あなたが神様
「ちょと質問いいかな?」
ゴジラが手を挙げた。
「どうぞ、ゴジラ先輩」
「最初の3つは前に聞いてるからよくわかった。しかし4つ目の『自分が神』というのがよくわからない。説明してくれるか?」
「いいわよ!秀、その辺りの説明よろしく」
「了解。ゴジラ先輩、先輩は神社に行ったことありまんな?」
「もちろん何度も行ったことあるよ」
「どこの神社でもその1番奥に『ご神体』ってのが必ずおまんねん。見たことありまっか?」
「確か薄い垂れ幕の向こうに鏡が祀ってあるのを見たことがあるな」
「そうでんねん、鏡がご神体でんねん?この意味わかりまっか?」
「いや、さっぱりわからないな。鏡は昔は貴重なものだからと思っていたんだが」
「 さっきの3番目に宇宙はクラウドとありましたな。あれはどういう意味かをます、説明しまっせ。わかりやすう言うと海と波をイメージしてほしいんですねん」
「海と波?」
ラスカルが小首を傾げる。
かわいらしい。
「せや、まず人間は一人一人が小さな波やと思うてんか。波は岸に近づいて最後は岩に当たって砕けまっしゃろ?」
「そうよね」
「波が砕けることを人間界では『死』と呼ぶんや。しゃーけど、その砕け散った波は無くならずに必ずもとの海に戻りまんな」
「うん戻る」
「つまり人間の一生も砕け散ったらそこで終わりではなく、また大きな海の一部に帰っていくわけなんや」
「なるほどな」
「この海のことを人間界では『神』と呼ぶわけやな」
「ということは人間は死んだら『神』に戻るわけか」
「せや、人間も一人一人が大いなる神の一部分やねん」
「面白い考え方ね」
「まあ砕け散ったとはいえまた元の別の波になって岩に近づく。人間の人生はこれの繰り返しなんや」
「輪廻ね」
ラスカルが頷いた。
「せや、人間が神と呼ばれる大きなクラウドの一部ってのはこれでわかるやろ?人間それぞれが神ちゆうこっちや」
「俺も神なのか?」
どう見ても貧乏神に見える播磨が聞いた。
「せや、播磨先輩も神さんや」
「よっしや!」
とガッツポーズをとる播磨。
「続けまっせ、神社に行った時は鏡を祀ってある。それは鏡に映る自分の姿を見て神を認識するからなんや」
「なるほどな。そもそもが人間一人一人が神と言うわけだな」
中居が大きな声で話をまとめた。
「だから『苦しいときの神頼み』っていうのは何のことはない、自分に頼ってるっていうことになるんや」
この会話のやりとりをしてる途中に摩耶が素頓狂な声を上げた。
「やだ、何?これ?目の前に明るい玉が見える」
彼女はこの会話に参加せずに一心不乱に先程のミスマルノタマの纏方に集中してやっていたのである。
「摩耶ちゃんほんと?」
「うん、まだぼんやりなんだけど輝いている」
目を瞑ったままの摩耶が興奮して伝える。
「おめでとう!摩耶ちゃん。そのままゆっくり手を伸ばして1メートルほど先にあったかい壁のようなものを感じることができる?」
手を差し伸べる摩耶。
「感じたわ。とてもあたたかい・・・」
「そう、それがあなたが纏いっているミスマルノタマなの。でもすごいわね、たった1日で纏えるようになるなんて」
「いえ、以前にあなたから聞いてから何日間も訓練していたのよ」
「それにしても短期間でできてすごいわ」
「どんな感じに見えるんだ?」ネズミ男播磨が聞いてきた。
「とにかく唱えていたら急に明るい玉が奥から目の前に急接近してきたの」
「はい、これご褒美の水晶ね。これで摩耶ちゃんは今日からバスに乗って帰る必要ないわよ」
とメグはポケットから鉛筆大の水晶を摩耶に手渡した。