終焉の兆し
授業後、オレは職員室へと足を運ぶため、職員室のある建物の前までやってきた。そこには金の装飾が施された派手派手しい馬車が待機していた。
馬車の前ではリースとオーリエ先生が話している。2人の表情から察するにいい話ではなさそうだ。
「ローランド、いいところに来た」
オーリエ先生がこちらに気づく。
「どうしたんですか?」
オレは2人へ近寄る。
「実は……私、お城へ戻ることになりまして」
「何かあったのか?」
「先生によると、学園内の安全が確保できないとのことで……」
リースは俯きながら話す。
「そうなのか」
リースが現状をどこまで把握しているのか定かではないが、とうとう隠せなくなったようだ。
「まあそういう訳なんだが、急に決まったことでな。見送りが俺しかいなかったんだが、ローランドが来てくれてよかった」
「はあ」
「しばしの別れだが、まあ、なんとかなるだろう」
「……はい」
果たしてこれはしばしの別れなのだろうか?
「ローランド。短い間でしたが、お友達になれて、色々なお話ができて……とても楽しかったです」
「オレも君に会えてよかった、リース」
「また、会えますよね」
「……ああ」
一瞬言葉に詰まる。オレには断言できない。
「姫様、時間です。お乗り下さい」
執事にせかされ、リースは馬車に乗る。
「では、私共はこれで」
執事は一礼をする。
「お気を付けて」
先生が一声かける。
執事が馬車に乗り込み、扉が閉まるとすぐに馬が動き出す。
オレと先生は去っていく馬車を眺めながら手を振った。
リースがこのまま戻って来なければ、オレがここにいる理由はなくなる。これでオレの役目も終わりか。
オレに不手際があったわけではない。またギルドに戻り本来の学生らしからぬ生活に戻るだけだ。
別に寂しいとか悔しいという感情はない。だが、本音を言うと、オレにとっては普通じゃない、普通の学園生活ってやつをもう少しだけ送ってみたかった。
寮に戻り、荷物でもまとめよう。そう思い、この場を後にしようとした。
「ローランド、どこへ行くんだ?」
「もうオレの役目は終わりました。失礼します」
「まあ、そう慌てるな。ひとまず話をしようじゃないか。元々そのためにここに来たんだろう?」
そういえば、先生と話をするためにここに来たんだったな。すぐに去る必要はないし、少しくらい付き合ってやってもいいか。
「そうですね。行きましょう」
オレは先生とともに校舎の中へ入っていった。




