第二章、⑧
「警部」
「はい」
「犯行の方法が分かりました」
「して、犯人は」
「それは、犯行の方法が立証されればおのずと見えてくるでしょう」
(・・・多分)
「ほう」
警部は自信たっぷり(本当はそうではないがそうみえる)に語りだす、シスコに軽い苛立ちを覚えた。
シスコはそれを察しながらも、
「まず上を見てください」
「上?」
警部は天井を見上げた。
「そこに金具があるでしょう」
「確かに・・・」
「金具にロープを結び、先端に凶器または鈍器を固定します」
「後は・・・」
「後は・・・」
シスコの言葉に警部は息を飲む。
「振り子の要領で被害者の頭にどーんと」
「どーんとぶつけると」
警部は白けた顔をした、彼は確信していた。
(絶対にそれはない)
と。
そして、実際に検証が行われた。
結果は上手くいかなかった。
天井にある金具の位置が隅にありすぎて、ロープの長さや凶器の向きを変えても、被害者の倒れた所までは届かないのだ。
入念に何度も行われたが、結果は一緒だった。
「さて、うまくいきませんでしたな」
警部は言った。
「・・・・・・」
シスコは無言のまま表情を曇らせる。
「困りましたな」
警部は満面の笑みを浮かべながらシスコへ近づく。
「どうしたものですかね」
彼は目をひんむき、シスコを糾弾しようとした。




