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漆黒の魔剣士と白銀の姫君  作者: よこじー
第2章 カーライム王国内乱編
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第87話「論功行賞」

 先王を弑し、玉座を簒奪した悪逆の徒・カスティーネ=ハンセルン=カーライムは、シアン=ハンセルン=カーライムの手によって誅された。

 これによりカスティーネについていた城内の将兵たちもみな降伏、そして。


「皆控えよ! 第18代カーライム王国国王・シアン=ハンセルン=カーライム陛下の御出座である!」


 玉座の間にスタンドリッジ伯爵の声が響き渡る。

 内乱の終結から数日の後、シアンは正式に王となったのだ。

 頭に煌びやかな王冠を載せ、白と青を基調とした上品なドレスに身を包んだその姿は、あまりに美しい。

 彼女は玉座にゆっくりと腰を下ろすと、集まった諸侯を見渡し告げた。


「こうして私が父の仇を討ち、玉座にいられるのは皆の働きがあってこそ。大儀でした。王として私はこれに報いねばなりません。よって、これより先の戦における論功行賞を行います。それではまず戦功第一、オータス=コンドラッド伯爵前へ!」


「ハッ!」


 呼ばれたオータスは若干上ずった声で返事をすると、緊張した面持ちで前へと出た。


「オータス卿。内乱における貴方の活躍は凄まじいものでした。貴方の力がなければそもそも何も始まってすらいなかったでしょう。感謝します。よってこれまでの功を以って、貴方を『大将軍』に任じます。これよりはこの国最強の矛として、私を支えてください」


「だ、大将軍!?」


 彼女の口から告げられたのはあまりに予想外の役職であった。

 たしかに、いま大将軍の席は空いている状態である。オウガ=バルディアスがいまだシアンに降伏する気配なく、自領にて反撃の機会を伺っている以上、彼がその地位にあるのはふさわしくないからだ。

 だが、だからといって決して軽々しくあげていいものではない。大将軍とは、最強の武人である証。長い王国の歴史のなかで、これまでに多くの猛者たちがその地位については伝説を残してきた。

 オータス自身、褒美でなにかしらの役職は貰えるだろうとは考えていたが、まさかここまで大きなものを貰えるとは思っていなかった。


「不服ですか?」


「いえ、とんでもありません。このオータス=コンドラッド、謹んで拝命いたします」


「では、よろしく頼みますね」


 深々と頭を下げるオータス。シアンは優しく微笑む。

 どうやら彼女はこの褒美を過分とは思っていないようであった。

 こうして、大将軍・オータス=コンドラッドが誕生したのだった。






 その後も論功行賞は順調に進んでいき、シアンによる新体制の全貌が露わとなった。

 まず、北域守護を司る鎮北将軍の地位にショーン=スペンダー公爵、次に、東域守護を司る鎮東将軍にサムルハ=エイヴァンス公爵、そして鎮西将軍にはトニーボ=タランコス辺境伯がついた。鎮南将軍はポッスン=ヘイドリスという名の男が務める。彼は滅ぼされた男爵家の旧臣で、シアンよりヘイドリスの家名を名乗ることを許された。以上四将軍は、大将軍であるオータスの指揮下ということになる。

 また、宰相にはユーウェル=スタンドリッジ伯爵が。ケルビン=メンティは立場はそのままであったが、代わりに金銭等他の褒美がたっぷりと与えられた。

 その他には、エステバ=ジャンゴフが近衛大将に昇格。代わって近衛中将にはアリサがなった。ユイナは大将軍補佐役としてこれまでと同じようにオータスのそば近くに仕える。

 シアン=ハンセルン=カーライムの新政権。それがいよいよ始動する。

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