秘めたる魔力
「……魔力の吸収……やはり、そうでしたか」
「うむ、生後その者が蓄積した魔力を残らず全て吸い取る――それが、ロラの能力じゃ」
青と赤のコントラストが美しい、ある薄暮の頃。
私の呟きに、深く頷き説明を加える白髪の男性。我らがソルエ魔法学校の学長であり、一応は私のご主人さまでもあります。と言うのも――
「……ところで、貴方はこの事態を事前にご存知だったのではないですか――神様」
そう、ジトッと視線を向け尋ねる。そう、彼は学長でありこの街を護る神様――そして、私は彼に仕える天使だったりするわけで。
ところで、そんな人間ならざる私がどうして人間の皆さんと共に学生として過ごしているのかと言うと、それは偏に神様の計らいで……まあ、この辺りの事情は今は割愛すると致しましょう。
ともあれ、質問の返事を待つ。すると、少し間があった後――
「……ふう、お主には隠しごとが出来んのう、リリア。まあ、お主に隠す必要もないんじゃが」
「……あの、つかぬことをお伺いしますが……よもや、貴方が仕組んだことでは――」
「心外にもほどがあるわい。わしはただ、降って湧いたようなあやつの企みを利用すべく放置しただけじゃというのに」
「いや、それもどうかと思いますが」
すると、言葉通り心外とばかりにそんなことを宣う神様。……いや、それもどうかと思いますが。民を護る立場でしょう、貴方。……まあ、それはそうと――
「……それで、理由はやはりロイですか? 彼の、秘めたる魔力を引き出すために」