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真面目な僕は遊び人になりました  作者: 樫原 翔
ゲームをさらに楽しみましょう。
32/61

初めての決闘です。新武器のお披露目です。

 ガイさんのご指導の時にも来たフィールド。


 けど、決闘自体は初めてですね。


 ■■■■■■■■■■


 決闘の観戦申請があります。


 許可しますか?


【YES】   【NO】


 ■■■■■■■■■■


 おや、何ですかこれは?


 ああ思い出しました。

 確かガイさんが教えてくれて決闘システムの一つでした。


 観戦したい人がいた際に決闘する両者に表示されると言ってましたね。

 確か見せる相手をフレンド限定とかにも出来ると言ってましたね。


 ロイドさんは...

「ふん、いいだろう。貴様を下し、僕の強さを知らしめてやる」

 あ、問題ないようですね。


「ウォーカー、観戦制限なしにしろ」

「あ、分かりました」

 ええと、観戦者の制限なし、と。


 これで、ガイさん達も見れるようになったのかな?




 よし、では武器を決めましょうかね。


 ロイドさんは...


「後悔させてやる!」

 おお、二刀流ですか。


 二振りの剣を手に構えています。

 あ、そういえば『双剣のロイド』って自己紹介してくれましたね。


 ならば僕の武器は...


「いきますよ」


 ーーーーーーーーーーーーーーー


『双剣のロイド』

 なんて名乗っているがこの二つ名は自称の意味合いが大きい。


 とはいえ、彼の実力は全体から見れば中位の中で上寄りといった所で決して侮れるものではない。


 間断の少ない連続攻撃を得意とする『デュアルソードマン』の職業を持つ彼の攻撃の多さは嵌ると強力である。


 そんな彼が対峙する瓶底眼鏡のプレイヤーが取り出したのは短剣一振り。


(暗殺者か? とはいえリーチに劣る短剣ならば問題ない)

 ロイドは相手の武器を見て自信を持った。


 二刀流というものは何も攻撃の手数を増やすためだけではない。敵の攻撃を防ぐ幅を広げる防御手段としての特徴もある。

 実際に剣道においても二刀流は相手の攻撃を防ぎ引き分けを狙うことが出来るから禁止されていた時代があるほどだ。


 短剣が相手なら片方でそれを防ぎ、もう片方で切り捨てればいい。

 実に単純な結論だ。


 そして、決闘の始まりを告げるブザーが鳴る。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 ロイドの実力は本物だ。

 私やガイには劣るが単純なステータスならウォーカーを容易く上回っているのは確かだ。


 ブザーと同時にロイドが駆け出す。


 狙うはもちろんウォーカーの首だ。

 このゲームでは急所となる部位を突けばダメージは大きく出る。


 以前のバトルイベントの時も時間制限がなかったら私はウォーカーに敗北していた可能性もあったのもこの点が大きい。




 ロイドの双剣が振るわれる。


 対するウォーカーは短剣の刃先を向けてはいるも、腕は降ろしており完全に無防備だ。


 直撃する。

 そう思った瞬間だ。


『へがっ!?』

「え?」


 仕掛けたのはロイドだ。

 だが声を出したのもロイドだ。

 しかも不意を突かれて変な声を出している。


 私は自分の目を疑った。

 さっきまで短剣が握られていたウォーカーの手には...


「ピ・・」


「「「「「ピコピコハンマーッ!?」」」」」

 思わず大声で言ってしまった。

 いや、ウォーカーのフレンドであるガイ達や他に観戦していたプレイヤーとも声が揃ってしまった。


 だが確かにウォーカーの手には今、ピコピコハンマーがある。

 しかも、現実ではありえない巨大サイズの。


 おそらく、武器が変わったのは以前にも私を翻弄した『ウェポン・チェンジ』だろう。

 けど、何でピコピコハンマー?


 いやまあ、あのサイズの物体がいきなり前に出ればそれに撃突したロイドが変な声を出して止まるのは分かる。


 でも何でピコピコハンマー?

 ふざけて・・・いや、大真面目なんだろうな。


 そこまで親しい訳ではないが、私もウォーカーという人間が少しずつ分かってきたつもりだ。




 ーーーーーーーーーーーーーーー


 思いつきでやってみましたが、不意打ちにはいいですね。


『ウェポン・チェンジ』でソードブレイカー(短剣)からピコピコハンマーことK・Oハンマー(クラウン・ホイッスル)に換装したらロイドさんの目の前には巨大なハンマーヘッドが出現。

 結果、激突しました。


 まあ、ダメージはほぼないですけど。


 けど、動きが止まったならばチャンスです。

「よいしょっ!」

 フルスイングです。


 “ピコッ!"

「ぶえっ!?」

 この音...運がいいですね、ロイドさん。


 軽く吹っ飛ぶロイドさん。

「この!」

 けどダメージは大したことはないので姿勢を直そうします。


 なのでもう一回。

 “ピコッ!"

「ぶはっ!」

 残念。


 ならば、何度も叩くまでです。

 “ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコッ!"“ピコンッ!"


「あ」

 この音!

 ロイドさん、立ち上がる気配はなし。そして頭の所で鳥さんが輪を描くように飛んでいます。


「失礼します」

 短剣に持ち替えてサクリ。


「がっ!?」

 一瞬声を出しましたがそのまま消えていくロイドさん。


 ◆◆◆◆◆◆◆


 Winner:ウォーカー


 ◆◆◆◆◆◆◆


「あ、勝ちました」

 空中に表示されたウィンドウに僕が勝者と示されました。


 なんて思っていたら次の瞬間には僕はさっきまでいた掲示板近くの場所にいました。


 おや残念。勝利の余韻に浸・・るほどもないのでいいですね。


「ただいま帰りました」

「おかえりなさい先パイ!」

「すごいですね、向こうのがレベルとか上でしたのに」

「そうでしたか。それは運が良かったですね」

 いや、本当。新しい武器のおかげですね。


 ■■■■■■■■■■


K・Oハンマー(クラウン・ホイッスル)


[性能]

 POW:+5


 ノックバック効果


 Durability:∞


[解説]

 ユニークシリーズ。

 ロキが用意した遊びをクリアした者が装備出来る。見た目は巨大だがピコピコハンマーなので軽く、破壊力もほとんどない。

 ただ、上手く相手にヒットすると・・・

 譲渡不可。売却不可。


[固有スキル]※装備中のみ効果を発揮。

『ライズorダウン』

 殴打した相手を低確率で気絶状態にする(耐性無効)。ただし、気絶状態で殴打すると気絶状態が即解除される。

 気絶させるコツがあるかも。それが分かれば確率は上がる・・・かな?


 ■■■■■■■■■■




 とまあ、このピコピコハンマーは人を気絶させてくれるという代物でした。

 調べてみた限り、気絶状態とは意識が無くなる完全な無防備の状態ということで戦闘時に強いショックを受けると極稀に起きるのだとか。

 麻痺状態もある程度動けなくはしますが、魔法のような動く必要なく使えるスキルとは相性が悪いので、気絶状態はある意味上位互換ですね。


 そして気絶させるコツはまだよく分かりませんが、気絶したという判断材料は音のようです。

 これまで何度かモンスター相手に振り回していましたが、『ピコッ!』だと全然気絶してくれなくて、『ピコンッ!』だと気絶していました。

 尤も、それに気づくまでは気絶しているのに叩いてしまって起こしてしまうことが何度もありましたけど。


 コツというのが本当にあるのなら、そこも把握しておきたいですね。


 とりあえず、それまではピコピコハンマーで叩き続けましょう。




「それじゃジャンヌさん、よろしくお願いします」

「あ、ああ。分かった」

 こうして僕達は8人でクエストを受けることになりました。




 そういえば、ロイドさんは...

 あ、俯いて歩いてますね。前を見ないと転びますよ。






 掲示板には色んなクエストが貼られています。


 えっと、『ゴブリン退治』、『ポーションの材料採取』、『ボア肉の調達』、『オムレツ提供』etc....


 本当に色々ありますね。


 どれもやってみたいですけど、せっかくみんなで受けるんですから・・・


「あ、これ...」


 ■■■■■■■■■■


『村を助けて』


[概要]

 ファスタの町より北にある開拓村に支援を。


[詳細]

 モンスター討伐、アイテム生産と納品、素材採取など


[参加条件]

 無制限


[報酬]

 応相談


[依頼人]

 村の少女ララ(NPC)


 ■■■■■■■■■■


「これにしましょう」

 僕はこのクエストにします。


 “ざわっ!!"

 ん、なんでしょう?


「あいつ、あれを選んだぞ」

「子どもが依頼人のって報酬ほぼ皆無だろ」

「考えなさ過ぎだろ」


 ほうほう。そういうことですか。

 受けやすそうな内容なのに誰も受けなかったのはそういうことですか。


 ふむ、

「皆さん、他のにしましょうか?」

「先パイ、それにしましょう!」

「そうそう、面白そうだし」

「いいと思うぜ」

「私は仲間に加えてもらった所だからな。構わないよ」

 悟空くん、たまこちゃんさん、ガイさん、ジャンヌさん...


 まるたちゃんさん、ルナさん、マーキュリーさんは...


 あ、頷いている。


 皆さん、僕に気を遣ってくれて・・・




「よし、それじゃいきましょう」

 クエスト、受理と。

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