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オケアノスオブイースポーツエリア  作者: 桜崎あかり


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第12話『トップランカー』その5

・2021年9月25日付

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 楽曲が流れると同時に偽アルテミシアも動き出した。こちらは問答無用に攻撃を仕掛けてくる。


 アクションゲームの要素もあるので、敵の攻撃に当たるとダメージを受けるだろう。何とかして、それも回避しなければ――クリアは難しい。


 しかし、偽アルテミシアの攻撃は想像以上の物だった。今まで戦ったボスとは比べ物にならないレベルである。


 ゲーム初心者が勝てるような相手ではないのは当然であり、実際のリズムゲームでも上級者向け楽曲を初見でクリア出来るなんて事は奇跡に近いだろう。


 それ位の強難易度を誇るのが、アルストロメリアが相手にしている偽アルテミシアなのだ。


「何故だ――何故、勝てない?」


 開始早々にゲージが0になって退場したのは赤い怪盗だったのである。


 アルストロメリアとの対決以前の話で、偽アルテミシアの難易度に屈した。


 周囲のモブプレイヤーが集中しているのに対し、赤い怪盗は闘志むき出しだったのが敗因だったのかもしれない。


「邪魔者がいなくなったのは大きいか――」


 別のモブプレイヤーは、赤い怪盗がいなくなった事に対して自分が有利なったと勘違いする。


 しかし、そうした発言が負けフラグなのは間違いない。この発言の10秒後、このプレイヤーも途中の猛攻に敗北する事となった。



 本物のアルテミシアは、周囲が驚くほどの実力者だった。中継を見ていたプレイヤーも集中してみている程の実力を持っている。


 それがプロゲーマーなのかもしれない。彼女が注目されているのは、プロゲーマーという肩書だけ――ではなかった。


【彼女はARゲームではプロゲーマーと言われるが、それ以外のゲームでは大きく劣る】


【ある意味でもARゲームにおいてはプロ並みの実力を持っているだろう。しかし、それ以外が――】


【しかし、彼女のARゲームにおける実力はかなりのものだ。数ジャンルでは名人クラスか、上位に匹敵する】


【その一方でVRゲーム等は――。どちらにしても、彼女はARゲームでしか出没例がないから同じだが】


【それこそ、ネット炎上を誘発する為の噂では?】


【違うな。VRゲームとARゲーム、両方でチート級の実力者だったら炎上する要素もあるが】


【どういう事だ?】


【それは、彼女のプレイを見れば分かるだろう】


 実況スレでは、アルテミシアの実力に関して語るつぶやきもあった。


 しかし、彼女はVRゲーム等では一般人と同じレベルらしい事も明らかになっている。


 カトレアもアルテミシアがARゲームだけの目撃例を踏まえて、弱点があるのではないか――と考えていた。


 その予想は見事に的中した事になる。しかし、それを知ったとしてもカトレアにアルテミシアを炎上させようと言う意図はない。


 アルテミシアのプレイスタイルは、カトレアにとっても理想に近いものだ。彼女は、その可能性に賭けてみようと考える。


「アルテミシアとアルストロメリア、それにシナリオブレイカーは似た者同士なのか――」


 アルテミシア以外にはシナリオブレイカーとアルストロメリア、この二人が似たような人種なのではないか――そう考えていた。


 実際、シナリオブレイカーの実力もプロゲーマーであるアルテミシアに近い実力を持っているからだ。



 1分経過、この段階で脱落したのは赤い怪盗とモブ1名の2名である。


 スコアとしてはシナリオブレイカーがトップだ。しかし、コンボを稼いでいるのはアルストロメリアとアルテミシアである。


【フルコンボならば、スコアが高くてもひっくりかえせる可能性は高いが――】


【?? どういう事だ】


【スコアはターゲットの難易度によって変化するが、フルコンボには関係ないターゲットもある。つまり、シューティングゲームで言うボーナスキャラと同じ扱いだ】


【フルコンボと言うのは、本来のターゲットだけを撃破した際のボーナスを意味している。ターゲットのデータは各自のARバイザーに転送されているだろう?】


【譜面難易度って、そう言う意味か。ノーマル譜面、ハード譜面、エキスパート譜面に例えられるような――】


【ファンタジートランスでその表現をするかは不明だが、大体そんな感じだ。違う譜面のプレイヤーがマッチングする仕様と言うのは、それを意味している】


 実況スレでは、色々な解説やフォローもコメントされる事がある。


 その一方で炎上を煽るようなコメントも流れる懸念があるだろうが――ファンタジートランスでは対策済みだ。


 該当する不適切コメントは入力したとしても表示されない。例えば特定プレイヤーに対する誹謗中傷や犯罪を連想する発言、更には特定芸能事務所のアイドルを宣伝する行為も禁止されている。


「まだ、半分にも到達していない――何がどうなっているの?」


 アルストロメリアは息が若干荒くなりつつも、何とか整えようとしている。


 今までが2分にも満たない時間の曲だった事もあって、3分は長丁場に感じるのかもしれない。


 別のリズムゲームであれば、3分と言うロングもあるのだが――そちらのゲームをアルストロメリアは未プレイだった。


「こいつだけは――放置すればネット炎上のレベルでは済まない。だからこそ、ここで倒すべき存在なのよ!」


 アルテミシアは偽アルテミシアの目的に気付きつつある。むしろ、最初から分かった上で自分は狂言回しを演じていた言うべきか?


 アイテム回収も、おそらくは向こうの出方を見る為の――ブラフなのかもしれない。


 使用する武器はプレイ前に選択する事が可能であり、最大3種類まで持ち込みが可能である。


 アルテミシアが展開したのは、背中のバックパックに装着されたウイング――それが変形したブーメランだ。


「アイドル投資家は――自分達の推しアイドルが唯一神になれば、他のコンテンツを炎上させてオワコンにしても平気な顔をする――」


 体勢を固定させ、バックパックから展開されたエネルギーチューブをブーメランの該当箇所に接続し――エネルギーチャージを始めた。


 この時には完全に動けなくなるので、自分の目の前にターゲットが出てきても対応出来ないだろう。


 しかし、自動迎撃システム的な武器を展開していれば――その心配はない。該当武器を彼女が所持していれば――の話だが。

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