トレジャーイベント〜一方その頃〜
一方その頃、他のプレイヤー達はと言うと....
《悟空、ルナ、ダニエル、そして...》
「先、パァーーーーーイッ!」
「ウォー、カァァァァァッ!」
悟空とダニエルは叫んでいた。
「うるさいわよ、アンタ等!」
容赦なくツッコミを入れるはこのやり取りを繰り返して慣れつつあるルナ。
そして....
「うるさい...」
「何を言う、お前も手伝えマーキュリーッ!」
ダニエルからの要求にそっぽを向くマーキュリー。現在はこの四人で行動している。
「既にフレンドリスト経由でメールも送ったしチャットコールもかけたけどダメだった...」
「マーキュリーちゃんも...」
額に手を当て何も言えなくなるルナだった。
ちなみに、マーキュリーが悟空達と合流出来たのも、たまたま近くで行動していた所を喧しくウォーカーの名を呼んでいたのを聞きつけたからである。
とりあえず、四人は見晴らしのいい場所で小休憩を挟むこととした。
「つかぬことを聞くが、貴様等はウォーカーとリアルでは職場の後輩なのだな?」
「ああ、そうだよ」
「ちょ、悟空!」
リアルの事情を安易に口にする悟空にルナが制止しようとする。
「その、なんだ...」
「何だよもじもじして...」
「現実でのウォーカーはあんな感じなのか?」
・・・・・
「いや、女子か君は!」
思わずツッコミを入れてしまうルナ。
目を逸らしつつ小声ながらも気になることはしっかり聞こうとするその姿勢にツッコミを言わざるを得なかった。
「そうだ!」
「悟空!」
「で、職場のウォーカーってすごい?」
「ああ、そりゃあ...」
「だから、喋るな! ってか、マーキュリーちゃんもかい!」
マーキュリーも会話に混ざり、収拾がつかなくなりそうな状況にルナは頭痛を感じる心境だった(仮想世界だから頭痛などないが)。
「とにかく、プレイヤーの現実について勝手に語るのはマナー違反でしょ、流石にゲーム素人のわたしでも分かることよ...」
「ぬっ...すまん」
「ごめんなさい」
「わ、わりぃルナ」
「まったくアンタは昔からお調子者なんだから...」
「うぅ...」
そんな二人のやり取りにマーキュリーは気づく。
「二人は、長い付き合い?」
「おい、マーキュリー、詮索するなと今釘刺されただろうが...」
「ああ、付き合いは長いな。詳しくは言わないけどよ」
「ちょ、まあ...推測は出来ちゃうか」
自身のさっきの発言を反省するルナ。
そのまま、食事を始める四人。
「はい」
「ん」
ルナから渡された飲み物を受け取る悟空。
「ほい」
「ありがと」
そして悟空から食べ物を受け取るルナ。
お互いに相手を見ずに渡し受け取るというやり取り。
妙に慣れた様子にマーキュリーはふと気になり、聴きたくなった。
が、先程リアルの詮索はマナー違反と言われたばかりだし、それこそ自分のリアルなど言える訳もないために口を噤んだ。
その代わり、
「ダニエル...」
「ん、何だ?」
ローブの裾を引くマーキュリーに怪訝な顔を見せ警戒するダニエル。
「あの二人って...やっぱり恋人?」
「っ!? 貴様もそう思うか?」
「じゃあ...」
「だが、確認する訳には...」
こそこそと、目の前の二人の関係性が気になるマーキュリーとダニエル。
対して悟空とルナは....
「ルナ、ポーションのストックは?」
「HPポーションは割と温存出来たわね。ダニエルくんとマーキュリーちゃんのおかげね」
「MPの方は?」
「MPポーションは想定通りの消費ね。ボスの類とは会ってないのが幸いと言っていいのか消費量が増える可能性があると危惧するべきか...」
「ほらよ」
「え、これアンタの分のMPポーション...」
「お前がおれの生命線なんだから、お前に回すのが当然だろ。その分おれがカバーしてやるからよ...」
「ん、ありがとう...」
・・・・・・
「やっぱり付き合ってる?」
「悟空の奴、無自覚であのような台詞を?」
「ルナさんの顔、赤くなってた...」
「だが、悟空は気づいてないようだぞ?」
「これは...」
「うむ...」
小声で盛り上がるマーキュリーとダニエル。
そしてその後は言わなかったが...
((これからが気になる!))
普段は何かと張り合う二人だが、この時だけ心境が一致した。
「あ、ウォーカーから返信きた」
「「何っ!?」」
マーキュリーの言葉に悟空とダニエルは詰め寄ってきた。
「ひぅっ!」
「こら、怯えさすな」
「「ぶふっ!」」
思わず後退するマーキュリーを見て、二人の頭に手刀を叩き込むルナ。
「ん、わたしにもメール来てるわね?」
「あ、おれも」
「ぬ、我もだ」
そうして一斉にメールのウィンドウを開く四人。
直後、四人の表情は困惑した。
だって、文面が....
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昼は墓場で鬼ごっこです。
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・・・・・
(そこは夜では、運動会では?)
(何が言いたいの?)
(先パイ、ヤバいのか大丈夫なのか...)
(でも普段は堅っ苦しい文章ばっかだから実はピンチ?)
((((分からないっ!))))
結局、結論は出なかった。
《ガイ》
「結構集まったな」
ガイは戦利品を確認・整理していた。
ハイポーション、珍しい素材アイテム、装備アイテム、スキルのスクロールとスキルオーブ。
単独なりにそこそこ集まったりした。
勿論、他のプレイヤーから襲撃されることもあったが、返り討ちにしておりそこから手に入ったアイテムもある。
(素材はたまことまるたの所に頼んで何か作ってもらうか...装備品や一部のスクロールは俺じゃ使えないのがあるからトレードとかに使うか...)
その時、
「ん? メール?」
フレンドリストのメール着信音が鳴ったので確認した。
「え、ウォーカー?!」
慌ててメールを開くガイ。
そして文面を見て首を傾げることに。
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昼は墓場で鬼ごっこです。
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「これは...どういうことだ?」
結論は出せなかった。
《ジャンヌ》
「さて、ここは...」
彼女は一人、探索していた。
プレイヤーからの襲撃が何度もあったが、尽く返り討ちにしていったため、現在は落ち着いている。
しかし、相手が襲いかかってきたその場でそのまま戦う訳にはいかないため、戦場を移動していくことは何度もあった。
加えて、このイベントフィールドにある厄介なギミックのせいで、自分は今どこにいるのか分からなくてなってしまい、再度マッピングしていくしかなかった。
「ん?」
そんな時、フレンドリストにあるメールの着信が表示された。
「ウォーカー?」
慌ててメールを開くとそこには...
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昼は墓場で鬼ごっこです。
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「えっと、これは...?」
考えることしばし。
・・・・・
「とりあえず...メールをする余裕はあるようだな」
という結論しか出せなかった。
《たまこちゃん、まるたちゃん、ノレパン=バーネット、キャロライナ、グラブ》
「ウォーカーちゃ〜ん、どこなの〜?」
「ウォーカー、キャロルを心配させるな、出てこい!」
「ウォーカーさん、大丈夫かな...」
「大丈夫だよ、まるちゃん! あのウォーカーだもん」
「ふむ、たまこ嬢の言う通りじゃて。ウォーカーは生き延びておろう。むしろ、あの連中を倒しておるじゃろうて」
五人はウォーカーの厚意を無碍にしないためにとまとまって逃げ、今は見渡しのいい場所で休息をとっていた。
「ノレパンおじいちゃん、そう思うは根拠はあるのかしら?」
呼びかけを止め、グラブと共に戻ってきたキャロライナが問い掛ける。
「なに、彼奴はびっくり箱のような男だからな」
「びっくり箱...それはどういうことだノレパン殿?」
「なに、単純なことよ。得体が知れない、底が知れない、何が出るのか分からない。故に大丈夫と思えるということじゃよ」
「なるほど、そう言ってしまえばそうだな...」
ノレパンの話にグラブも頷きを返す。
「しかし、ウォーカーの奴は危ういのぅ」
「え?」
「儂、『怪盗』なんじゃが....裏切るとか全く思っておらんからな」
「それを言うならこちらも...」
「そうね、元からフレンドのまるたちゃんやたまこちゃんはまだしも会って間もないあたし達のことも警戒してないんだから...」
「というか、おそらくだが、自分達三人にあの子達を守ってもらおうと思ってたんじゃないのか?」
「「ありえるな(わね)」」
“ピロンッ!"
「「「ん?」」」
「あれ、メール?」
「あ、ウォーカーからだ!」
不意に鳴った着信音に五人は気づき、同時にメールを開いた。
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昼は墓場で鬼ごっこです。
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・・・・・・
「「「「「何が起きた(の)っ?!」」」」」
あまりにも訳の分からない文面に五人の声は揃った。
《運営陣》
「やっぱりあの洞窟入ったかウォーカー...」
「手に入れましたね、ユニークシリーズ」
「けど、ミノタウロスとの戦いで傘を選ぶとは思わなかったっすね」
リーダーは渋い顔をし、食いしん坊は呑気にモニターを眺め、オタク女史は素直な感想を漏らしていた。
「その後に10人相手に大立ち回りとはすげーなおい」
「そうね、けどジャンヌ=ダルクは既に50人くらい返り討ちにしてるんでしょ?」
「そりゃあ、あのジャンヌ=ダルクを相手にするとなると二つ名持ちのプレイヤーでもなければ少数で勝つのは厳しいからな。通算50人超えなんて当然だろうよ」
アドニス達との戦いの様子を楽しむネゴ、他のプレイヤーの名前を出す女将に補足するコンパ。
「実際、ウォーカーが相手した連中はステータスで見れば今のウォーカーと同等か少し下くらいの連中がほとんどだったからな」
「最後に戦っていたアドニスは確かウォーカーよりもステータスは高かったんですよね?」
「そっすね、極端な差はないっすけど、総合的に見て上なのは確かっすね」
と、そんな会話を交わしていく面々だが....
「遊び人ですよね?」
「....遊び人だな」
「本来はゲーム内において基礎ステータスは最弱クラスのね」
「そっすね」
「それが同格とはいえ戦士職や魔法職がほとんどの10人組に勝ってみせた...」
「どう考えても『コーバスコラックス』と『乾坤一擲の勝負師』の相乗効果だな」
食いしん坊は確認し、渋々認めるリーダー、職業を確認する女将と追随するオタク女史、ことの経緯を振り返るコンパ、そしてその要因は何か分かっているネゴだった。
・・・・・・・
「弱体化しますか?」
「いや、明確に飛び抜けた何かをしてない現状じゃな....」
「しかも、特定のプレイヤーのみを対象とした弱体化ってのはバレると...」
「しかも、別に上位プレイヤーとかでもないしな...」
「んぐ、仮にウォーカーが上位プレイヤー並みのステータスになってからにしても、今あるステータス補正のスキルだけじゃ足りないからまだまだ先の話ですからね」
「そっすね〜、って、ああ、それ駅前のお店のエクレア!」
「あ、テメェ、それ5個しかないんだぞ!」
「あと4個ですね〜」
「って、あ、抜け駆けするな!」
「早い者勝ちよ!」
休憩スペースへ駆け込んでいく食いしん坊を除いた面々。
「あ」
「どうした?」
「ウォーカーがスケルトンと鬼ごっこしてます」
「「「「「はぁっ!?」」」」」
「しかも鬼役で」
「「「「「そっち?!」」」」」
そんなつもりはなかったが、多くの人を困惑させている当のウォーカーは....
走っていた。
墓場で。
鬼ごっこをしていた。
骸骨と。
「意外と速いですね....待て〜」
追いかけていた。
骸骨を。
文字通り、昼は墓場で鬼ごっこしているウォーカーであった。
食いしん坊が食べていたエクレアは勤め先の近場の駅前にあるお菓子屋の人気商品。お一人様5個1セットのみしか買えず一日10セット限定の代物。
基本的にローテーションで不定期に買うのが恒例となり、買った人は優先的に食べることが出来、残りの4個を熾烈な争いの末に分けるのも恒例となっている。
ちなみに、今回買ったのは食いしん坊だが、相談なしの独断での購入である。食いしん坊は自分ルールでお菓子とかを買うので。
甘いお菓子が大好きな食いしん坊である。
ちなみに、残りの4個を食べれたのは....
「く、くっそ〜」
リーダー以外のメンバーでした。




