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新たなる力
「森羅万象契約の理よ。今こそ我とその契りを結び給え」
ミラの足元に広がる契約魔法陣。
今ある魔力が蒸発するように抜け出たかと思うと心臓から生じる燃え滾る魔力。
それはミラが思うよりもずっと強力なものだった。
『我が汝に与えし力。存分に振るうがいい』
泉のように沸々と溢れ出る力。
まるで別種の生き物に生まれ変わった気分だ。
今の自分を試してみたいと思う一方でそれがどれほどのものなのか想像もつかないという不安。
故にミラは目を瞑り猛る気持ちを宥めた。
自分が今からやるべきこと――それは殺しではない。
どれだけ凶悪な相手であったとしても生かしたまま無力化することだ。
自身にいかなる変化が生じようともミラは己の信念を貫かんとカッと目を見開いた。




