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オクタグラム チェインテイルズ  作者: 紅満月
7章 偽典・箱庭編
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招かざる者、招かれた地で

光のオーロラ身に纏い、みずきちゃんは戦う鬼と化した…とか言ったら太○拳で目眩しされそうだから黙ってるん。私、失明して乙○主になるのはまだ早いと思うんだ。


とりあえず、神官連中はみずきちゃんが成敗した。紫外線による日焼けも度が過ぎれば全身火傷なんですよね…こんがり上手に焼き上がりました。中まで…いや、食わんけども。


そんなみずきちゃんとお供な私と生き残った亜人と呼ばれるであろう女の子2人の合計4人は地下を脱出し、山を越え谷を越えてニンニンと忍びながらも忍ばないっって感じで一目散に逃げてきました。お城の下と思ったけどそうではなくて洞窟の中だったみたいですよ。


というわけで、突然異世界に召喚されて反逆して飛び出てきたアンポンタン娘御一行でやんす。お金とかどうしよう……あ、略奪すれば良いんだ。民家に押し入ってタンス漁ったりツボ割ったり宝箱開けたり…ジャパニーズロープレでは定番だよね。



「次は民家への急襲だよ。溜め込んである薬草やら小銭を手に入れて宿屋を目指そう」


「はいはい。そんなバカな事言う暇があるなら見張りでもしときなさい……で、改めて自己紹介といきましょうか。あたしは桐生みずき…まあ、仕来りとか言ったらミズキ・キリュウになるのかしらね」



マイペースにも本名で自己紹介するとは危機管理能力が足りませんぞミズキッキ殿。私はとりあえず太陽の子ソレイユとでも名乗っておこうかなぁ……男だったらてつをって名乗りたかった。あ、火鳥でも良いかも。



「とりあえず、私は太陽の子ソレイユですよ?」


「平然と嘘吐くな。こっちは葵、アオイ・ヒナタよ。アホの子とか好きに呼んで良いから。で、そっちは?」



アホの子とは心外ですのん。名前も素性も聞かずに先に真名を晒した方がアホの子ですのん。サーヴァント契約させられたらどないしはりますん…なんか困ってんならウエルカムじゃないと思うよ。名前長すぎたら覚えられる自信なんて無いよ。寿限無はじょ○らくEDで覚えた私に人の名前を覚えるスキルがあるなんて思ったらヤーよ。



「自分はカルアです……こっちはシーラ。見た目通り、亜人の中では獣人と呼ばれるものです」


「獣人というよりケモミミ娘だよ。獣人舐めんなよって感じでありますよ。『すっごーい』とか『たーのしー』って知性低い事しか言わないなら動物園でも入ってろって感じですよ」



通学カバンから貴重な吹雪まんを取り出して頬張りつつ悪態を吐く。聞きたいのはそんな事じゃナッシング。君たちは俗にいうチュートリアル解説者なのだから戦い方とか目的とか大まかなストーリーを教えてくれたら出番終了なキャラじゃないんですか?


そんな事を考えてたらミズキッキに吹雪まんを奪われた……チキータチキータミズキッキ、吹雪まん欲しいよミズキッキ。拗ねてやる…


しかも、餌付けとして2匹のフレンズ未満に与える始末……え、動物に人間の食事与えちゃいけないんだよ?







調子に乗ってるゲームオタは置いといて……いや、あれはあれで錯乱しているだけなんだろうし現実を教えてあげないといけない。いや、誰が………あたしか。


とはいえ、あたしだって知ってる事はそう多くない。帰れない事は確定事項として、魔法はさっき使ったし目の前の自称獣人を見てれば異世界ってのも納得出来る。したくはないけど…


肉塊の神はそんなに多くを語らなかったけど、この世界はろくなものじゃないのは獣人のこの子たちを見れば分かる…


分かるけど、あたしたちがどういう理由で召喚という拉致にあったか知っておきたいし、それによるハンデも知っておきたい。召喚されたらした方に絶対服従なんてのは無さそうだったし、どうにかなるとは思う……無駄に犠牲を出して召喚したという時点で味方する理由も無いし、正直どうでもいい。


反面、どうでもよくないのが目の前のカルアとシーラである。犠牲にされた生贄の生き残り……それは偶然と言って良いものなのか否か。


見た目、カルアはライオン系の獣人で、シーラは狼系の獣人。あたしに怯えを見せてるけど、実力ある気がする……昔、似たようなのがいた気もする。


まあ、まずはこの世界の事から聞くのが筋ってものよね。ほら、よく記憶喪失の人は言うじゃない、『ここはどこ、私は誰?』ってさ。あれはまず場所の見当識が付かないわけで………そんな事はどうでもいいか。






◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️

この世界の大陸はサクラの花のように5つの半島からなっている。


北の半島は魔族が、北東の半島は魔物が、南東の半島は機械人が、南西の半島は妖怪が、そして北西の半島を人が支配している。


その一方で亜人と称されるどの種族にも属さない獣人やエルフ、ドワーフといった種族は、時には友好的にに、時には隷属的に扱われる不遇の存在である。


それぞれの半島の交わる場所には大きな山々が連なっている。有名なのは魔物が支配する半島の根本にある魔晶山ましょうさん、機械人が支配する半島の根本にある機晶山きしょうさん、妖怪が支配する半島の付け根にある妖晶山ようしょうさんの三大晶山と呼ばれる結晶で出来た山とそれよりも遥かに高い光神山こうじんさんによる天然の壁によって互いの領土侵略ゆ至るのは人と魔族のみという状況も生み出されている。


だが、領土侵略を行おうとするのは一部の人のみで魔族は正当防衛で戦を行なっている状況である。



▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎▪️◻︎




「早い話が、私たちは対魔族用人型決戦兵器として呼ばれたって事だね……逃げちゃダメだったのかな?」


「はいはい、そんなの逃げていいに決まってるでしょ。勝手に連れ去られて人殺しやってくださいなんてオブラートに包んで言われて、やりますなんて言う程あたしたちは狂ってないわよ」



別に、ここで生きていくのだから人殺しを忌避するつもりは無い…というか、さっき逃げてくる時に何人か死んだんではないだろうかとも思う。うん、不可抗力だし、また犠牲を出して拉致される人が出たらと考えると些細な事だ。殲滅しておけば良かった。


2人からこの世界の事を聞いたあたしたちは、魔族の方に興味を抱いたのは言うまでもない。少なからず悪いのはどっちだって話…勿論、全員を悪と断罪するつもりは無いけど、そういう事をしている連中がトップである時点で嫌なものだ。


だから、あたしは宣言するように…



「とりあえず、魔族の領土ってところに行きましょう。ここに居るよりはマシなはずよ」







京都にでも行くノリで魔族の領土に侵攻する事を決めたミズキッキ……ゴー、アクティブ。私は何処までもついて行きますとも、勿論ですとも。


という事でここは修羅の誓いという事で目の前のケモミミを殺して外道を突っ走るって展開なんですかね……私の好きな悪役は豚を殺しますし。



「とりあえず、あなたたちには道案内を頼むわ。ここまで来たなら一連托生でしょ…少なくともあたしたちと居れば奴隷扱いはしない。どうかしら?」



ミズキッキが慈悲の御心をお出し遊ばれた…つまんない。まあ、腹黒獅子と紫狼だから獣の拳を教えてもらおうって魂胆なんだろう………え、私のポジションは解説ハエですん?


そんな事を考えているうちに3人がシアターG○ッソで僕と握手って感じに握手していた。15秒以上しちゃうと警備員さん出てくんぞー。


というか、テイムしたようにしか見えない。つまり、私の吹雪まんによる懐柔な訳ですよ。誰が桃から生まれてますか…むしろ、私は桃○郎侍でしょうよ。



「ほら、何ボケっとしてんのよ。葵も握手しなさいよ」


「いや、私はCD買ってくれない人とは握手なんてしませんよ?」


「いい加減錯乱状態から戻って来なさいよっ!」



そう言ったミズキッキに拳骨で頭を殴られた…親父にだって幼少期から竹刀でしか叩かれた事ないのに。あれ、立派な児童虐待じゃね?



「わだす、ここで生きていこうと思う。あんな児童虐待する家族の中でこれ以上生きていたくない…」


「はいはい、嫌でもそれしか出来ないから諦めなさい」



おろ、暗に帰れないってミズキッキから言われてしもたん……まあ、マジカル○ラー持ってないから闇の世界からは帰れませんよね。あれ、私ウサミミ生えてないよね…ずっと心がぴょんぴょんするんじゃが。


でも、私はウサミミよりタイガーがいいの。逢坂じゃないよ、ワイルドの方なのよ。だから、ウサミミはミズキッキに進呈するのよ……別に猿でもいいけど。


ライオンミミとオオカミミミとミズキッキ……鳥分が足りない面子だなぁ。唐揚げが食べたくなったよ。こういう場合の異世界転移とかってマヨネーズとかで一財産儲かるんだよね……ところがどっこい、日本人がTKGを食べるように新鮮な鶏卵がないとサルモネラとか怖いじゃないですか。というか、異世界でも三大欲求である食欲を満たすならそんな創意工夫はしてると思うんでがす。


そんな事を考えながらカルアとシーラの2人と握手する…肉球無いからビミョーだよ。でもまあ……脂ぎったおっさん王よりは遥かにマシな展開だよね。けど、痛い…半端ない握力じゃありませんか。


え、これだけの握力に平然としてたミズキッキってチートじゃん。私要らなかったよね、絶対。これ、ミズキッキに押し付けて私は自由気ままに生きていってもいいパターンじゃないかな。


とりあえず、生活安定するところ見つけるまでなん。その後は種を喰らい尽くして逃げるん…とあるロープレ7番目の放蕩王子みたいに。え、前作の理性くれる種をまず食べろと…失礼な。

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