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祓魔師一家  作者: れもん
2章.組織潜入篇
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白虎、頭を抱える。

 僕の名前は白虎。

 殺し屋として働く、17歳のごく普通な社会人だ。

 殺し屋という一般的に異質な職業ではあるが、青龍や朱雀や玄武たちに比べれば常識のある(ほう)だと思っている。

 半ば強引な上層部たちによる今回の潜入任務。

 任務の説明を受けた時は、「まあ大丈夫でしょ」と楽観的に考えていたけれど、いざ目の前に敵の

 スリートップが揃っているとなると頭を抱えたく成るほど不安になる。

 そう。僕実は、とてつもなく()()()なのだ。

 自分の可愛さ(みため)に上乗せした性格でなんとかなっているだけで…



 僕は齢八歳にして自分の突出した顔の良さに気がついた。

 児童養護施設で育った僕は、ちゃんと自分を男の子だと思っていた。

 だけど、何かが違う。そう感じるのは時間の問題だった。


 いつも遊びに誘いに来るのは女の子たち。

 遊ぶ内容も、外で遊ぶのではなく、お部屋の中でおままごと。

 あだ名も、ーーちゃん。

 挙げ句、男の子たちに好意を向けられる。

 けれど、それがまあ普通なのかな、と思うようになっている自分。

 何でだろう。何でだろう。何でだろう。何でだろう。

 そう思い始めたのは小学校二年生の時。

 当時は女の子たちに勧められて可愛いものを身に着けていた。

 僕はそれが普通だと思ってた。それで良いんだと思い込んでいた。

 けれど、現実を前にした大勢の純粋な子供は残酷だった。

『ーーくんって、なんでーーちゃんって呼ばれてるの?』

『ーーって変だよな〜、女みたいじゃん』

『ーーくんって何で女の子みたいな格好してるの?おかしくない?』

 何で、僕を責めるの?僕はこれが普通だって思ってきたのに。

 僕はその時、僕の()()としての異常さを知った。

 そして、それでも僕が()()()()()()いることを大人が否定してくれなかったことの理由も知った。

 僕の顔だ。

 そこら辺にいる少女と比べるのも可哀想なくらい整ったきれいな顔。

 そして、首筋まで伸ばした純白の髪色も相まって、儚げな少女を演出していたのだろう。


              「いや、僕男だよッッッッッッッ!!!!」

 

 そう言えていたら、どれだけ楽だっただろう。どれだけ救われただろう。

 でも、僕は一人では何も言えやしなかった。

 その時からだろうか、僕が慎重に女の子を演じ始めたのは。

 少しずつ低くなってきた声を気にして、少しだけ高くしてみたり。

 言葉遣いを気にしたり。

 一つ一つの言動を女の子らしくなるために良いのか駄目なのか、考えるようになった。

 そんな僕のもとに8つのとき、青龍と玄武とマスターが来たんだ。

 マスターは正直誰でも良かったらしい。その時いたマスターの子どもたち(青龍と玄武)

 納得し、お互いに切磋琢磨できる子供なら。

 施設長は僕を差し出した。

 その時に気がついたんだ。施設の大人たちにとって僕は、僕は。

 異常な子供だったのかな、と。

 きっと、僕の今後の幸せを考えてのことだったのかもしれない。

 いや、世間一般にはそれが普通なんだろう。

 でも、僕を呼び出したときの施設長の顔は切ないなんて感情はどこにもなく、ただただ嬉しいという感情と大人の醜い感情が見え隠れしていた。

 厄介者だった。

 よく考えたらそうだよね。

 男なのに女のような容姿、そして施設の子供達に異常な感情を植え付ける、そんな僕は厄介者以外の何者でもない。

 でもマスターや青龍、玄武はそんな僕でも一緒にいてくれた。

 初めは、僕が部屋に籠もっていたけど、玄武が部屋の前に話しかけに来てくれたり、

 青龍が休みの日に一緒に鍛錬しようと誘いに来てくれたり、そんな兄と姉のおかげで僕は自分の生きたいように生きれる術を見つけた。



「君が空翔(そらと)くんだよね。私は野村結花!」

「えっと、野村さん…。よろしく、です」

 おどおどしていて、下の方を向いて、目を頑なに見せてくれない。

 僕と同じくらいの身長に見えるけど、猫背を直したら僕よりも身長が高いかもしれない。

「えっと…」

 会話が続かなくなり、少し焦っているような空翔くん。

 僕から話題を振ろうと口を開くと、横からスッと細い腕が私と空翔くんの間に出された。

「あんた、野村だっけ。うちの空翔に何してんの」

 空翔くんの横を見ると、空翔くんと容姿が似ている男の子が立っていた。

 容姿は似ているけど、空翔くんと違って前髪を目の少し上で切り、センター分けにしている。

 センター分けにした黒髪から覗く瞳は綺麗な薄い緑色だ。

「えっと、君は…」

「空翔の双子の兄、陸翔(りくと)。別に大した人間じゃないから覚えなくてもいい。それより空翔に近づくなよ。うちの可愛い可愛い弟を誑かしたらただじゃおかないからな」

 そう言い捨てて、私の元を去った二人。

 僕は猛烈に頭を抱えたくなった。

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