火龍炎舞
時間の経過とともに薄れる土煙。
先刻よりも露わになった人影を睨みレグナは吐き捨てるように言った。
「ホント何なんスか……」
手加減なしの攻撃。あれで死んでいないわけがない。
心の中で同じ言葉が堂々巡りするも、殺したはずの少女はたしかに生きていてセルヴァスを守るように立っていた。
「はは……気味悪いったらありゃしない。でも次で終わりッスよ」
驕りはあった。相手が格下だと侮っていた。
それゆえ無意識のうちに手加減したに違いない。
今度こそ正真正銘全身全霊による攻撃。
本命である四条要やネイロとの対峙を意識して魔力の温存を考えていたレグナはその考えを完全に捨て去り全力でミラを屠らんと殺意を剥き出した。
「“散氷乱雨”!」
空一面を覆う鋭利な氷の飛礫。
それは先刻ミラを攻撃した数十倍の規模を誇っていた。
「さてと……そろそろマジで死んでくれないっスかね」
レグナが手を振り下ろすとミラに降り注ぐ氷の飛礫。
――逃げ場はない。
にもかかわらずミラは他人事のように迫り来る氷の豪雨を見ていた。
「……“火龍炎舞”」
太陽を彷彿とさせる眩光。闇夜を照らすように光が広がる。
降り注ぐ氷の飛礫は光に吸い込まれるように消滅し、レグナは自分の攻撃が完全に無力化された事実を目の当たりにして狼狽えた。
「バカな……そんなはず……」
両目が飛び出るほど見開いても信じられない。
巨大な炎龍が少女を守るようにとぐろを巻き自分と相対するイメージ。
これには百戦錬磨の戦歴を誇る殺戮部隊の経験を以ってしても滝のような冷や汗が止まらなかった。




