第二十九話 フルコースで村を救え
獣王神様の所で皆んなが修行を始めて約2週間
村は平和だった
そもそもブーはレベル上げに興味がないので
朝食作り、お昼は軽食、お料理教室、夕食という
もはや飲食店かって位一日中料理をしていた
イガー達がいないのを良いことに
他の村人がここぞとばかりにブーを手伝い料理の技術を盗んでいたのだ
「ねえ、聞いて、ブーさん本当に凄いのよ!
リンゴの美味しい食べ方ないかなーってボヤいたら
タルト・タタンって香ばしいお菓子教えてくれたのよ!」
「なに言ってんのよ!私なんかバター余っちゃったって言ったらバター餅って素敵なお菓子教えてもらったんだからね」
「フンッ俺はなーパンをもっと美味しく食べたいなーって呟いたらパンプディングなるお菓子を作ってくれたぞ」
「あら、あたしは、、」
皆んな暇が出来るとブーの所へ食材を持ってって新たな料理を教えてもらうという楽しみを見つけたようだ
幸いそれのおかげでブーは毎日疲れ果て、今居ない仲間の事で寂しがる事も少ないようだ
因みにお料理教室の時に作ったのは以下の通り
@ドゥーブルフロマージュ「ダブルチーズケーキ」
@レーズンバタークッキー
@ラングドシャ
@モンブラン
@ハスカップジャムのロールケーキ
@十勝あずきのお汁粉
@あんぱん
自重が外れた北海道民はもはや凶器である
この異世界にこんな甘味を作っちゃったもんだから
女性達がキャーキャー喜び
麻○薬のようにハマり
朝からお菓子を食べたいと駄々をこねるようになってしまったので
しばらくはやめようか、と村長と話し合った
そしたらイキナリ辞めるとさらに暴動が起きかねないと、1日1回、少量ならいいだろうとなった
「すいません村長、迷惑をかけます」
「いや、、この位は大丈夫!皆んなにちゃんと説明すればわかってもらえるでな、新たな村の大事なお土産になるしな
しかしそろそろ2週間か、、、そろそろ一度様子を」
「村長ー!」
話してる途中にミツバチ達がたくさんやってきて警戒してって教えてくれる
「ど、どうしたの?」
「村長ー、入り口にお客さんだ!」
それを聞いてサッと走り出すブー
背中に村長を背負っている
「アレは、、誰だろう」念のためミツバチさん達を村中に展開!さらに村の外へも
「あ、あの。、何か身分を証明する物はありますか?」
「フムッ、、身分とな?我は世界最強の海竜王なるぞ!」
「んなっ!!」驚きの余り言葉を失うロバ獣人で門番のロームさん
どう対応していいか分からなくなって黙っていると
海竜王なる人物は村へ入ろうとする
「ちょっ、、ちょっと待ってくださ、、」
ドゴンッ、、突然ロームさんが吹っ飛ばされた
「なっ!!」それを観て流石にやばいと思ったから背負っていた村長をその場に置いて
自分だけで入り口へと急いだ
「ホウ、、やっと来たか、、お前から獣王神の匂いがするぞ」
頭に2本の角を生やし、瞳は閉じている、ラウンド髭でワイルドな感じ
髪は綺麗な青色で割と小柄なヒト型、でも要所要所に筋肉がある、、所謂ガッチリ体型か、、
ただ、、この人から溢れ出る魔力、闘気といった物が半端じゃない。
負ける!全力でやっても必ず負ける
そう肌で感じるのだ。残る道は一つ、何をしにここへ来たのか
被害を最小限に抑えなくては
「獣王神様をご存知ですか?失礼ですがご用件はなんでしょう?」
「フム、、用か、、用は余りないな
まあ久しぶりに顔でも観てやろうかと言った所か、、
それよりお主美味そうな匂いをしとるな
どこだ?案内せよ」
「え、、、」
「早くしろ、余を待たすな!」
「あ、はい!」
とりあえずミツバチさんにハチミツポーションの小瓶をロームさんに届けて貰ったら「生きてるよー」って連絡がきたから安心した
村を歩いてお料理教室の場所まで行く
するとまだテーブルにたくさんのお菓子が残っていた
「オオッコレか、、何とも甘ーい香り、我に献上せよ」
「え、別にいいですよ!どうぞ」
ちょっと村のお客さんだからね、みんな向こうに行っててねとさっきまでいた村人へ言うと
「お菓子がー」って泣かれたから埋め合わせをするからと落ち着かせた
何もお菓子で泣く事ないでしょ、、、
「うーまーいーぞー」眼から涙を流す海竜王と名乗る人物
いや、もう、、、号泣ですか、、
「ハハッ、、」
どう対応していいか分からないブー
「お主か?コレを作ったのは?」
「ええ、ハイッ」
「そうか、ヨシッ決めたぞ!お主を我が専属のコックさんとやらにしてやろうぞ」
「ええー」
「ムッ?不満か?」
「いえ、僕はこの獣王国のケモフィ村の一員です
なので村民へ毎日料理を作ってます
専属のコックさんになってしまうとここの村人が皆困ってしまいます」
「そうか、、なら消せばよいか?この村を」
えっ!嘘でしょ!何この人話が通じないじゃん
この世界に来た中でも1番のピンチである
「そ!!そ、、」
「そ?なんだ?」
「そんな事をしたら僕は絶対に貴方を許さない
僕は自殺をしてやる!
お願いです、、美味しい物ならまだまだたくさんあります
お願いだからこの村を、、村人を殺さないでください」
恥もへったくれもない、その場で土下座をするブー
「フム、、そうか、、なら余をもっと満足させてみせよ!
満足させられなかった時はこの村ごと消してやるからな。全力でやれ」
「分かりました。」僕の料理に村人の命がかかっている
力では絶対に勝てない
そしてこの人から村人を助けられない
それならもう後は言われた通り美味しい料理を出して
許して貰うだけだ
シンプルでいい
頑張らねば
自分の頬をバチィンッと叩いて気合いを入れたブー
さて、、何を作ろう!情報が無さ過ぎて困る
フルコースにすれば良いか、、、
まずはオードヴル、、
確か部屋にまだあったはず、、
ミツバチさん達に全部持ってきてもらった食材
その中からタコとニンニク、バターを選ぶ
あと少しのハーブと木の実
タコは薄切り、ニンニクと木の実とハーブを包丁でみじん切り
ソレをフライパンでソテー
少し火が通ったらバターとさっき切ったニンニク達を入れて軽く炒める、、完成!
「お待たせしました、タコのガーリックバターになります」
「フム、、ヌオオオオッー何と素晴らしい香り
ウム、、ウム、、美味い!フッかなりやるな、だがこれっぽっちでは余は満足せぬぞ!次だ」
「ハイッ」
まだイケる!そう言われたのでもう一皿オードヴルいこうかな、と考えたブー
ロブスターを半分に切り鉄板で切った面を下にして焼く
少し焦げ目が付いたらひっくり返して日本酒をかける
すると火が点くので鉄のフタで閉じる
日本酒の香りが詰まった蒸気で1分蒸す
フタを開け身の火入れ具合を確認、、ヨシッ大丈夫
身だけ箸で取り上げ、殻はそのままもう少し焼く
取り出した身を三等分位に小さくカットし
焼いている殻の中へ戻す
そしてハケでテリヤキソースを少し塗る
そのままお皿に盛り付け、漬けてあったイクラを少し上に乗せる
あとはハーブを少しパラパラと散らす
「お待たせしました、ロブスターの鬼柄焼きイクラ添えになります」
「ヌオオオオッー何たる美香!たまらないな、、見た目も美しい、、ウム、ウム一口サイズに切り分けられていて食べやすい、、そして美味い!何だコレは?」
イクラを持ち上げて聞いてくる
「そちらは鮭の卵になります!」
「フム、、生で食べた時はこんな味はしなかったぞ」
「はい、そちらは一度醤油なるソースに漬けております」
こちらです、と言いながら小皿に少し入れた醤油を持っていく
「オオッコレだ!この味がするな!何とも不思議なソースよ、、真っ黒なのに美味い!」
「ありがとうございます」
「フム、、まだだな、まだ余は満足しとらんぞ」
「次の料理を作って参ります」
仕方ない、、隠してたアレを出すか!!!
「お待たせしました」
「ムッ?何だコレは!」
「こちらはハマグリのお吸い物になります」
「ムウッ、、香りが良いな」
「山椒の葉とスダチの皮を入れてます」
「ムウ、、色々な物が入っておるのだな!ウム、、ウム、、美味い!何とも温まる、、それに先ほどの醤油なる物も入っておるな?」
「ハイッ、、ただこちらには魚醤なる物を使っております!材料はイワシなどの小魚、そちらに塩を塗り込み壺などで発酵させた物になります」
「ムッ、、魚から先ほどの醤油が出来るのか?」
「ハイッ、、1年、2年、3年と永き時を経て!お客様の元へ届きます」
「そんなにかかるのか、、とてつもなく前から他人の為に料理していたのだなお主は」
「ハッ、、料理こそ我が喜び」
「ムウ、、まだじゃ!次を持ってこい」
「ハイッ」
醤油を気に入ってくれたのは分かったけどずっと同じだと飽きちゃうよね、、、
次はコレかな
牡蠣とホタテとエビをお酒でサッと茹でて出して器に入れておく
残った汁を煮詰めてそこに生クリームとバター
更にロブスターの味噌
沸騰したら少し冷ましたいのでそのまま放置
次にキノコとほうれん草を炒めて先ほどの器に入れる
ソースに卵黄を足して混ぜて器にかける
さらに上からチーズを乗せてオーブンで焼く
完成!海の幸グラタン
「大変お待たせしました!こちらは熱いのでお気をつけください」
「ムウッあつっ、、、フゥ、フムッ、、アチ、うまっ、、、」
「良かったらこちらの焼き立てパンもどうぞ」
「フム、、うわっふんわり!鳥達の羽みたいだな、、ウム、、ウム!!この白いソースに漬けるとさらに美味いぞ」
「ありがとうございます」
「お主やはりやるな、、全て美味い!ええいまだじゃ、、もっとこうドカンッとこい」
「ハイッ、少々お待ちください」
ふーむ、、どうしよう、、、
やはりコレかな
今ある肉で最高なのは、、
「失礼します、、良かったら目の前で料理しても宜しいでしょうか?」
「ウム、それは面白そうじゃな!許す、やってみよ」
「ありがとうございます」
移動式の鉄板を持ってきて加熱
まずはバターと刻んだニンニク、、バターが溶けニンニクの香りが出てきた頃に炊き立てのお米
ヘラで混ぜながら、刻んだハーブ、パプリカの粉、軽く塩を振りサッサッと混ぜ合わせお客様のお皿へ
「もう少しお待ち下さい」
「ウム」
鉄板を一度拭いて
白い煙が上がるまで待つ
ワイバーンの1番真ん中のサシがたくさん入っている所謂サーロイン的なお肉を
2センチ位に分厚く切ってジュワッと焼き始める
先ほどのニンニクの香りとお肉の甘い脂の香りが拡がる
軽く塩、胡椒
片面が焼ける直前
お肉の横に松茸を割いた物を焼き始める
数秒コロコロと回し焼いた松茸の上に
片面を焼いたお肉を乗せる
その後すぐにお酒を振りかけフランベしフタをする
「ウム、見事!観ていて楽しいな」
「ありがとうございます、良かったらこちらをどうぞ
常温で保管しておいたワインをグラスに注ぎテーブルへ置く」
「ホウ、、果実酒か、、ウム!良い香りだ、酒は好きだ」
ありゃ、そうだったのか!オードヴルから出せば良かったと少し後悔したブー
そろそろ焼き上がるかな、とフタを開けるとボワァッとお肉の香ばしい香りと松茸の良い匂いが飛び出す
先に下で焼けた松茸を別皿へ置く
お肉はもう少し焼きたい
ヨシッ!そのまま包丁でスッスッと切り先にお皿へ
その後別皿に置いといた松茸を乗せる
お皿には塩とレモン!
「お待たせしました。サーロインステーキでございます」
「ウム、これはたまらんな、、ウム、ウム、美味い!めちゃくちゃ美味いではないか
余はお主が気に入ったぞ!
あい、わかった。この村とお主は特別じゃ
その代わりワシもこの村に住むからな」
パクパクとお肉を平らげ、ワインをグッと飲み干すと
盛大にバターンと倒れた
「え?」
「ん?」
「倒れたぞあの人」
流石に長時間料理してたので村人が集まっていた
「ブーさん、、どーゆー事?」
「ブーよ、どーゆー事じゃ?」
トムさんと村長が聞いてくる
「えっと、、この村は助かりました」
よく分からないがとりあえず安心していいみたい
とりあえず危機は去ったので
広場へ来ていたロームさんを含め村人へ説明した
この人が凄く強い事、村に危害を加えそうだった事
美味しい料理でおもてなししたら喜んで
この村に住む事になったと
「俺としちゃ爆弾抱えてるみてえで嫌だけどな
仕方ねえ、、コイツの強さは半端ねえからな!」とロームさん
「そうですね!ただ僕より強い人が味方になったと考えればこの村はもっと安心、安全になります」
「まあ、、そうだな」
「僕の料理で繋ぎ止めますのですいませんが許してください」
「わかった、ダダを兼ねても勝てねえもんは仕方ねえからな」ダッハッハと笑うロームさん
その後ここに寝かすのも悪いので僕の部屋に運んだ
すると村の入り口から走って来る人達が、、、アレ?
「おーい、、みんなー大丈夫かー?」
「アレ?なんでイガーがいるの?」
「ん?なんか獣王神様がヤバい!村へ戻れって」
遅れてやってきたトンガ、トンゴ、ギン、ヤマト
ありゃ、しばらく見ない間に随分と男らしくなっちゃって
「フフフ、おかえりみんな」
「ああ、ただいま、、で、何かあったのか?」
イガーが話てきた時広場にポワンッっと出てきた獣王神様
「オオッ心配したぞブーよ」
「コレは獣王神様」すぐに片膝を着いて再敬礼
僕の仕草を観て村人全員跪く
「ウム、、この波動は、、、アイツか!?海竜王か?」
「あ、、そんな事言ってました、ハハッ」
「全く、、困った奴じゃ、、してアイツはどこじゃ?」
「ご飯食べてお酒飲んで僕の部屋で寝てます。この村が気に入ったから住むと」
「なんじゃと、、お主アヤツに気に入られたのか?」
「ハハッ、、そうみたいです」
そう言うとイガーから殺気が溢れてきた
ちょっと何殺気出してんのさ。危ないでしょ
「ムウ、、アイツはな仲間がいなくなり独り寂しく海底で寝ておったのじゃ、、確か300歳くらいか、、
竜種としてはまだ子供なんじゃ!」
「へ?子供?、、300歳で?、、それでお酒呑んで倒れたのかな。」
「ああ、酒に弱いはずじゃ」
「、、あ、、あの、、獣王神様、、でございますか?」
「ン?、、お主は誰じゃ?」
「ハッ私は獣王様からこの村を任された村長ですじゃ」
「おおそうか、アレに押し付けられたんじゃな!かわいそうに」
「いえ、誇り高き名誉でございます!獣王神様にお目に描かれて光栄でございますじゃ」
「はっはっは。アイツに何か文句があればワシに言え、、ぶっ飛ばしてやるでな」
「ハハー」もはや土下座している村長であった
「せっかくですので良かったらみんなで宴でもどうですか?」
「オオッそれはいい、ダンジョンにいて大した物を食ってない」
「ちょっと、、僕に全部作らせといてなんですか?その言い草は」
ポフンッと現れた小さな天使、ミカエル様が怒って髭を引っ張る
「何じゃもう来たのか、逃げれたと思ったのに、、シッシッ」
「ああー、創造神様に言っちゃうからねー」
さらにググゥッーっと髭を引っ張るミカエル様
フフフ、デコピンで飛ばされてんの
「さあ、じゃあイガー、トンガ、トンゴ、ギン、ヤマト、、みんなにご馳走を作るよ」
「「「「「おう」」」」」
皆んなが戻ってきたら食べようと思ってたワイバーンのお肉を鉄板で焼きまくった
もちろん獣王神様から配膳したよ
そしたら生姜醤油が美味いって5枚も食べちゃったさ
「なあ、あの人煙だろ、、何で物を食えるんだ?」
「さあ、、謎さ、、フフフ」
やっとこの村の皆んなでご飯食べれたね
皆んな美味い、美味いって食べまくるからワイバーンのお肉無くなっちゃった
と思ったら修行でいっぱい倒したからまだいっぱいあるんだって
後でイガーの収納見せてもらおうっと
食後イガーと僕の部屋に行ったら
「あ、忘れてた。あの人いるんだった」って僕が言ったら
爪をジャキン、、と出して
「フッ俺の新たな必殺技を喰らえ」って爪にとんでもない魔力を宿したからビックリした
とりあえずイガーを宥めて今日はイガーの部屋で寝た
布団が1つしかないから寝づらかったけどね
しかも布団小さいし!
火の魔石置いたから寒くないけどさ、、布団の取り合いにはなったよね
はあー今日は色々あって疲れた。




