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エピローグ 酒好き下級竜人は本日も酒に飲まれる?

白本家の敷地の中の大きな池の真ん中に高床式の優雅な建物が建っている。


「美味しいシードル〜」

うっとりと黄金色に炭酸の泡がきらめくグラスを眺めた。

「おつまみも食べないといけないよ」

白い蛇の尻尾に乗っかってヘルスチア兄様に寄りかかりながらシードルを飲んだ。

ヘルスチア兄様がフォークに刺したアップルミートパイを私の口に運んだ。

甘酸っぱいりんごがひき肉にからんで美味しい。


池の上に明かりが揺れて紫のレースのカーテンから透けてから見えた。


「今度は貴腐ワインにしようか?」

「美味しそうです」

ジュルリとヨダレがたれる。

「ミディの方が美味しそうだよ」

ヘルスチア兄様が私の首筋をなめた。


只今婚約同棲中です。

仕事も行ってますよ。


何故か親方(マイスター)の店が高級住宅街な白本家の近くに引っ越してますが……


ヘルスチア兄様のさしがねかと思ったら父様のさしがねのようです。


アルギリュウスさんの腕前を見たらその師匠の親方(マイスター)の腕前も見たくなって行ったらあまりの素晴らしさに白地方軍の御用達にしてしまったらしいです。


白地方軍の詰め所は高級住宅街の裾野近くなので職人街より白本家というよりイル家近くの方が都合が良いとスカウトされた親方(マイスター)は白地方軍将軍に交渉されたとうっとりしてた。


白地方軍将軍(父様)のファン? なんかな?


「ミディ、チョコレートも美味しいよ」

ヘルスチア兄様が口移しでトリュフ入れてそのまま深くくちづけた。


本当に幸せ……でも、本当に下級竜人の私でいいのかな?

ヘルスチア兄様を見つめた。

白い鱗の綺麗な蛇神様……


「どうしたんだい? 」

下級竜人に勿体無いといわれても返してあげない。

私の大事な蛇神様なんだから。

「何でもない」

私はぎゅとヘルスチア兄様に抱きついた。


ところで窓から何かが飛び込んできた。

カーラファーシャ姉様だ。


「私の不肖の妹にふらちな眼差しを向けないでください」

「君もいい加減姉妹離れしなよ」

カーラファーシャ姉様がヘルスチア兄様の尻尾を思いっきり踏んだ。


ヘルスチア兄様はうめいた。

尻尾踏まれると痛いよね。


「し、尻尾を踏みしだかないでよ」

「妹は返していただきます」

うめくヘルスチア兄様にカーラファーシャ姉様が新しい短剣を突きつけた。


「そ、それは」

「ああ、これか? 新しい鍛冶職人は腕が良い」

カーラファーシャ姉様が短剣を見てニヤリとした。

アルギリュウスさんの作品だよね。

「元気なんですね」

「確かめに帰ってこい」

カーラファーシャ姉様が手を出した。


「私の可愛い婚約者を誘惑しないでよ」

「私の不肖の妹はヘルスチア様にふさわしく……」

「カーラちゃん!! ミディちゃん!! 」

カーラファーシャ姉様が言いかけて短剣を振り上げた時窓からポテっと丸い龍人が転がり落ちた。


ぽっちゃりした血赤の魔界軍の軍服を着た短い黒い髪に銀の目の龍人……エリカスーシャ姉様が転がっていた。


「エリカスーシャ姉様?」

「やれやれ千客万来だね」

ヘルスチア兄様が尻尾を一閃させると乗っていたカーラファーシャ姉様が転びかけて慌てて床に降りた。

ついでに私も転がって慌ててヘルスチア兄様が抱き上げようとしてカーラファーシャ姉様に牽制された。


「ミディリーシャはこのまま連れ帰ります」

「カーラちゃん、強硬手段はダメだよ」

エリカスーシャ姉様がカーラスーシャ姉様を止めた。

「エリカスーシャ姉上もあのヨルムンガンド族の男と別れてください! 」

「グリシス少将とはそんな関係じゃないよ〜」

エリカスーシャ姉様が頬に両手を当てた。

「だいたい、なんでここに? 」

「こ、この間の大罪人オストロフィス関連の後始末に来たらカーラちゃんがミディちゃんを取り戻しに行ったって聞いたから〜」

カーラファーシャ姉様がエリカスーシャ姉様をにらむとエリカスーシャ姉様がたじろいだ。

「丸ちゃん、大丈夫か!! 」

「グリシス少将〜」

エリカスーシャ姉様が長身のヨルムンガンド族の魔界軍人の後に隠れた。


「エリカスーシャ姉上から離れろ」

カーラファーシャ姉様がグリシス少将? に蹴りつけた。

「おっと? 」

「カーラちゃんやめて〜」

グリシス少将がエリカスーシャ姉様を抱えて避けた。


専業軍人さんってかっこいいなぁ……


「あ、そうだカリン母様がね、ミディちゃんに」

エリカスーシャ姉様が言いかけた。

やっぱり身の程知らずって言いたいのかな?

「初恋かなってよかったわね、幸せになりなさいって伝えてって言ってたよ」

直接いえばいいのにねとエリカスーシャ姉様が笑った。

カリン母様ってツンデレ? カーラファーシャ姉様と血のつながりを感じるよ。


その間もカーラファーシャ姉様とグリシス少将の戦闘は続いている。

下級竜人だけど……下級竜人だけど……下級竜人だけど……ああ素晴らしい戦闘をみると心が踊る。


あそこの黒ビール片手に観戦しちゃダメかな?

いそいそと定位置のヘルスチア兄様の尻尾の上に戻るとヘルスチア兄様が私をしっかり抱きしめて微笑んだ。


「君たち……私とミディの愛の巣によくも騒がしてくれたね」

「あ、愛の巣……」

グリシス少将がつぶやいた。


ヘルスチア兄様が妙に色っぽく笑って手を上げた。

とたん水があふれて三人は流されていった。


カーラファーシャ姉様、覚えてろーって悪役のセリフですから。

エリカスーシャ姉様はヨルムンガンド族のグリシス少将に助けられて流されていった。

うにゃー溺れる〜ってエリカスーシャ姉様が叫んだ。

丸ちゃん大丈夫だよってグリシス少将がしっかり抱えてくれてるよ、あの人海洋生物だったもんね。


「水にぬれてしまいましたね、お風呂に入りましょう」

「え? ええ?」

エロエロしくヘルスチア兄様が笑った。


そのまま風呂場に連れこまれました。

わーん、淫魔族の血を引く魔族と付き合うには体力使うよ〜。


まあ、幸せだからいいからさ。

結婚するまでにヘルスチア兄様の元カノに殴り込みをかけられて怪我してカーラファーシャ姉様が切れて闇討ちしそうになったり

炎の魔神が堂々と何故か私に妾になれといってきてヘルスチア兄様にまた流されたり

……その後加虐の貴公子というヘルスチア兄様の従兄が回収していった

……下級竜人がヘルスチア兄様の嫁になるのを厭って私に危害を加えかけた白のどっかの分家をご当主様と父様がかんぷなきまでに報復したりして

前途多難だよね。


「ヘルスチア兄様」

「ミディ、ヘルスチアだよ」

「ヘルスチアに……様、私たち結婚できるのかな?」

ヘルスチア……様の尻尾の上でため息をついた。


池に空中クラゲがキラキラ光りながら浮いている。


「大丈夫だよ」

ヘルスチア様が色っぽく笑ってキスをした。

妙に黒い気がするんだけど……気、気のせいだよね。

でも結婚したい。


「ヘルスチア様……」

「頑張ろうね」

私とヘルスチア様はなんとなく笑いあった。

その後深いくちづけをした。


前途多難だけどヘルスチア……様と幸せになります。


邪魔する元カノも炎の魔神も分家も……ぶっ飛ばすもん。

姉妹大好き(シスコン)のカーラファーシャ姉様は……む、無理かも……


で、でも酒さえ飲めば……わーん全く大丈夫じゃないよ。

でも頑張るんだ。


下級竜人だけど……幸せになるんだもん。

上級蛇神のヘルスチア様と一緒に。


この白地方で……ま、魔王都にも行くんですか?

えーとちょっと都会無理です。


美味しいお酒がいっぱいあるって? じゃあ頑張ります。


ヘルスチア兄様は魔王都で官吏をしているので魔王城に部屋があるみたいです。

魔王都にも白魔王都本邸があるらしい……美味しいお酒のめるといいなぁ。


「まったく君は酒優先だね」

ヘルスチア様がため息をついた。

「成人祝でヘルスチア兄様……ヘルスチア様がくれたシャンパンが美味しかったから」

それ以来お酒のトリコです。

私のせいかいとヘルスチア様ががっくりうなだれたので頭をなでたら手を掴まれて口付けられた。


魔王都では美味しいお酒をいっぱい飲ませてあげるからミディを美味しく食べさせてね。


そう言ってヘルスチア様にベッドに連れこまれました。


酒の代わりになんかうった気がするけど大好きなヘルスチア様と幸せなります。

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