変調~G線上のMissklang
計の勉強のペースの歯車が少しずつ狂い始めてきた。
以前よりも勉強量が増えているはずなのに肝心の成績は寧ろそれに反比例したかのように低迷してきた。明らかにおかしい・・・何かがおかしい。
10月に入り、いよいよ12月の短答式試験の直前期に突入した。計は監査論と企業法の講義の受講も順調に消化して計算科目は試験本番を意識してどんどん模試形式のアウトプット中心の問題演習にひたすら明け暮れる毎日を過ごしていた。
「また満点!徹也クン凄いね!!」
「ありがとう。たまたまだよ。」
「またまた謙遜しちゃってwww」
「そう言えば計は模試どうだった?」
計はギクッとした。
「僕?僕はまだ全然ダメだったよ。徹也の半分も取れてないや。」
「そっかー。また次回だね。」
「そうだねー。
最近少しずつ計は唯との距離を感じ始めている。
二人の間に以前は存在しなかった隙間ができたような気がする。そしてその唯との関係性の中で徐々にできてきた違和感は計の勉強にも影響が顕著になりつつある。実際このところ計は勉強が手につかない感じだ。
ほんのわずかな違和感が綻びとなり綻びはやがて計の集中をかき乱すノイズとなり乱れた集中は意識の拡散とこれまでの計の拠り所となっていたはずの自信に揺らぎと動揺をもたらす。そうやって計のこれまでの健全で正常に機能していたポジティブサイクルの歯車を狂わせて行く・・・・
ケセラは今夜も夜風に吹かれながらセブンスターを燻らす。エレアコを片手にBeatles の
I Am The Walrusを弾き語りする。ギターのチューニングが少しおかしい。Gコードを鳴らしてみた。何故かしっくり来ない。
ギターを一度ベッドサイドに置いて写真立てに飾ってある家族写真を手に取ってみる。弟が映っている。時々少し悲しそうな何かに不満そうな表情に見えるのは一体何故だろう?
ケセラは写真をもとの位置に戻して再びギターをつま弾く。今夜も朝まで徹夜で作業だ。今日はどんな曲を作ろうか?
夜は深々と更けていく・・・風がいつもより冷たく感じてケセラはベランダの窓をそっと閉めた。




