没話集・二人のカップル疑惑について ~ 友人達の証言 ~
|ω・)つ[没話] そーっと……
ハピエン企画期間が終了したので、本編に入れられなかったお話しの一部を後日談風にこっそりと纏めてみました。
「「「「「「「ダブル婚おめでとう、二人とも」」」」」」」
「「ありがとう」」
本日は、日程的な問題で私達の結婚披露宴にどうしても来ることが出来なかった友人達が中心になって不義理の謝罪と称した、私と正樹を弄ぶ為のミニパーティーを開いてくれています。
「まさか二人とも双方の親と結婚するとはなぁ…… 予想外にも程があるぜ」
「全くよね」
「私達、てっきりあんた達の結婚式だと思ってたのに招待状を見て二通とも二度見したわよ、二度見」
「だから言ってたでしょ? 私達はそういう関係じゃ無いって」
「周りが勝手に勘違いしてくれてたのは、有る意味助かってたけどな」
正樹が笑いながらそう言うと、向かいに座っていた健悟君の頬がぴくりと動いた。
「勝手に勘違いだぁ? 誰がどう見たってお前ら以上にカップルしてた奴らはいないってのに」
その言葉に、参加メンバー一同が大きく頷いた。
「え? あの……どこら辺がそう見えてた?」
「…………まさか無自覚だったの?」
「いや、少しはそういう風に見られるように意識してたつもりだけど、誰よりも?」
「正樹も無自覚だったのか」
「……え? いや、まさか、そんな……」
「それじゃ思い出話でもするか?」
「いいね!」
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証言1 ―登下校時―
『正樹ー、寒いー』
『そんなに着込んでるのにまだ寒いのか』
『なによー、私が寒がりなの知ってるくせに』
『はいはい。ほらコートの中に入れよ』
『ありがとー、はー、あったかーい』
『ちゃんとくっつかないと隙間から風入るぞ』
『うん』
「あったなー」
「冬場にはよく見た光景だった」
「暁美ちゃんがコートの中で頬を赤くしてしっかりと正樹君に両手で抱きついたまま歩くのよね」
「それで正樹君が暁美の肩をコートの上から抱いてる姿の板につきっぷりったら」
「後、バス停でバス待ってるときに、後ろから両手で抱きしめられた二人羽織状態で、へにゃーってした顔を出して立ってる暁美の可愛らしさに何度悶えたか知れないわ……」
「極めつけは二人羽織状態で正面から抱きついたまま正樹君を見上げるように話してるあれ!」
「そう、あれ!」
「あ、あれは暁美が極端な寒がりだから昔から――――」
「はいはい、次行くわよー」
「ちょ、待てって、聞けよ、おい!」
証言2 ―昼食―
『正樹、はいお弁当。今日は照り唐入れたよ、嬉しい?』
『え? ほんとか? 凄い楽しみだ』
『えへへ~』
「はい、ここでストップ!」
「ここだよね」
「ああ、ここだな」
「見所は暁美の嬉しそうなとろける笑顔よね」
「暁美って正樹君に褒められたり、喜ばれると表情がとろとろになるのよね」
「それは正樹の嬉しそうな顔を見てたら私も嬉くなって――――」
「その時の正樹が暁美を見る目も必見!」
「ああ、すっげぇ優しい目してるもんな」
「「私の話聞いてよー」「俺もかよ」」
「じゃ、続きー」
『あれ? 卵焼きそっちだけ?』
『うん、照り唐増やした分、入れる場所無くて…… 欲しかった?』
『ちょっと欲しい』
『仕方ないなぁ、はい、あーん………… 美味しい?』
『ああ、いつも通り美味いよ』
「あーんですってよ、おくさま」
「ああ、お前が俺の為に作る料理なら何だって美味いよ、暁美。きらーん!」
「「きゃー」」
「そこまで言ってねぇ!」
「それでも、ベタすぎるだろ」
「それは子供の頃からの癖で……」
「はい、次行くよー」
証言3 ―お買い物―
「正樹がカゴを押してー」
「暁美がその隣を歩いて食材をカゴにいれていく!」
「正樹が買い物袋を持ってー」
「暁美と並んで商店街を歩いて商品の物色!」
「そしてー」
『正樹ー、今日何食べたい? 正樹が食べたいの作るよ』
『暁美が作るもん旨いし何でもいいよ?』
『もー、この間もそう言って誤魔化したよ? 今日は駄目だからね」
『わかったよ。そうだなぁ、なら最近肉多いから魚がいいな』
『なら油は使わないであっさり目がいいかなぁ。煮付けにする? それともお刺身がいい?』
『煮付け』
『ん、わかった。あと、正樹の好きなひじき煮作るね』
「ここでにっこり微笑みながら正樹の腕に抱きつく暁美!」
「「「この光景を近所の奥様方が微笑ましく見てる!」」」
「もうカップル通り越して若夫婦を見守る図だったよね、あれは」
「だよね」
「くっ……」
「プールに行けばプールサイドに二人でぴったりくっついて座ってるし」
「いや、それは暁美に男避けに頼まれて――」
「暁美が新しい水着の初お披露目の時、正樹君の前でくるっと一回転して見せて、正樹君が褒めたら蕩けそうな笑顔で抱きついたこともあったよね」
「あー、あったあった」
「正樹君がその暁美の頭撫でてたあれだー」
「あれも男避けの演技かー?」
「……あれは本当に嬉しかっただけ……だけど……えっと……」
「……お前らなにをニヤニヤと……」
「ピクニック行ったときは暁美の膝枕で正樹君が寝てた」
「あ、あれは、あの頃、正樹のアルバイトが詰まってて疲れてたから帰りが心配で…… 枕になりそうなものもなかったし……」
「縁日に行けば二人浴衣でお揃い。しかも手繋いで歩いてるし」
「だってそうしてないとはぐれそうで――」
「二人っていつも正樹君の部屋に一緒にいたよね。暁美に会いに行くのに正樹君の家に行った方が高確率で会えるってどうなのよ」
「部屋の主がいないのに、暁美だけ居たこともあるよね」
「それは、お母さん居ない時は正樹の家に行ってなさいって言われてたから」
「それって、幼稚園か小学校低学年の時に言われたとかじゃないよね?」
「う……」
「正樹君のベッドで寝てたこともあったよね? それは?」
「……正樹の部屋で本読んでたら眠くなって、自分の家に帰るのも面倒だったから、つい……」
「正樹んちに遊びに行ってさ、おじさんに二人とも部屋にいるから上がっていいぞって言われて部屋に入ったら、二人が一緒に寝てるの見たこともある」
「ああ、俺も見た事ある」
「私も」
「それは、俺も眠いからどけって言うのに暁美が起きないから意地になって……」
「でもさ、正樹君の腕枕で暁美が抱きつくように寝てたのを初めて見たときは流石にちょっとビックリしたわよ。何回も見たからいい加減慣れたけどさ」
「あっ、あれは無意識! 正樹って暖かいから隣にいたら自然とくっついてて……」
「ちょっとビックリするだけで終わる俺らも、いい加減感覚麻痺してた気もするけどな」
「普段が普段だし」
「まあな。あれ見たときは、こいつらもうやってるなって普通に思った」
「俺も」
「「違うっ!」」
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「な? 誤解すんなって方が無理なんだよ」
「「…………無理?」」
「「「「「「「無理」」」」」」」