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お山でお稽古! 3


「やあ、お嬢さん。そんな木偶の坊なんてほっといて僕と踊ろうよ?」


卑らしい腰付きで怪しげにリズムを取りながら、なぜ僕はこんな事をしているんだろうと、自分でも不思議に思わずには居られなかった。

そもそも僕は何をしていたのか良く分からないんだ。

僕の目の前に居る、僕と同じ位か少し下くらいに見える女の子に、優しい僕が女の子に不安を感じさせないようにと気さくな感じで声を掛けたんじゃないかと思えなくもないんだけど、目の前の女の子は僕に差別的な視線を向けてきてるんだ。


「……わたし、別に踊ってる訳じゃありません!

もうふざけないでください!

なんなんですか、さっきから!」


怒鳴られてしまった。

僕だってこんな事がやりたかった訳じゃないんだよ。ただ気付いたらこうしていただけなんだ。



むしろ被害者は僕の方だよ!


そう思うとなんだか腹が立ってきた!


「なんだよ! 僕をそんな目で見るなよっ!

僕の優しさを踏みにじるなよっ!

僕は紳士だよっ!」


「……」


彼女の視線がより冷たい物になっていくのを肌に感じた。


「……」


僕も彼女に睨みを効かせてみた。


「……」


「……」


「……」


彼女からは手足が自由になった瞬間にでも僕に飛び掛って来そうなくらいの気迫を感じた。だけど今の彼女は身動きがとれない状態なんだ。つまり僕は絶対的な優位に立ってるって事だよ。







勝てる!


僕は……、そう思った。


だけど僕の心の中でそれは何かが違うと告げているんだ。

何が違うんだ? と心の中に問い返しても答えは出ない。


僕の方が優位に立っているのに、僕は今ひとつ攻めきる事が出来ない。


僕は考えた……。


なぜ無防備な彼女をこんなにも警戒しなければいけないのかを。


「……っ!」


そうか……、僕が不用意に近づいて来た所に騙し打ちを喰らわそうって魂胆なんだね?

危うく引っ掛かるとこだったよ。


「……ふぅ〜」


僕は特に額に汗をかいた訳でもないのに、手の甲で額を拭ってみせた。


「……?」


その僕の仕草を見た彼女は、懐疑的な表情を浮かべて何か言いたそうな雰囲気を醸し出しながらも黙って僕を見ていた。


「危ない危ない、危うく君の作戦に引っ掛かるとこだったよ。

全く、油断も隙もないよ……、でも残念な事に僕にその手は効かないよ」


「……へ?」


彼女は余計に分からないんですけど? とその眼で語っていたんだ。

全く、とんだ女優さんだよ。ここまで来てまだ演技を続けるなんて……。


「……すっとぼけたって無駄だよ。

もう君の考えなんて僕にバレバレなんだから……」


「……な!?

もういい!

わたし帰る!」


怒った彼女は、こんな場所には居られないとばかりに立ち去ろうとしていたんだ。

だけども彼女は木の根っこに手足をとられていた事を忘れていたのか、勢いよく身体を起こそうとして足首を捻ってしまったみたいなんだ。


「っ! た〜!」


彼女は恥ずかしかったのか、顔を真っ赤に染めてその目には涙さえ滲ませていたんだ。


「もういや!

見ないでよ!

見ないでったら!

……わたしなんか見ないでよ……、うっ、うっ……」


何やら彼女は本格的に泣き出してしまったたんだ。

どうにも僕が彼女の事をジロジロと見すぎた事が原因みたいなんだよ。


いや、僕としても何か見てはいけない物を見てしまったと思ったんだよ。


彼女は泣き顔を見られたくないのか、顔を隠そうとしていたんだけど、手足が木の根っこに引っ掛かっているから、手で顔を隠そうとしても悪戯に木を揺らすだけで、結局彼女は自分自身の肩の方に顔を俯けていたんだ。

そしたら急に申し訳ないような気になってきて、ついつい謝ってしまう事にしたよ。


「……あ、あの、その、ごめんなさい!

いや、あの、ホントにごめんなさい!」


「……なんで、なんで、わたしに意地悪するんですか?」


彼女の突拍子もない質問に僕もたじたじになってしまって、ホントに困っちゃうよ。

まず僕は意地悪なんてした覚えなんてないし、言い掛かりもいいとこだよね。


もしかして……、僕の持つ癒し系のオーラが効いていないのか?

ご近所のマダム達だって僕に骨抜きなんだぞっ!


「……僕は、意地悪なんかしてない……」


「だって! さっきからわたしの事、からかってる……」


僕は強くでようと思ったんだけど、こっちに向けられた彼女の泣き腫らした顔を見たら強くは言えないよ。


僕は木の根っこに引っ掛かっている彼女の手足を外してあげながら理由を説明し始めた。


「ち、違うよ。からかってないよ。ただ、ぼ、僕の名前を知ってたから、そ、その……、スパイなんじゃないかな〜? なんて考えちゃっただけなんだよ……」


「スパイ……?」


なんで? と彼女の顔が物語っていた。


僕としても木を揺らしていたのがこの女の子と分かった瞬間にもしかしたら? ってちょっとだけね。


「いや、あの、マークに雇われた訳じゃなさそうだったから……。マークじゃないなら、じゃあ誰なんだ? って思って、そしたら、もしかして眼鏡お姉さんかマスヨお姉さんの差し金なんじゃないかな? って……」


「……眼鏡お姉さん?」


「あ、眼鏡お姉さんって言うのは、一応は僕のお友達なんだけど、いっつも僕に酷い事するとっても意地悪な人なんだ……」


「と、友達なのに!?」


彼女はひどく驚いているようだったけど、僕だって友達なのにってそう思ってるよ……。


僕は曖昧に笑いながら頷いてみせた。


「はははは……、でも友達にならないともっと酷い事してくるんだ。

だから君も僕に酷い事するんじゃないか? って警戒しちゃって……」


「そうだったんだ……」


どうやら彼女も納得してくれたみたいだ。

これで僕も一安心だよ。


「……マスヨお姉さんって人も……?」


「へっ!?」


納得してくれたんじゃないの……?

彼女も結構に食い下がってくるね。


まさか、スパイ……?


僕は彼女の引っ掛かっていた手だけを解放してあげると、いったん作業を止めて彼女を観察する事に決めたんだ。


「あ、マスヨお姉さんも僕に酷い事するけど、友達じゃないし、眼鏡お姉さんよりはいくらかマシだから……。

あっ! でも、マスヨお姉さんは頭の上に鳥の巣を搭載してるんだ!」


「鳥の巣……?」


食い付いてきた!


じゃあやっぱり、マスヨお姉さんの事を探っている……?

いや、まだそうと決まった訳じゃない……。

第一マスヨお姉さんなんて調べても大した物は出てこないし、マスヨお姉さんを調べようなんて思う奇特な人はいないだろうし。

でも、もしマスヨお姉さんを調べようって人が居るなら、それってやっぱり眼鏡お姉さんぐらいしか……。

いやでも眼鏡お姉さんはマスヨお姉さんの事を親友って言ってたしいまさら調べるような事なんて……、まさか、眼鏡軍団で内部抗争が……?


分からない、けど、探ってみないと。


「……メ、メガネ」


「メガネ!?」


予想以上の反応だ……。

やっぱり眼鏡お姉さんの手の者なのか……?


「……その、鳥の巣でメガネなの?」


「なに言ってるんだよ!

鳥の巣は鳥の巣でメガネはメガネだよっ!

鳥の巣は鳥の住処でメガネは視力を補強する物だよっ!」


僕は思ったよ。この子は何も分かってない、こんな常識も知らないって、なんて可哀想な人なんだろう、ってね。


「なっ!? それくらい知ってます!」


またしても僕の優しさが踏みにじられたんだ。

折角に僕が教えてあげたのに怒鳴らないで欲しいよ。

僕だって優しいだけの男じゃないんだぞ!

仏の顔も何とやらだよ。


もう僕の中では彼女はスパイ確定としといたよ。


「嘘吐くなよっ!

スパイのくせにっ!

どうせ君も眼鏡軍団の手の者なんだ!

だったら僕の方が偉いんだよ!

もっと僕を敬えよっ!

だって、僕は眼鏡軍団の副首領なんだ……。

くそっ! なんで僕がそんなことしなきゃ……。

……仕事はちゃんとしてるから、だから僕の事はほっといてよ……。

僕は眼鏡派でも鳥の巣派でもない、僕は僕のやりたいことをしてたいだけなんだ!

……僕は忙しいんだ、もう帰ってよ」


くそっ!

なんだよ眼鏡軍団って!

名前からして悪役じゃないか!

なんで僕が副首領なんてしなくちゃいけないんだよ!

なんでそのことでマスヨお姉さんに恨まれなくちゃいけないんだよ!

思い出さないようにしてたのに、思い出さないようにしてたのにーっ!


僕は痛む頭を両手で抑えて、その場にしゃがみ込んでしまった。


「なんなの! さっきから! やっぱりわたしの事からかって面白がってるんでしょ!」


「からかってないっ! いいからもう僕の事はほっといてよっ!」


僕はつい彼女の声に反応してそちらの方を向いてしまったんだけど、ふと見た彼女の顔はこれ以上ない程に怒っていたんだ。

僕も怒ってるのに、それ以上に彼女は怒ってるんだ。

僕が怒ってる理由は分かってるんだ。なんてったって自分の事だからね。でも彼女が怒ってる理由が全くもって分からないんだ。

自暴自棄になってしまった僕を奮い起こす為に僕の事を怒っているんだろうか……?


いや、違うね。マークがいないと何も出来ない情けない僕に愛想をつかしたんだ……。


もうこの世に僕程の情けない人間は必要ない、僕なんて要らないって僕の事を責めてるんだ。


きっとそうだ、肩書きだけは偉そうなのに、いざ蓋を開けてみたら期待外れもいいとこだったんだろうね……。

でも、そんなの自分勝手過ぎるよっ!


そっちが勝手に僕をスパイして来ただけなのに、勝手にガッカリして勝手に怒って……。いや、もし僕もスパイだったとしたらそうなるのかな……?


多分……、いや絶対に!


そうだね、僕は僕を求めてくれる人の期待に応えないと、立派なアクションスターになんて成れないよ!


やるんだ、僕!


「――っと、聞いてるんですか!?

ちゃんとわたしの質問に答えて下さい!」


ふと気が付くと何やら彼女は僕に熱心に語り掛けてきてたんだ。


僕には何のことやらさっぱりわからなかったんだけど、未来のアクションスターたる僕にやってやれない事はないよ。


「ハッハッハッ!

僕に任せてくれたらもう何も問題ないよ。どんと来いってもんだよ」


「? いや、あの、だから、どうしてわたしをからかったりするんですか……?」


「……からかう?

誰だ、そんな酷い事をしたのは……? おぜうさん、もう安心するんだ。そんな奴は僕がやっつけてあげるよっ!」


「え!? あの……、えええ〜っ!?

なんなの!? まだ、わたしの事をからかってるの? わからない、わからないの……、わたしはどうしたら……」


僕の眼から見てもわかるくらいに彼女は取り乱していたんだ。

彼女は何かを否定するように首を横に振り、わからない、わからないと呟いているんだ。


可哀想に……、彼女は相当におつむが弱いみたいなんだ。だから僕は彼女に優しく、語るように説明してあげることにしたんだ。


「……おぜうさん。

メガネは視力を補強する物で、鳥の巣は鳥の住処の事を言うんだよ」


小刻みに震えている彼女にこれ以上いらぬ警戒心を与えない為に、僕は両手を軽くあげ、手に何も持っていない事を示しながらゆっくりと彼女に忍び足で近づいて行った。


僕は彼女の肩にそっと左手を置こうとしたんだ。その瞬間、彼女の右腕が僕の顔面を目掛けて飛んで来たんだ。


僕は咄嗟の事に反応が遅れてしまった。


いつもの僕ならば、常日頃から神経をシャーペンの芯のように尖らせていた僕ならば……、決して避けられない物ではない、筈だったんだけども、彼女に警戒心を抱かせてはいけないと無防備に彼女に近づいてしまったばっかりに、しかも彼女の肩に手を置こうとしたその僕の勢いすらをも利用されて、自分の勢いが自分自身に倍以上になって帰ってくると思うとぞッとしてしまうよ。


ただ何故かとてもゆっくりに……、まるで草むらで虫を捕獲しようとしている子供のようにゆっくりと彼女の右腕が向かって来るんだ。

これなら僕の左手の方が先に彼女を捉える事が出来る。そう思った。

だけども僕の身体は思うように動かない、いや、動けないんだ。重いんだよ身体が。

そのせいで僕の左手も彼女と同じかそれ以上にゆっくりとした動きなってしまってたんだ。

それでも僕にはまだ勝算があったんだ。


なんてったって僕の方が先に手を出したんだ。それなら僕の左手が先に当たるのが当然なんだよ。


……ただ、今気付いた事なんだけど、彼女の右腕には確りとした握り拳が作られていたんだ。更には、僕の弧状な線を描くような動きに対して、彼女の右腕は直線的な動きで、ぶれる事なく真っ直ぐに僕に向かっているんだ。


いや、それでも僕の方が素早い筈だ!


集中しろ、僕はこんな所でやられる訳にはいかないんだ!


思い出せっ、ただひたすらに思い出すんだっ!


スルメの匂いに惑わされちゃダメなんだ!


噛めば噛むほど味が出てくるんだよっ!


だからイカ臭いなんて言っちゃいけないんだっ!


マークは……、マークは美味しそうに食べてたんだよ――――っ!!


イカ臭い――







「ぬぼぉ――――っ!!」


いたたたた――って、そりゃあ痛いの痛くないのって、僕の頬骨が削られるような痛みがゆっくりと僕に襲い掛かって来たんだ。

そりゃあ怖いの怖くないのって、ただ僕が一つ言えるのは歯医者さんよりは――怖くないってことだね……。


僕だって漢の子なんだ、それくらいのことは我慢出来るよ……。


ただガツンとは言ってやりたくなったよ。


「ったいじゃないかっ!

なんてことすんだよっ!

僕が功夫の達人じゃなかったら五割の確率で死んでたとこだぞっ!

裁判沙汰になってたとこなんだぞっ!

僕がどうなってもいいのかっ!」


「えっ!? わたし、なんで、なんで!?

どうしてこんなこと!?」


「そんなこと知らないよっ!」


彼女は擦り剥けてしまった拳と僕の顔を交互に見ているんだ。


「……違う、わたし、こんなつもりじゃ、ただ知りたくて、わたしと同じだって、仲間だって、話してみたくて、追いかけて、仲良くなりたくって……」


「……同じって言われても、僕と君は全然違うじゃないかっ!?

似てるところなんてないし……。

もしかして、僕と同じで眼鏡軍団だってこと?」


「違うっ! そんなの知らない……」


「じゃあなんなのっ!?」


目の前に居る彼女は、俯いて、震えてて、たぶん泣いているんだろうと思った。


だけど、なんで僕のことを追いかけて来たのかわからなかった。


やっぱりスパイなのか?


もしかしたら、今も声を殺して笑ってるのかもしれない。

僕のことをちょろい奴だと笑ってるのかもしれない。


ここで彼女に近づいてしまったら、またさっきの二の舞になりそうで、僕は少し距離をあけたこの場所で彼女の様子を窺うことにしたんだ。


「……」


「……」


「……」


いつまで経っても彼女は何も言ってはくれないんだ。

僕は待つことを諦めて、少し攻め方を変えることにしたんだよ。


「……あの、僕を追いかけ回してたって、君はやっぱりスパイなの?

あ、いや、言いたくないならいいんだよ。

言わなくていいから。

言わなくていいけど、首の動きで教えてくれないかな?

ハイなら首を縦に、イイエなら首を横に、わかった?」


彼女はゆっくりと一度だけ頷いてくれた。



「……君は、スパイなんだね?」


彼女は首を横に振った。


つまりは彼女はスパイじゃないと、そういう事みたいなんだ。

ただ、スパイの人に貴方はスパイですか? って尋ねた時に、スパイの人は正直に教えてくれるのかどうか、僕にはわからなかった。


「……そう言えば、僕と同じだって言ってたけど、それって君もアクションスターになりたいってこと?」


彼女は首を横に振った。


彼女はかなりの演技派だと睨んでたんだけど、これも違うと……。


「えーっと、それじゃあ君もマークの後継者ってこと?」


彼女はまたしても首を横に振った。


「……じゃあ、君もマークにここに連れて来られたのかな?」


彼女の首は横に動いていた。


ここまで否定されると、彼女は僕の話しを聞いていないんじゃないか? って疑心暗鬼に駆られて来たんだよ。


僕は試しに簡単な質問をしてみることにした。


「……わかってるよ、君も小学生なんだね?」


彼女はゆっくりと、だけども確実に首を縦に振った。


僕はひとまず安心した。一応は彼女と意志疎通がはかれるみたいだ。見た目から判断できる事から確認してよかった。

僕って天才だ!


……ただ僕と彼女の共通項が同じ小学生っていうのは理由として薄すぎる気がする。

果たしてそれだけで自分と同じだと言えるのか?


言える訳がない!

それだけの事なら他にも小学生は一杯いる……。


自分と同じだというからには、彼女は僕に対してそれなりの親近感をおぼえてるという事だと思うんだ。

だけども僕は彼女に親しまれるような事をしていないし……


……それだけ僕が親しみやすい奴ッて事なのか?

なるほど、だからご近所のマダム達も僕をちやほやとしてくれてるのか……。

何もしてないのに親しまれるなんて流石だよ僕は。

……このスター性にアクション要素が加わればまさに無敵だ!


最強のアクションスターの誕生だッ!


僕は神だッ!


僕の顔は喜びと自信に満ち溢れ、身体からはみなぎる生命力をこの世界に少しでも還元しようと天を仰いだ。


「……僕は神ですかッ!?」


「……っ!?」


「……」


「……」


僕の余りの神々しさに呆気にとられたのか、彼女はまばたき、いや呼吸する事さえも忘れて茫然と僕を眺めていた。


人の視線を集めるのはそう嫌いな訳じゃない。

だけどもそんなに見つめられると少し恥ずかしいような……違うな、恐ろしいんだ。僕の魅力ってやつがねッ!


「……フッフッフッ、恐ろしいかい?

この僕がッ!!!」


彼女は激しく首を縦に振っていた。


可哀想に、僕の余りの神々しさに当てられたのか、彼女は小刻みに震えてるんだ。


勿論の事とびっきり優しい僕は彼女を安心させてあげるのに労力は惜しまない。

ただ簡単に安心させてあげると言ってもどうしたらいいのか検討がつかない。

なにせさっきも彼女を安心させようとしたけど、手酷い反撃を受けているからね。

あの痛みは一生忘れないよ。なにせ僕は意外に根に持つ方だからね……。

それは別にいいんだけど問題は彼女だよ。おそらくだけど、彼女は人一倍に警戒心が強いんだろうね。

そんな彼女を安心させてあげる為に一体何をしたら……。


とりあえず僕は重低音を効かせた渋い声で語り掛ける事にした……。


「みんなアフロにな〜あれッ!」


そう言いながら彼女に向けて人差し指を突き付けた。


「……」


「……三、二、一」


「イヤァ〜〜!!!」


突然に彼女は発狂し始めたんだ。

当たり前の事なんだけど別に彼女はアフロになった訳じゃない。

なにせ彼女を和ませようとした、ちょっとした冗談だもの……。


むしろ、本当にアフロになられたら僕が発狂しちゃうよ。


「く、クマぁ――っ!!!」


「えッ!」


彼女の声に反応して僕は後ろを振り向いた。


「……くまぁ〜ではない、私はマークだ!」


そこにはマークと呼ばれる漢がたっていた。




続く

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