第六話
「以上が冒険者ギルドより得た情報の報告となります」
街の外への移動中、ジェイムスから詳しい話を聞いていたリヴァ。
ギルドが今までのパーティー相互の連合ではなく、冒険者を統括し依頼を斡旋する。ゲーム時代であれば機構がそれに値する。
冒険者のランクは以前にはなかった事。冒険者登録をしていない現状では関係が無い。等々、わかりやすく話をしてくれたジェイムスはさすがと言っていい。
結論としてゲームでの能力を引き継いだ異世界転生だろう。ギルドの違いはファンタジーを知っていれば理解できる。
『とりあえずはこの世界を知る事が先かね。それにつまらない現実で生きるよりはミュシャたちと過ごす方が…』、とリヴァが考えていると、
「ところでどうして二人がここに来たの?」
「あぁ、それは…」
「ふふ、デートしに来たからよ」
「は、はぁ!?」
リヴァが答える前にミュシャが答えた。そのせいでエフィルが怒り始める。
「大事な話とかしてたんじゃないの!?」
「えぇ、していたわ」
「だったらデ、デートじゃないじゃん!」
「ふふっ」
「むっかぁ!」
ミュシャにからかわれ過ぎたため飛び掛かるエフィル。微笑ましいが勘弁してほしい。街の外に出てきたとはいえ、人よりも危険なものに出会うかもしれないのだ。その前にジェイムスが敵を処理するだろうが。
「エフィル。先行して術を使っても大丈夫な広い場所を探してきてくれ」
「わかりました!では」
返事をするとすぐさま行ってしまった。一人で行かせる事に不安はあるがエフィルは決して愚かではない…はず。ジェイムスとミュシャにからかわれてはいるが、愛嬌の範疇だろう。
エフィル。種族は亜種(人族と何かの種族のハーフ)、その派生であるウルフ(狼)。そしてドラゴニュート(龍人)。見た目は人だがウルフのみ変化する事は可能である。それは『FRONTIER THE ORIGIN』では街によっては種族の出入りが制限されているのがあり、いくつかの種族を持つことは、ここにも利便性があった。ミュシャも同じよう理由でケット・シーがある。もちろんエルフだけという街もある。
職種はファイター(戦士)、その上位であるアマゾネス(女戦士)と特殊職ヴァルキリー(女性聖騎士)。それにレンジャー(冒険関連における知識等)、スカウト(偵察)。彼女は正直なところ頼れるタンク(前衛、盾役)なイメージが強い。
設定は正直覚えていない。レンジャーに関連する事を設定に書くとスキルが良くなるというオカルトを信じて書いていたと思うが、本当に覚えてはいない。
どうにも調子が軽いため設定に書いているのかもしれない。だが彼女はリヴァの天敵といってもいい。
重量があって移動に制限がありそうにも見えるがすぐにエフィルは戻ってきた。息を切らしてもいない。
「しばらく行った先に森。そこを抜ければここよりも広い草原だったよ。そこでいいかなって思う」
問題が無いのであればそこでいいだろう。
実際に着いてみれば十分な広さ。多少豪快な魔術を使ったとこで被害は出そうにない。
「一応離れていてくれ。ミュシャ、二人にこの世界の問題を話しておいてくれ」
「承りました」
離れていく三人を確認しながらリヴァは銃を抜く。彼がロッドやスタッフといった杖の類ではなく銃を魔術媒体に使うには理由がある。命中補正だ。
杖には魔力を増幅させ威力を上げる事ができる代物が多い。魔術や魔法と言えばやはり杖だというイメージがあり人気も高い。またプレイヤーやNPCが杖を製作する場合にも成功率が高く、修繕がしやすいという点も利用者が多い理由だ。
一方の銃。銃弾を発射するのではなく魔術を放つわけだが、命中補正が高い。多少移動されても当てやすい、狙い撃つのが本来の銃の役目な事からその性能がついている。残念ながら杖には命中補正が付けられない。
反面製作し辛いのが銃だ。必要素材も高価な物が多く、初心者には手に入れづらい。その上修繕も同様に高い。杖よりも後付けによる付加価値を付けやすい、がそれでも製作コストに見合わないと利用者が少なかった。
それでもリヴァが利用したのは命中補正があったからに他ならない。どんなに強い魔術を放とうが当たらなければ意味がない。牽制としての魔術ではなく、仕留める為の魔術。それが彼の考え方だった。
思うところがあり、この小説の更新を止める事となりました。
待たれている方がいましたら申し訳ありません。