第十四話:二人は恋人(仮タイトル)
仲村廣樹ナカムラヒロキの高校生時代の話です。ちょくちょく誤字脱字直します。
まだ途中ですがそろそろ一度、完結するかもしれません。
慎一は携帯電話の電源を切った。
「……誰のベルに何を送っていたの?」
ドレスを着た綾子が鏡台の椅子に座って携帯電話を持つ慎一を覗き込むように訊いた。
「あ、えっと……廣樹に朝まで連絡しないでくださいって……」慎一は綾子を見ながら言った。
「フフ……なんか、家出して探さないでください。そう言ってるみたいだね?」クスッとと笑いながら綾子が言った。
「……家出? 確かに家出みたいな言い方だったかも……」慎一もつられるように笑って言った。
「……慎一……私もう我慢出来ないかも……」とろけた目で慎一を見ながら綾子が言った。
慎一は綾子を後ろから優しく抱きしめると優しく撫でた。綾子から甘い吐息が漏れる。
「本当に綾子は色っぽいね……大好きだよ」慎一が綾子の耳元で囁いた。
――翌日のホテルエントランス――
「――あのさ! 慎一さ! 昨日のアレは酷くないか? 知らぬ間に俺と純也を置いて抜け駆けしやがってさ!」廣樹が慎一に怒声を浴びせていた。
「……はい。ごめん……なさい……」慎一は小さくなって廣樹に小声で謝る。
「まあまあ、慎一も男なんだしさ、据え膳食わぬは男の恥で熱いうちに食べちゃっただけなんだからさ」純也が廣樹を諭すように宥める。
「……廣樹くんごめんね、誘ったの私だから……」綾子も慎一の横で謝る。
「――はぁ! ますます許せないんだけど! 慎一だけイイ思いしやがっ――イテっ!!」
その瞬間、京子が廣樹の脛を蹴った。
「慎一だけ? 今、慎一だけって言ったかな? 廣樹は私との夜は不満だったんだ? へぇ、そうですか、廣樹はアレで不満だったんだね? 私がドレス着て――」
廣樹が京子の口を慌てて抑える。
「――いや! そんなこと微塵も無いです! 俺が悪かった! 京子ちゃんは最高でした。文句なんて何もありません!」廣樹は慌てて京子を撫でながら謝った。
それを見て純也が吹きだした。
「……いったいどんな夜だったんだか? 俺は慎一を恨んでないぜ? おかげで奈那とロマティックな夜を過ごせたしな……誰かさんが京子とさっさとホテルに戻ったおかげで、あれから奈那とディズニーランド散歩してさ、それから仲良くホテルに戻って部屋で――イテっ!」
奈那が純也の話を折るように脛を蹴った。
「――良いから! そこから先は口に出さなくて良いから!」奈那が純也を睨みながら言った。そして小声で呟く「……だって、恥ずかしいだろ……それにこれは……私と純也だけの思い出じゃん……」
「奈那可愛い……本当に奈那は可愛いな」純也は奈那の頭を優しく撫でながら言った。
「……純也ってさ、あんなキャラだったっけ?」廣樹が横にいる京子に問いかけるように訊いた。
「――いや! 全然違うと思う……もっと、こうクールな感じだったと思う……」京子は首を振りながら答えた。
「……だよな? 何このデレデレした純也。俺びっくりなんだけど!」廣樹が独り言のように呟いた。
「私だって、ビックリしてるわよ!」京子が廣樹を見ながら言った。
「……まぁ……みんな恋人と楽しい夜を過ごせたってことで……」綾子が皆を見ながら遠慮気味に言った。
「そうね……そうゆうことで手を打っておくか……」廣樹が口を開いた。
「じゃあ、チェックアウトして駅に向かうか」純也が皆を見ながら言った。
「楽しかったね……まさか、ディズニーランドホテルが人生初のお泊りデートなんて想像もしてなかったな……本当に幸せ……」綾子が慎一に腕を絡めて歩きながら独り言のように呟いた。
「うん、俺も同じ……本当に楽しかった! 夢の国とはよく言ったもんだね? 本当に昨日は魔法がかかって夢の国にいるって感じがしたもん! 魔法のおかげで綾子とも沢山の思い出が出来たし、お互いにもっと知ることも出来たしさ……」腕を組む綾子を見ながら慎一が言った。
キャリーバックを引きながら廣樹の横を歩く京子が不意に呟いた。
「ねえ、廣樹……赤ちゃん出来たらどうしようね?」
それを聞いた廣樹が豪快に咳き込んだ。
「は!? 赤ちゃん? だって、大丈夫って言ったじゃん!」廣樹は顔面蒼白で焦った表情で京子に言った。
「――ウソ! アハハ、嘘に決まってるじゃん! ちょっとだけ廣樹を揶揄ったの。ウチらまだ高校生じゃん! いくら廣樹が好きでもまだそんな手を使ったりしないわよ! でも、出来た時は責任取ってね?」ケラケラと笑いながら京子が言った。
「――まだ?」
廣樹は顔を引き攣りながら思った。男の先っちょだけと女の中に出して良いよは本当に信用してはいけないって本当だなと。自分は高校生だから無いにしても、社会人だったならと考えると心底そう思えてならなかった。きっと授かり婚の半分は、偶然を装った女子の周到な計画の上で起きた必然なんだと思えて仕方なかった。
――新幹線の中――
六人はディズニーでの思い出話に華を咲かせていた。
「――でも、本当に楽しかったね? また次にディズニーに行ったら、今回とは違う顔のディズニーが見れるんだろうね? ディズニーって本当に不思議な場所だよね? 同じ場所なのに、行く度に違う雰囲気で違う日を過ごせそうな場所だもんね?」綾子がみんなを見ながら言った。
「……確かにそうかもな……俺も本当に楽しかったけれど、まさかここまで楽しくなるとは思ってなかったもんな……」純也が誰に言うでもなく言った。
「俺もそうかな? 京子とだから楽しいとは思っていたけれどさ、ここまでとは思わなかった。もし、次にこのメンバーで行ったとしても、その時はまた違う関係と仲で過ごすディズニーだもんな……」廣樹が呟くように言った。
「……そうだよね、廣樹と私の初ディズニーデートは今回だけだもんね? 次は二回目だからまた違う視点で見るディズニーなんだもんね?」京子が廣樹を見ながら言った。
「……そうだな……私と純也の初ディズニーも今回だけだもんな……ま、私達はこれから何回も良く予定だから? 思い出を重ねていくんだけどね?」奈那が横に座る純也に身を寄せながら言った。
「アハハ、確かにそうかもな……」と、純也が相槌を打つように言った。
良かったら、感想や意見よろしくお願い致します。自分の小説は基本同じ時間軸の同じ登場人物になります。