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第二章、⑨

 

「それで間違いない」

 背後で警部の愉悦の時間を壊す声がした。

「誰だ」

 警部が振り返る。

「ユン師!」

「姉様」

 颯爽と黒のチャイナドレス姿のユンが現れた。

「どうしてここに」

 驚くシスコに、

「私は常にあなたの側にいます」

「えっ・・・」

 シスコは、それはそれで怖かった。


「どういう事だ!」

 叫ぶ警部に、

「こういうこと」

 ユンはロープに縛った鈍器を持ち、ロープを引っ張った。

「何度やっても同じ事」

 警部は鼻で笑った。

「ふ」

 ユンも嘲笑する。

 彼女はロープから手を離すと、鈍器は動きだす。

「破」

 ユンは鈍器目掛けて、手をかざした。

 失速し勢いを失う鈍器が、光の圧に押され加速を増し、被害者の倒れていた場所を軽々と通り過ぎた。

 

 呆気にとられる一同。

「な」

 ユンは無表情に言った。

「恐らくこれで鈍器があたり被害者は即死。そのまま仰向けに倒れ、衝撃で飛び散った血が部屋の奥の方まで飛んだ」

「すごいユン師!」

 シスコはすでに見る側の人間と化していた。

 

 苦々し気に親指を噛む警部。

「怪しげな術を使いおって、さては貴様が犯人だな!」

 彼は怒鳴り散らした。

「私じゃない」

「お前だろ!」

「違う。これは闇の者の仕業」

「闇の者?」

「彼には十分な動機がある」

「誰だ。そいつは!」

「ヤンという男」


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