新井乱入
摩耶と吉原は玉袋を連れて、再度鳥居の下に歩み渦とともに消えていった。
「まさに奇跡です!これを奇跡と言わずに何と表現したらいいのでしょう!」
ビデオカメラを回しながら玉袋が狂気している。
鳥居を出た一向の前に、先に到着していた楢崎が感慨深そうに神戸に山並みを眺めていた。
「お待たせしました、楢崎さん」
「あら、早かったのね。総理と広田さんは?」
「はい、感激して何か作戦会議をやるとか言って国会議事堂に帰りましたよ」
「では、こちらも玉袋さんとウイングで作戦会議といくか」
「了解です!」
吉原がまだ奇跡を連発している玉袋を誘った。
「私は摩耶さんと影松高校に行ってウタヒ教室を見たいわ。案内してね」
「わかりました」
4人は2つのグループに分かれて歩いた。
影松高校内
「こらー!お前たち、いつまで怪しい宗教みたいに呪文を唱えているんだ?」
いきなり教室にあいかわらずのランニング姿の新井が乱入してきた。
「あ、新井先生。ちょうどいい。先生もミスマルノタマの練習しませんか?」
ラスカル堀が新井に勧める。
「バカなこと言うな!わが校は進学校だぞ!そんな暇があれば大学入試のために英単語の一つでも多く覚えるんだ!」
あいかわらず品格も容赦もない叱咤が続く。
「まあまあ新井先生、そういわずにここに座って言霊の勉強をしませんか?」
大江田がきれいな日本語で新井を諭す。
「大江田先生までなんですか?来年のセンター試験の国語は去年よりも難易度が上がるそうですが、対策はできてるんですか?」
「新井君、ワシが許可した教室に乱入はいかんな、乱入は」
「なんと藤田校長まで・・・こんな集会を許可しただなんて、進学校の校長の自覚はあるんですか?」
「新井先生、今日の臨時国会の摩耶さんの答弁を聞いたでしょう?この教室は校長だけでなく、なんとあの文部科学大臣が容認したんですよ」
中居が笑いながら新井に椅子をすすめる。
「中居先生まで・・・文部科学大臣といえばあの楢崎とかいうオールドミスだな。あんなばあさんの言うことが信用できるか!」
「ただいまー、みんなちゃんと勉強してる?」
突然ガラガラっとドアが開いて摩耶が楢崎大臣を伴って入ってきた。
「あら、今誰か私の事を『ばあさん』って言わなかったかしら?」
楢崎が教室内を見回す。
瞬時に亀のように首をすくめる新井。
「あー!摩耶ちゃんだ!」
「まやっち、よくがんばったね」
「テレビ見てたよ!」
クラス中が摩耶に対する凱旋モードである。
「それにしても・・・ランニングシャツ姿で教室内をうろうろする教師がいるとはあきれますね。名前を聞かせてください。処罰の対象にします」
「これはこれは楢崎文科大臣、私が本校の校長の藤田です。まあこの男は何回注意しても聞かず、今までこのスタイルでを貫いてます。そもそも昔から『風は体を現す』と申しまして・・・」
「藤田校長、あなたも管理責任が問われますよ」
校長と楢崎のやりとりに乗じて、新井は下を向いてコソコソと教室を出て行った。




