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オダマキは救えない  作者: ゆうま
22/26

6-8

選択:声をかける

「第3問目はこちらです」


この曲の正式名称は?


聞いてないから分かんないよ


解答が練習曲作品10-3

なにもしなければ出る選択肢が練習曲作品25-5、練習曲作品10-6

増やせる選択肢が練習曲作品10-12、練習曲作品25-3、第練習曲作品10-1


なるほど、聞いても分かんないなぁ

兎に角今は問題


さっきの久住秀輝の発言はサポーターの行動を制限するためのものだと思う

自慢なら今のタイミングでしなくても良い

隣をちらりと見ると、珍しく白金美奈都が迷っている

さっきの久住秀輝の言葉が関係しているのだろうけど、どうしてそこまで迷って――


「白金さんはいつも通りでお願いします」

「大丈夫ですの」

「はい、今度こそ上手くやります」

「…分かりましたわ」


残り時間が少ない

私も早く決めないと


10-3、25-5、10-6

迷わせるには25-3を追加した方が良いように思える

だけど、また同じことになるだけ

10-12か10-1を追加すれば、その考えを見透かされてしまうかもしれない

ただ、10-何番にするかは3択

引っかかって25-5にしてくれれば…


久住秀輝の選択肢に「練習曲作品10-12」を追加


「賭け金とサポートが決定いたしました。第3問!」


大音量で別れの曲が流れる

手を怪我したピアニストが弾いているみたい


「両者回答が揃いました!回答オープン!」


村田新が練習曲作品10-3

久住秀輝が練習曲作品25-5


「村田様が正解、久住様が誤答のため、村田様の勝利です!」


よし

白金美奈都に協力する姿勢があるから、久住秀輝をこのゲームで殺すことは可能

村田新を迷わず支援していたのは、自分ならそうするだろうと考えることが分かっていたから

つまり、私に全てを任せていた


このゲームで久住秀輝を勝たせるメリットが全くないことは分かる

だけど、それとこれとは話しが別

それなのに白金美奈都は私に運命を託した


本当に学ばない人

だけど、嫌いじゃないかな


それにしても、次の問題が遅いなぁ

ゲームマスターはなにか考え込んでいる


「ごめんね、僕の所持金が100万円しかなくて対処に困っているみたい」


そうか

久住秀輝の所持金は「クイズ〇択」開始時点で1,100万円のはず

ジジ予想で増えた金額は、賭けた金額が小さいからすぐに分かる

それ以外で増えたのは500万円

久住秀輝は「裏切りジジ抜き」で最初に300万円賭けている


さっきは判定勝利

今は誤答で負けている

全ての賭け金が最低額の200万円だとすると、残り100万円


対応に迷っているということは、これまでそういうことがなかったということになる

少額の争いはこれまで全くなかったってことかな

なんだかおかしい気がするけどなぁ


「この勝負だけ全ての賭け金を1/2にする…なんて、どうでしょうか…」

「良いね。やってみたいと思うゲームがもうひとつあるんだ。それをやるためにもこのゲームに勝ちたいんだ。是非そうしてほしいね」

「潰せるときに潰すのが最も有力な手ですわ」

「なにをしでかすか分からない危険分子ですから、排除出来るならそれに超したことはありません」


全員の賛成があってもゲームマスターはなにか考え込んでいる


「嫌われているね」

「嫌ってはいません。怯えています。そのゲームを仕掛けられた人はどうするんですか」

「僕に仕掛けてくれれば良いじゃないか」

「誰もあなたとなんてやりたくありませんわよ」

「それは残念だね」


少しもそう思わせない態度

微笑んでいることだけが原因ではない


「――分かりました」


とても、苦い顔

その表情だったのは一瞬で、すぐに最初から見せていた笑みに変わる


「村田様が提案して下さった通り、全ての賭け金及び倍率を1/2という特別ルールで再開いたします」


―――分かった

ゲームマスターがどうして考え込んでいたのか、分かった

「名前当てゲーム」のゲームマスターは選択を間違えたから死――撃たれた

あの部屋で聞こえた声はそんなようなことを言っていた


開催される回や場面によって、例え選択肢が同じでも正しい解答は違う

だから正しい解答について考えていた


苦い顔をしていたのは、結局答えが分からなかったから

でも多分、ここが迫る選択はそういう選択じゃないと思う

もっと傲慢で卑劣な選択

時間と同じくらい平等で残酷な選択


この選択は恐らく、今回のゲームマスターの生死には直接関係ない

今後のゲーム展開が変わるだろうから、全く関係ないとは思えない

だけど、この選択は多分直接的にゲームマスターの運命を左右するものではない

もしそれを分かって悩んでいたのだとしたら、今回のゲームマスターは自分が生き残るためになにをすれば良いのか

つまりクリア条件を分かっている、ということになる


「第4問目を出題いたします」


もう少し考えをまとめたいけど、仕方がない

全員がタッチペンを持って画面に向き直ったことを確認する


「第4問目はこちらです」


ユミの好きな果物と動物、正しいのは?


いや、だからね?

リスニング問題は尚更聞かせてほしいんだけどなぁ


解答が練習曲作品はリンゴと猫

なにもしなければ出る選択肢がリンゴと犬、バナナと猫

増やせる選択肢が練習曲作品バナナと犬、ブドウと猫、ブドウと犬


分かんないけど簡単な会話な気がするなぁ

これは2人とも久住秀輝に賭けて判定負けさせるしかないかもね


村田新の選択肢に「バナナと犬」を追加


「賭け金とサポートが決定いたしました。第4問!」


『リサ、こんにちは』

『こんにちは、ケン』

『さっきユミに会ったんだけど、落ち込んでない?どうしたの?』

『今度ユミの家で犬を飼うんだって』

『新しい家族が増えるなんて良い事じゃないか。どうして落ち込んでいるんだい?』

『ユミは猫が好きなの。他の家族みんなが犬が良いって言うらしくて。折角飼うのに残念よね』

『そうだね。そうだ、ユミが好きな飲み物ってなにかな』

『どうして?』

『励ましにそこの自販機で飲み物でも買おうかと思ってさ』

『少し遠いけど、南校舎の自販機にしか売っていない梅ジュースが好きよ』

『それだと遠いね。実は先生に呼ばれていて、時間がないんだ』

『またなにかやったの?』

『違うよ。バナナの皮を落としちゃっただけなんだ』

『十分やらかしてるわね。誰かに怪我でもさせたんでしょ』

『俺のことより、ユミのことだろ。飴くらいしか持ってないけど、バナナとリンゴならどっちが良いかな』

『丁度良いわね。ユミはリンゴが好きなのよ』

『それは良かった。教えてくれてありがとう。それじゃあ渡してくるよ』

『あとで様子教えてね』

『了解』


……思ったよりも簡単で、くだらない会話だった

それ意外の感想は持てそうにない


「両者回答が揃いました!回答オープン!」


2人ともリンゴと猫

当然だよね


「村田様のサポートが0、久住様のサポートが2で村田様の判定勝利です!」


終わった

誰も貸すはずなんてない


「久住様は只今の勝負で所持金が-250万円となりました。どなたか貸されますか?」

「貸しませんわ」

「貸さないです」

「貸しませんけど…」

「当然だね。でも良いのかな。残るのは仲間意識のある3人だよ」


それは…少し思わなくもない

全員が全員を信じて、ほんの少しの保険しかかけていない状態で裏切れば、自分だけが勝てる

その誘惑に負けない――勝つことは、出来るのか

敵がいた方が集団はまとまりやすい


「ギャンブルはあと2回やるだけ。今の所持金は全員が2,000万円以上のはずです。最低200万円を持って終わらせることは可能のはずです」

「そうですわ。かき回したいという欲望と、あわよくば生き残ろうという考えが見え見えですわよ」

「なにを言われても意志は変わりませんけど…!」


ゲームマスターがゆっくりと久住秀輝に向かって歩いて行く

久住秀輝は小林鈴夏と違って、逃げなかった

逃げればああなることは分かっていたし、なにより逃げ場がないことはあれより前から分かっていた


それは小林鈴夏も同じだったと思う

だけど、冷静な判断が出来なくなっていた

それだけ小林鈴夏は生にこだわっていた

その気持ちを、私が分かることは永遠にないと思う

多分、久住秀輝にも


「こちらを飲んで下さい」


ポケットから液体の入った小瓶を出す


「床に落としちゃったらどうなるのかな」

「…あまり惨いことをさせないで下さい。わたしだって疲れるんです」

「じゃあ大人しく飲もうか」


微笑んで小瓶を受け取り、蓋を開ける

ごくごくとそれを飲む


「苦いね。もしかっ…あ゛っ…」


喉を押さえて苦しそうにする

久住秀輝が動かなくなるまで、長く感じた

けれど、本当は少しの間だったと思う


普段は苦しまないように殺している、なんて嘘

苦しんでいる

いつも微笑んでいた久住秀輝の口元が苦痛に歪んでいる


「次に行うゲームを選んで下さい」


いつの間にか上から出て来ていたモニターにゲーム名が表示される

今回は移動せずにここで決めろってこと?

苦痛で表情の歪んだ久住秀輝の死体があるここで


「どうされました」

「今回は最初の部屋には戻らないのですわね」

「はい。久住様は金井様、村田様、白金様が自らの意志で殺したのですから、当然です」

「そうですけど…」

「移動は次のゲーム会場に行くまでいたしません」


そうキッパリ言われてしまっては仕方がない

白金美奈都か私がゲームを選ばなくては…


悪戯ファンタン

ドボンルーレット

イカサマ宝探しゲーム

脱出組替巨大迷路


元のゲーム自体が分からない「悪戯ファンタン」

完全運ゲーな「ドボンルーレット」

なにが元になっているのか分からない「イカサマ宝探しゲーム」

あと迷路


ある程度協力出来そうな関係だからって、運ゲーをやったら勝つか負けるか分からない

だけど「ここ」に運ゲーなんて存在するのだろうか

選択肢を間違えた者が死に、間違えなかった者が生き残る

それなら「ここ」に運なんて存在しないはず


どうしたら良いだろう

ゲームを白金美奈都が仕掛ける前に

・仕掛ける

・仕掛けない

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