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レオンVSエリック

 3時間目は屋外での戦闘演習となった。脱走した魔物を避けるために魔物討伐演習を中止したのに、屋外での演習とは、変更した意味がないのでは。教員たちは一体何を考えているのだろうか?


 リースは安全面を考慮してか、また授業にいないようだ。教員たちの不手際で授業を受けられないのはちょっとかわいそうだな。



 今日の授業ではクラスをいくつかのグループに分けて、グループごとに1人教師が担当するようだ。


「そこへ整列!」


 男の教員が叫ぶ。生徒たちは並び出す。


「遅いぞ! もっと早く並ばんか!」


 褐色の肌、スキンヘッドに顔に傷、筋肉質の体。いかにも歴戦の猛者という感じのヤバそうな雰囲気が漂っている。


「今日の演習を担当するエンディだ。戦闘には危険が付き物だ。皆注意して演習に望め」

 生徒たちは沈黙を持って答える。


「返事はどうした!」


「「はい」」


 ちょっと面倒な先生だな。


「俺様はこのグループであっているのか?」


 遅れてきた生徒が声を上げる。この声はエリックだな。しかしエリックは風紀委員に連れられていったはず。どうしてここに?


「貴様、遅刻とはいい度胸だな」


「おいおい勘弁してくれ、俺様は風紀委員に無実の罪をかけられて今まで拘束されていたんだからな」


「まあいい、早く並べ!」


「はいはい」


 エリックは後ろのほうへゆっくりと歩く。


「今日の演習は1対1での戦闘だ。全員にやってもらうが、最初にやりたいものは手を挙げろ」


「では俺様がやらせてもらおう」


 エリックが真っ先に手を挙げる。


「名は?」


「エリック・バートリーだ」


「よし、エリックと戦いたい者はいるか?」


 1人の生徒が前に出てくる。


「名前は」


「……レオン」


「よし、2人ともフィールドへ行け」


 エリックとレオンはそれぞれ所定の位置につく。


「試合を始めろ!」


 先生の合図と裏腹に、両者とも動かない。


「レオンとか言ったか?」


「ああ」


「どうせお前じゃ相手にならない。初手を譲ってやるよ」


 そういえばオレと戦ったときも同じようなことを言っていたな。


「馬鹿にしやがって! ムカつくんだよ、その態度!」


「いいだろう。来いよ」


「望むところだ! ううぉぉぉー」


 レオンは叫びながら突進する。


「メガ・ライデン」


 エリックの右手から電撃が放たれる。


「うわあああ」


 レオンは電撃を浴びる。レオンは近接型のため、離れた場所から攻撃することはできない。


「無防備に正面から突っ込んで来るなんて、本当に馬鹿だな」


 電撃が止まると、レオンは倒れる。


「雑魚が、話にならないな」


 エリックは後ろを向き立ち去る。


「まだ……だ」


 レオンは武器をとり、立ち上がろうとする。


「ううっ」


 レオンが呻きだす。何か様子がおかしい。


「ウオオオオオオー」


「なんだ!?」


 オレは思わず声を出す。


レオンが全身に闇属性の力を纏い、起き上がる。


「コロス、オマエダケハ絶対ニコロス」


 レオンはエリックに飛び掛かる。


「ん、まだやるーーぐはっ」


 レオンの斬撃がエリックを直撃する。


「攻撃をやめろ、レオン」


 先生が攻撃を続けるレオンとエリックの間に入る。


「邪魔スルナ」


 双剣による連続攻撃に為すすべなく、先生も倒れる。


「まずい」


 この場でレオンを止められるのはオレだけだ。オレは剣を抜き、レオンを止めに入ろうとする。しかしーー


「グオオオオオ」


 突如、レオンが光の魔法に包まれ、意識を失う。


「あ……あれは!?」


 純白の鎧で全身を包んだ騎士が現れる。


「愚かなる者よ、我が前に散れ」


 騎士は光属性を纏った大剣を振り下ろす。


 一瞬、金属音が響く。


「間一髪ってところか」


 オレが騎士の剣撃を何とか受け止める。こいつ、只者ではないな。


「アンタ、今殺る気だったろ?」


「闇の力を纏いし者を滅ぼすのは当然の理、貴様も反逆者か?」


「あのな、法治国家なら法律に則って裁いたらどうだ? お前、一応国の人間だろ?」


 詳細は不明だが、王国軍の兵士と見て間違いないだろう。


「王女であるリース姫のお膝元で闇魔法を行使するなど言語道断。それ即ち極刑に値する」


 王族は法律の上に立つ存在ってことか。


「悪いが、彼を渡すわけにはいかない」


 レオンがこいつらに捕まったら、今までの苦労が台無しになるからな。


 鍔迫り合いが止む。


「まずは貴様から裁きを下す」


 騎士は大剣を構える。


「望むところだ」


 オレも同様に剣を構える。


 剣を振る。しかし、オレの剣撃は弾かれる。何か金属に当たったような感触が手に伝わる。


「そこまでだ」


 オーリエ先生が双剣でオレと騎士の剣を同時に受け止めていた。


 オレが剣をおろす。しかし騎士は鍔迫り合いを続ける。


「俺の生徒に手を出すな」


 オーリエ先生は騎士を睨む。


「貴様も邪魔をするつもりか」


 騎士が剣を引く。


「貴様が相手では少々面倒だ。ここは引こう。だがいずれ貴様らには鉄槌を下してやる。覚えておけ」


 騎士はこの場を去った。


「今日の授業は中止。オレはエンディ先生を運ぶから、手の空いている生徒はエリックを医務室へ運んでくれ」


 生徒数名がエリックのところへ駆け寄る。完全に意識を失っていたので、1人の生徒がエリックを背負う。


「ローランド、お前はレオンを頼む」


「はい」


「それと、授業が終わったら職員室まで来てくれ」


「わかりました」


 ひとまず、オレはレオンを担いで医務室へ向かった。

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