Remove the doubt
「いやいやいやいやいや。オレは何もやってないぞ。少なくともお前には」
悪いことと言えば警備員のおっさんに闇属性の魔法をかけたことくらいだ。ニコには何もやってない。
「大体何でオレがお前をこんな回りくどい方法で攻撃する必要がある?」
オレがニコを攻撃したいなら、普通の攻撃魔法で圧倒する。わざわざよくわからない精神魔法なんか使ったりしない。というかそもそもオレは精神魔法なんて使えない。
スマートフォンをニコに向けて、先ほどと同じ方法で文章を読み取る。
「えーと、待っていたが来なかったから、帰ろうとしたら襲撃された……いや、それで何でオレが犯人になるんだ?」
「えーと、確かに1人はお前の顔だった……いやいや、それはない。オレが屋敷に着いたときには既にお前がやられた後だった。その前はずっと図書館にいた。だからそれはあり得ない」
ニコはまだ言いたいことがありそうなので、再びスマートフォンを向ける。
「別のやつから草属性の魔法で身動きを封じられ、お前から火属性の魔法を受けた……
じゃあもう1人は一体誰だ?」
再び、スマートフォンを向け、解読すると「わからない」の一文が浮かび上がる。この方法、かなり面倒だ。オレも少々疲れてきた。
「とにかく、オレはやっていない。お前の勘違いか、犯人がオレに変装していたかのどちらかだ。大体お前、火属性の魔法を受けてやられたんなら火傷の痕があるだろう?」
確か目立った外傷はないと、あの時先生たちが言っていた。
「ん!」
「魔法はどこに受けた?」
「全身……だったら全身火傷のはずだ」
オレはニコの服をめくる。
「ん、んーん」
ニコは嫌がる表情を見せるが、自分の無実を証明するためには仕方ない。
「ほら見ろ! 火傷の痕はどこにもない」
腹のあたりしか見えないが、つるつるの綺麗な肌があるだけだ。火傷はおろか傷1つ存在していない。
「んーー!」
激怒していることは、その表情から読み取れる。
「急に服をめくったりして悪かった。あくまで傷がないことを確かめるためで、他意はない。でもこれでオレの疑いが晴れただろう」
「んー」
「だが、お前の話も嘘ではないようだ。となると、ますます訳がわからないが、犯人がオレに変装したことは確かだろう」
変装が得意なやつがこの学園に送り込まれたということか。厄介だな。
「まあ、とにかくオレに任せろ。なんとかしてみせる」
「んー」
「お前の病室はわかったから。また何かあれば来るぞ」
「んー」
オレはニコの病室を後にする。このまま寮へ帰りたいが、いきなりオレがいなくなったら不自然なのでとりあえず自分の病室に戻ろう。




