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0:え? 俺、なんかやっちゃいました?

 初めてゲームセンターに連れて行かれたのは、小学校に上がる前だったと思う。6歳の頃だ。

 後で知ったが、ここは当時、日本で一番大きなゲームセンターと呼ばれていて、入口から進むと突き当りに大きなゴリラの上半身のオブジェがあり、そのオブジェ、お金を入れると不気味に動くのだ。

 幼かった俺は、それを見てワンワンと泣き出してしまった。

 それから、1年後、ゴリラの怖さにも慣れた俺は、足繁くこの場所に通うことになった。

 と言っても、毎週日曜日に父親に連れられてここを訪れていた。父は毎回、俺に300円を手渡して、何処かに消えていった。

 俺は、その300円を元手にエレメカゲームで景品を取ったり、10円で遊べる安いテレビゲームに熱中しながら時を過ごしていた。

 成長した俺は、一人でゲームセンターにも通えるようになった。

 思い返せばこのとき世界最初に商業的な成功を収めた「PON!」も遊んだ。一人だったのでまったく遊び方がわからずお金を損したと思ったが……。

 さらに、任天堂最初のアーケードゲーム「シェリフ」も遊んだ。

 だが、これらのビデオゲームは当時の俺の心をくすぐらず、もっぱらエレメカばかり遊んでいた。

 そして、小学校5年のときにファミコンに出会い、昼はゲーセン、夜はファミコンというライフスタイルが確立された。

 スーパーファミコンの末期くらいから、ゲーセンよりも家庭用ゲーム機に重点を置くようになり、家の中には、メガドライブ、PCエンジンなど、複数のテレビゲームが並ぶようになり、その後は、全ハードを所持するようになった。

 時代を経て、Switch2、プレイステーション5、XBOX series X、Steam、Android、iOS、すべてのプラットフォームを抑えるほどになった。PCに至っては、デスクトップだけでなく、ノートやUMPCまで複数台所持している。Androidも同様にタブレットとUMPCの2台持ちだ。

 これまで何百、何千というゲームで遊んできたことだろう。

「この世のすべてのゲームをここに置いてきた!」と言われるほどの充実っぷりを誇っていたあの部屋。

 その部屋の中で俺は……。


「思い出したかね?」


 幼少期から青年期、そして中年となり、あのすべてが揃ったあの部屋。

 まるで、走馬灯のように自分の人生を振り返らされた。

 そして、あの部屋で俺は……。

 俺は死んだ?


「ふむ」


 そうか。それでここは?


「ここは、現世と常世の中間地点。稀にここに魂が迷い込む。そして、わしは迷い込んだ魂を異世界に送るためにここにおる」


 おぉ。異世界転生! では、あなたは神様なのか? 俺にとんでもない力を授け、ハーレム無双を約束してくれるのか? 

 それで「俺、何かやっちゃいました?」とかとぼける感じか?


「はぁ〜」

 神は大きなため息をついた。


 どうした?


「どうしたもこうしたもあるか。わしは確かにお主を異世界に送る。しかし、わしがお主に与えるのはたった1つのスキルだけじゃ」


 なんだ? 時間遡行か? いや時間停止もいいな。圧倒的な肉体というのも前世とは違った面白そうだ。何が貰えんだ?


「成し遂げし者」


 ん?


「それがスキルの名じゃ」


 成し遂げし者。どんなスキルなんだ? それで俺はいつ「何かやっちゃいました?」って言えばいいんだ。


「お主は何もやっておらん」


 へ? 


「わしが与えるスキルはの。前世で成したことを来世にも繋げるスキルじゃ。たとえば、勉学に励んでいたならば知力に通づる力。ま、来世の世界には魔法があるので魔法使いの才じゃな。肉体を鍛え上げていれば剣士や武道家。リーダーシップを取って人を導いて来た人間なら、来世では強いカリスマ性を持って生まれ、勇者の資質を持つ。前世での努力が来世では生まれ持った才能として付与される。そんな能力じゃ」


 なるほど。なら俺は? 俺の場合はどうなんだ?


「さっき、お主に自分の人生の走馬灯を見せたじゃろ」


 おぉ。確かに、我ながらいい人生だった。


「あれがか?」


 ん? 何が不満なんだ?


「お主は、前世で何も成し遂げておらん。学校を卒業するタイミングで両親が死に、その遺産で一生、ゲームをして過ごしただけ。これでは、来世では何の才能も期待できんの」


 へ? ……そうなの?


「引き篭もっていたお主はそんなこともわからぬようになったのか。まあ、良い。正直、お主のような奴と話しているとわしも疲れる。とっとと、次の世界にでも往くがよい」


 それだけ? え? 俺のスキルは?


 その瞬間。視界が真っ暗になった。

よろしくお願いします!

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