物がいた。先ほど、神と名乗る動画投稿者を撃破した霧島きりしまである。


 彼女は別の意味でも今回の事件には何か別の存在が絡んでいると感じていた。芸能事務所なのか、それともさらに上の存在なのかは――憶測でしかないが。


「有名になりたいと言う人の欲望を、芸能事務所が悪用し――ここまでの事をやるとは」


 彼女は周囲のギャラリーの視線を含めて、ファンタジートランスを巡る事件が全て仕組まれているのではないか――と考えた。


 表情はARメットを被っている関係で周囲のギャラリー確認はできない。


 しかし、落ち着かないような右足でリズムを刻むような足踏みを見ると、どのような状況なのかは察する事が出来る。


「これを広告会社と芸能事務所が組み、更には海外進出――呆れてものが言えなくなるわね」


 海外進出――と口に出した段階で、霧島の怒りは爆発寸前と周囲も察し、霧島から離れていく。


 しかし、ここで自分が暴れてもARゲームの印象を悪くするだけと思っている。その為、下手に行動できないのが痛い。


 過激派ファン等は、そうした周囲の警告を無視して暴れまわり――その結果として、芸能事務所AとJのアイドルが日本に誇るコンテンツであると言う最大の勘違いを起こすのだ。

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