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黒対白 前編


奴、つまり、"シロ"いや、"シロ"の形を型どった"理解"は吹き荒れるはずのない体育館の風を引き裂いて飛び出してくる。



滑るように動き、近づいてくる。風を切って光る、一直線を描いた鋭利なもの。そして、俺目掛けて突き出される



剣!!!!!



……を、かわす!奴は剣道の「突き」の要領で俺の首を狙っていた。奴も俺を本気で殺りにかかっているのがわかる。



「ハハハッ!流石、カミセン!伊達に世界大会で優勝しただけじゃないんだね」



"シロ"、いや、遊太の声がきこえる。あんなにも聞きたかった声だ。しかし、今は虫酸が走る。遊太は心から人をバカにしたようなニュアンスを含んだ話し方はしたことがない。そのことが俺をイラつかせた。カミセンと呼んでいいのはおまえじゃない!!!


「戦闘中に……ッ!!しゃべんなっ!!」


俺は、理解から距離を離しながら、両手に小型ピストルを二つ展開させ、シュバババ!と理解に向かって撃ち、迎撃する。


「おっと!」


すぐ、こちらの動向に気がつき、弾があたる寸前で四角い壁状のバリアをはる。いかにも焦ったような台詞をはくが、口調も態度も涼しそうなままである。弾は全てバリアに弾き返されてしまう。



バリアがはられた瞬間にそうなることを、予想していた俺は、次の行動に移っていた。


「ワープ!」


俺は、ワープを使いバリアの向こう側、理解の後ろに立つ。抜刀して斬りかかろうと踏み込んだとき、


「甘いよ!」


理解は後ろを向いたまま、脇からライフル銃の銃口を俺に合わせていた。


「やべっ!!」


バンッ!!と放たれたライフルの弾は俺の左胸の脇をかすめていく。少しでも横にずれていたら心臓をぶち抜かれていた。下手したら一発キルをとられていたかもしれない。バックステップで、敵との距離を測りながら様子を見る。


「君さ、本気出してないでしょ?僕を倒したいなら体育館ごと吹き飛ばせばいいのに!」


たしかに、俺は辺り一面を吹き飛ばす魔法を使える。しかし、周りに被害が出てしまうのは避けたかった。魔須美だって、なぎさだってどこにいるのかわからない。


「お前に指図させる筋合いはないな」

「残念だなぁ。本気でやりあいたいのに」


そういいながら、ライフル銃を脇に投げ飛ばし剣を両手で構えながら近づいてくる。


あれは、遊太が愛用していた「デュランダル」だった。



俺も、エクスカリバーを理解に向けた。思わず力が入る。


相手は滝壺へと水が落ちるかのような、目にも止まらぬ速度で縦斬りを繰り出してくる。俺は、それを刀で受けとめる。ガキンッ!と音と力が俺に伝わるがそれを刀の先へと受け流す。


「まだまだっ!」


理解は様々な角度から剣を叩き込んでくる。俺はそれを全て受けきる。黒と白が剣閃を描き、火花をあげながら激しくぶつかり合う。


「ほらほら、反撃しないとつまらないよ?」


理解は剣道かなにかの武道を嗜んでいたのだろうか。手を休めることなく動かしている。しかし、疲れた様子もなく、ぶれない真っ直ぐな軌道にのって、俺の急所へとうちこんでくる。相手の隙を狙おうと待っていたがチャンスが来る気配はない。


(こっちから、攻めるか!!)


そう考えた刹那、理解の姿は消える!


「ッ!!!!」


俺の脊髄反射が、理解からのデュランダルの軌道を止める。奴は、俺の斜め後ろにワープして不意討ちを狙ったのだ。


しかし、奴は、剣を持っていない手で魔方陣を展開していた。


気がついた時には、左肩を撃ち抜かれていた。あれは、光魔法のレーザー光線の魔方陣。


「くっ!!!」


苦痛で顔を歪ませるが、そんなことに構っている暇もなく、理解の前に全属性の魔方陣が描かれる。俺は射程範囲から逃れようとするも、ギャルや結城が巻き込まれることを悟る。



(ふざけんなよ、その技は……)


「なんだっけ?ダサい技名ついてたよね。たしか……、あっ、思い出した」


どうやら、話しているうちに魔方陣がフルパワーになり準備が整ったようだ。



「エレメントアターーーック!!」


バカにしたような声と同時に魔方陣からは光が飛び出す。それらは俺に向かって降り注ごうとしていた。






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