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ソラ・ルデ・ビアスの書架  作者: 梢瓏
第五章 ルキソミュフィア救援
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第98話 未来への迷い

 赤い月に降り立ったベルフォリスとソフィアステイルだったが、やはりと言うか何と言うか、空に浮かぶ青い星をボンヤリと見てしまっていた。

 ハっ!っとなって先に正気になったのはベルフォリスで、

「レオルさん!急いでください!!カードの未来では、割と切羽詰まっていたと言うか面倒臭い事になっていたので!」

と、ぼや~っとしていたレオルステイルを促した。

「すまんすまん!じゃ行くぞ!このまままっすぐ進むのじゃ!すると前方に小さな小屋が見えてくるでの!」

 正気に戻ったレオルステイルは、小走りになりながら前方にあると言う小屋を目指した。それに続いてベルフォリスも走って続いた。

 走って数分もしないうちに目的の小屋に到着したが、ほんの少しの距離しか走っていない筈なのにベルフォリスの息が上がっていた。

「お主・・・少々運動不足ではないか?」

レオルステイルが尋ねると、

「いつもあの、ちょっと怖い乗り物に乗って移動させられているので・・・」

 言いながらベルフォリスは、小屋の前の地面に座り込んだ。

「ほれ!立ち上がるのじゃ!急ぐのじゃろう?」

 レオルステイルに催促されて、重い腰を上げた。

「急ぎますとも!」

 意気揚々と小屋に入った2人だったが、中に入ると、これまた行き先不明の扉がズラりとならんでおり、一瞬挫折しそうになりかけたが、それぞれに小さく番号が振ってあることにベルフォリスは気付いた。

「1の扉は魔王城に繋がっておる。魔王城はある意味ミカゲの故郷の様なモノじゃからの、次2の扉は儂が良く行くスェニストラフト温泉に繋がっておる、3番目の扉は白壁の大陸に繋がっていて、4番目の扉は・・・・確かお主のあの怪しい店に繋がっておる筈じゃぞ?ココからいつでも好きな時に家に帰れるの!」

 ベルフォリスが一体この扉はどこに?と言い出す前に、レオルステイルがほぼ目の前の扉の行き先を告げる。

 最後に5番目の扉の説明をしようとして、ちょっと考え込んでいた。

「どうしました?」

 説明が止まってしまったレオルステイルの顔を覗き込むと、

「気配じゃ。儂の勘が正しければ、この扉はルキソミュフィアに繋がっておる。」

レオルステイルはそう言って、5番目の扉を睨んだ。

 急いでルキソミュフィアに行かねばならない状況下でこれは、渡りに船と言った状態ではあったものの、こんなにすんなり目的の国に行ける扉が見つかった事に、少々腑に落ちない感覚が走るのをレオルステイルは感じていたのだった。

「え!本当ですか?!やったーー!!じゃ、早く行きましょう!!」

 自分の心の赴くままに進もうとするベルフォリスだったが、それにすぐ続いて来ようとしないレオルステイルを見て、足を止めた。

「どうしたんですか?レオルさん、早く行きましょう?」

と、声をかけると、

「色々考えこんでいても仕方の無い事よの。行こうかベルフォリス。ただしルキソミュフィアに着いたとしても、着きたい場所ではない可能性がある事の予測をしておくのじゃぞ?」

 レオルステイルは、これからくぐる扉の先の場所が、ルキソミュフィアの一番行きたい場所ではない可能性を示唆した。

 それを聞いたベルフォリスは、

「まぁ~それでも何とかなるでしょ!3日も4日も街道を歩き続けなくて済むんだから、向こうで何かあっても何とかなるって思ってた方が、良い方向に進めそうな気がしませんか?」

満面の笑みで答えた。

 これから先、何が起きてどんな危機が目の前に立ちはだかるのか?の明確な状況までは視えなかったものの、その時が来て何か対処をしなければ未来を変えられない事だけは、ベルフォリスの心の中に突き刺さっていた。

「そうじゃの、儂は迷ってばかりいる事が多いな、お主に付いて行く事にしようぞ。」

 道中考え事ばかりしている事に気付いたレオルステイルは、迷いの無さそうに見える若者に付いて行こうと決めた。




 本当に、瞬き一つだった。

 気が付くと、見たことが無い風景が皆の目の前に広がっていた。

 一番最初に円から抜け出したのはミカゲで、

「おおおおーーー!!コレットの夢の中で見たまんまの島だち!!」

と言って興奮しきりだった。

 当のコレットは、

「え?本当にあの島です!懐かしいです!!」

その場に座り込んでで涙している。

 図書館の大司書とその孫2人は、ついぞ先日も調査に行ってきた様で、

「うむ、儂らの他誰もこの地には降り立ってないようじゃのぅ。」

と言いながら、周辺の状況を探っていた。

 で、当の書架の主のソラ・ルデ・ビアスは?と言うと、

「久しぶりに赴けて感激の極み!またも赤の大陸の残滓を肌で感じられ、喜びの極み!」

とかナントカ、常人には想定外の喜びようで、他の面々には若干引かれていたり。

 その娘セレスはと言うと、初めて降り立つ赤の孤島のその、赤の大陸の残滓と呼ばれる魔力溜まりに圧倒されたのか、それともいつもの情報過多の所為なのか、

「お、おおぅ・・・・ここが赤の孤島・・・・」

言語に著しい滞りが見られたけれども、これはいつもの減少と言う事で他の面々からは温かい眼差しが注がれた。

 グレアラシルの方は?と言うと、急激な状況変化について行けていないセレスと似た様な感じだったが、降り立った場所の周辺にある林の様な森の様な環境に、不思議な違和感を感じていると、

「おや、グレアラシル君、もしかして君も周囲の環境に違和感を感じたのかい?」

グレアラシルの背後から、ソフィアステイルが近づいてきた。

「あ、ああそうですね。何かこの森はちょっと自然に生えてきた感じではない気がするっすね。」

 ソフィアステイルの問いにグレアラシルは、素直な感想を述べた。

「まぁ、もう少しすれば、この島の真理が分かると思うよ、多分。」

ソフィアステイルはそう言って、森の奥の方から感じる謎の気配に向かって視線を落とした。

 そんな中コレットは、かつて自分が小さな子供だった時のことを思い出すように、小屋までの道を歩く。歩勧める道は、大司書とその孫達が調査のために足しげく通って最近出来た道の様だった。

 真新しい道を歩いて行くと、目の前に念願の小屋が目に入って来た。

 小屋の様子は、ついさっきまで誰かが住んでいた様な?でも誰も居なかった時間も長かった様な、不思議な雰囲気を醸し出していた。

 そして、今まで誰もが開けようとして開けなかった小屋のドアのノブに手をかけ、開く方向に回転させた。

 ギイィィ~~っと、低い音をたてながら、小屋のドアが開いた。

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