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羽  作者: eiosu
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羽 ある秘かな決意 2026/10/18 08:01

2015年3月18日。東急半蔵門線の神保町の駅に着いた。3月だというのに初夏のような暑さだ。汗ばむ肌を手で拭い、隣を歩く兄が忙しそうに腕時計をチラチラ見る。

「喉、渇いたな。」

「もう少しで着くから頑張れ。」

「うん。」

実は今日、計は大原専門学校の水道橋校に兄ケセラと見学に来ていた。

計には夢がある。話せば長くなるのだが・・・・とにかく夢がある。

それはつまり、公認会計士になる夢だ。

計が公認会計士を目指す理由。

「とにかく高度な専門性と知識を有する会計のプロフェッショナル」

そんな漠然としたイメージを計は公認会計士という資格に対して抱いている。

そのために大原の会計士講座で先ずは公認会計士の勉強をスタートさせたかった。

「今更だけど計。お前本当に大丈夫なのか?」

ケセラは今でも突如会計士を目指したいと宣言した計のことを心配している。

「大丈夫。もう決めたんだ。」

「そうか。なら俺はもう何も言わないよ。」

「うん・・・」

 そのまま神保町のオフィス街を計とケセラは黙々と歩いた。

 思えば計の家庭状況は現在かなり荒れていた。

 父親は認知症になり、もう10年以上闘病生活を強いられている。

 母親は父親の介護のストレスに耐えられなくなり4年前に失踪した。

 そんな中何故オレは勉強をしたいんだ?胸に問いかける。

 それはそこに何かがあるから。大切で愛おしい何かが、そこにあるから・・・・そんな漠然とした表現だけど計にはある確信があった。

 「きっと大丈夫。必ず上手くいく。」

 二人は横断歩道を渡りきったところで真っ青に澄み切った3月の青空を眺めた。一筋の飛行機雲が黒板に書かれた白いチョークのようにうっすらとでも力強く直線を描き、徐々にカーブして行く・・・・

 

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