第12話 闇属性は、裏を支配する
結論から言うと――
街は、表だけじゃ回らない。
むしろ、裏が回らないと一瞬で崩れる。
拠点が“街”と呼ばれ始めて、一週間。
表向きは順調だった。
冒険者の往来
安定した回復
倉庫管理
夜間警備
(完璧)
……表向きは。
「……噂、出てます」
セレナが、風の流れを読んで言った。
「“学園の異常者が街を作った”って」
(事実)
アクアが帳簿を閉じる。
「税の話も、そろそろ来ます」
(来るよね)
フレイが腕を組む。
「武装した偵察も増えてる」
(来る来る)
「つまり」
僕は、まとめた。
「見られてる」
全員が、頷く。
その夜。
街の外れ。
灯りの届かない場所。
――影が、動いた。
「……面白い街だ」
低い声。
誰もいないはずの路地に、
いつの間にか人がいた。
黒衣。
輪郭が、曖昧。
(……闇)
「こんばんは」
僕が言うと、影は少しだけ笑った。
「驚かないんだね」
「大体、予想してました」
(闇は、来る)
「情報が速い」
「警戒線が柔らかい」
「それでいて、致命的な穴がない」
影は、街を眺める。
「……裏に、誰もいないのに」
(評価、高い)
「自己紹介を」
影は、フードを外した。
夜色の髪。
静かな目。
「ノクス」
闇属性の術士。
同時に――
「情報屋です」
(来た)
「街ができると、必ず裏が生まれる」
ノクスは淡々と言う。
「犯罪」
「諜報」
「交渉」
「裏取引」
「放置すると、勝手に育つ」
(それは困る)
「だから」
ノクスは、こちらを見る。
「最初から、管理する」
(合理的)
条件は、簡単だった。
裏の流れを一任
情報の透明化(内部向け)
無駄な殺しはしない
(全部、OK)
「……報酬は?」
僕が聞くと、ノクスは肩をすくめた。
「居場所」
(深い)
その夜から。
街の“影”が、整理された。
怪しい冒険者の動向
他国の視線
学園内部の会話
商会の裏交渉
(……全部、上がってくる)
アクアが、震えた。
「これ……知りすぎじゃないですか?」
「知らないより、いい」
ノクスが即答する。
地下観測室。
水晶が、静かに光る。
《異常記録》
連結個体:闇属性
機能拡張:情報・隠蔽・交渉
政治影響:発生
「……国家案件、確定だな」
拠点の夜。
表は灯り。
裏は静寂。
(……安定してる)
ノクスが、ぽつりと言った。
「次は、光だね」
「……なぜ?」
「闇だけだと、怖いから」
(確かに)
胸の奥が、最後のピースを示す。
(調停者、か)
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