第1話 娘についた嘘
初めまして!
岡本煌です!
こちらは不定期更新の新作です。
ちなみに読んで欲しいのも書籍化したいのも漫画化したいのもAPOLLOです笑
娘が死ぬ。
そう告げられたのは、雨の日だった。
病院の窓を叩く雨音がやけに大きかった。
医者「……申し訳ありません」
医者は頭を下げる。
何を言われたのか。
最初は理解できなかった。
理解したくなかった。
医者「魔力崩壊症です」
医者「現在の医療では治療法がありません」
医者「余命は……一年ほどかと」
一年。
たった一年。
俺の娘はまだ六歳だった。
________
病室に戻る。
娘はベッドの上で絵本を読んでいた。
娘「あ、パパ!」
満面の笑み。
俺を見るだけで笑う。
そんな子だった。
娘「先生なんて言ってた?」
俺は答えられない。
喉が詰まる。
娘「パパ?」
小さな手が伸びてくる。
俺はその手を握った。
温かい。
生きている。
なのに。
一年後にはいない。
そんなことあるかよ。
_________
娘「パパ」
父「ん?」
娘「泣いてるの?」
父「泣いてない」
娘「うそ」
娘は笑う。
そして。
何気ない顔で言った。
娘「大丈夫だよ」
父「……」
娘「だってパパは英雄なんでしょ?」
俺は固まった。
英雄。
そんなわけがない。
俺はただの工場勤務だ。
離婚して。
借金して。
人生失敗して。
娘だけが生きる理由だった。
英雄なんかじゃない。
________
娘「この前言ってたもん」
父「なんて?」
娘「パパは昔すごかったって」
俺は思い出した。
酒を飲んだ夜。
適当に話した嘘だ。
娘を笑わせるための。
父「……あれは嘘だ」
娘「えー?」
父「パパは英雄じゃない」
娘は不満そうに頬を膨らませる。
そして。
少し考えてから言った。
娘「じゃあ今からなればいいじゃん」
父「……」
娘「パパならできるよ」
父「無茶言うな」
娘「できる!」
父「できない」
娘「できる!」
父「できない」
娘「できる!」
父「できない」
娘「できる!」
父「……」
娘は笑った。
俺も笑った。
病室で二人。
笑っていた。
その時はまだ知らなかった。
その言葉が。
俺の人生を変えることになるなんて。
________
その夜。
娘が眠った後。
俺は病院の屋上にいた。
雨は止んでいた。
街の灯りが遠くで滲んでいる。
父「英雄か……」
煙草を取り出す。
一本咥える。
火を付けようとして。
やめた。
娘に臭いって言われるからだ。
父「はは……」
情けなく笑う。
その時だった。
声が聞こえた。
「見つけた」
父「?」
振り向く。
誰もいない。
だが。
足元に影があった。
俺の影じゃない。
黒い。
真っ黒な影。
それがゆっくり立ち上がる。
人の形になる。
父「なんだ……?」
影は笑った。
「ようやく見つけた」
「次の魔王を」
【第1話時点ステータス】
高瀬 直人
職業:工場勤務
力:30
守:25
魔力:0
スキル:なし
称号:
なし
評価:
どこにでもいる普通のお父さん




