選ばれし人
……ですが、そうは言っても――
「……まあ、それでも私はこれで良かったなどとは思いませんけどね。今からでも、貴方が魔力を取り戻せるなら何でもするつもりですし」
「……あはは、ありがとうリリアさん」
そう告げると、困ったように微笑み答えるロイ。いいかげんしつこいと自分でも思いますが、これに関して譲る気はありません。事情は理解しますし、彼の気持ちを尊重したい気持ちもありますが……それでも、我慢ならないのです。ロイが馬鹿にされ嘲笑われる続けることなど、私はどうしても我慢ならないのです。
それに……私の我儘をさしおいても、力というものは本来、貴方のような人のためにあると思うのです。誰よりも心が強く、誰よりも優しい貴方のような人のためにあると思うのです。……そう思えば、貴方があれほどの魔力を授かったのは、決して偶然ではないかと。
――きっと、貴方は選ばれたのです。あの莫大な魔力を得るに相応しい人間として、貴方は選ばれたのです。
……ですが、貴方は弱い。皆に馬鹿にされ嘲笑われてしまうほどに、ひどく弱い。
――だから、私が守ってあげます。誰よりも弱い貴方を、私が守ってさしあげます。だから――
「……まあ、そういうわけなので――是非、覚悟してくださいね? ロイ」
――――これからも、そばにいていいですか?