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ソラ・ルデ・ビアスの書架  作者: 梢瓏
第五章 ルキソミュフィア救援
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第96話 未来のカード

 独特の言葉遣いの銀狼族の娘に、書架のメンバーは呆気(あっけ)に取られたが、すぐさま元の状態に戻って大司書の方に向き直り、

「これで、ルキソミュフィアに既に到着していると思われる2人と、こちらの3人の計5人が揃ったのので、『赤の孤島作戦』を実行出来ますね!」

と、セレスはまだ誰も作戦名を付けていない事をイイことに、勝手に作戦名を名乗った。

「いやセレス、その名前だとて気にバレる可能性があるんだち、ココは赤は抜いて『孤島作戦』の方が良いだち。」

 早速ミカゲが、セレスの作戦名に異議を唱える。

「しかし、これが一番誰もがしっくり来る作戦名だと思うけど・・・」

 セレスが不満そうに答えると、

「赤の孤島のある位置はね、考古学に精通している人なら勘付いちゃう可能性があるのだよ。実はその島のある位置はかつて、赤壁(せきへき)の大陸のあった場所だと私は踏んでいるのでね。」

赤の孤島の名の由来に何らかのイメージや、自身の知識のすり合わせをしていたソフィアステイルが口を挟んだ。

「ふぉっふぉっふぉ、ご明察じゃソフィア殿。あの辺りにはかつて赤壁の大陸があり強大な帝国が存在していたのじゃが、ワシが生まれる遠い昔、今から約1万年程前に天変地異が起こって海底深くに沈んでしまったのじゃよ。」

 ソフィアステイルの意見を聞いた大司書は、その見解について賛同し、過去にあったであろう出来事を話した。

「分かったよ、とりあえず作戦名は『孤島作戦』にしておく。って、ジィさん!今からでもすぐ赤の孤島に行けるよな?」

 セレスは、今正に迅速にルキソミュフィアに行かねばならない状態である事を、切羽詰まりながら大司書に迫った。

「もちろんです!共に参り、我らの同胞を救いましょう!」

大司書が口を開きかけた横から、サファルが時の声を上げた。

「ふぉっふぉっふぉっふぉ、では行くかの。ソラ・ルデ・ビアスの同胞たちよ、ワシとサファルとラテルナと手を繋ぎ円を成すのじゃ。」

 書架のメンバーは、言われたとおりに手を繋ぎ、一つの円を作った。

「では行くぞよ!ほんの一瞬の間じゃ。瞬きしておる間に着いとるでな!」

と大司書が言うと、円を成す皆の周囲が一瞬霧の様な空気に包まれた後、天空図書館から消失した。




 一方その頃、書架で留守番組のメンバーである、ベルフォリスとレオルステイルは、ただ暇を持て余していた訳では無かった。

 久しぶりにベルフォリスは、自分の持ちネタ?のカード占いをしていた。

 カード占いは、占いと言うよりも確定的な未来を引き寄せる、言わば依頼者が信じるしかない状況に追い込む簡易予知の様な機能を果たしていたので、かつて半年先の未来の予知がバリバリ出来ていたセレスと、本気で世界征服を目論んでいたと言う痛い事実があったりする訳だが。

「僕の占いってさ、ちょっと先に起こる未来を引き寄せるものだと思っていたけど、本質的には違うんだよね。実際は、既に確定していて改変不可能な未来を拾い上げて、カードの絵にして見せるんだ。セレスの予知に毛が生えた未来予知とか言われてイイ気になっていたけど、全然原理が違うんだよね。」

 ペタペタと、手に持っているカードを目の前のテーブルに置きながら、ベルフォリスは自身の力の本質を嘆いた。

 分かっていたのだ、ベルフォリスは。

 自分の力がセレスの未来予知に対する羨望から来ている事や、このカード占いを失ったら特に何を得意とするでもなく、魔法が凄い訳でも無いただの平凡なエルフの青年になってしまうのが怖かったのだ。

 ベルフォリスの呟きを、テーブルの向かいの席で聞いていたレオルステイルは、

「それでもお主は、その力で多くの人に導きを与えてきたのじゃろう?例えそれがセレスの力の模倣の様な状態であったとしても、誰かを救い導いてきた事実はもう変えられんのじゃ。だから、今更クヨクヨして後悔するなら、今すぐその力を棄てるべきじゃな。」

と、ベルフォリスの泣き言に渇を入れた。

 レオルステイルの言葉にハっとなったベルフォリスは、

「そうだよね。今まで、幾度となくこのカードの占いのお陰で、色んな人のこれからを視て来たし、例え確定していた未来だったとしても、もしかしたら誰かの未来を救えたりしていたかもしれないんだよね。」

言いながら、カードを何度かシャッフルした後、またテーブルの上に配置して行った。

「と言うか、ある意味僕はコレしか特技が無いからね、これからもカードにしがみついてでもやって行くよ。

 テーブルに配置したカードを、めくる順番通りにめくって行くうちに、ベルフォリスは急に体調が悪くなったのか?と思う程顔を青くして行った。

「おや?どうしたベルフォリス、顔色が急に悪くなったぞよ?今日、何か悪いモノでも食べた・・・・記憶は無いな。」

急変して行くベルフォリスに、レオルステイルはのんびりと声をかける。すると、

「ヤバイよレオルさん、急いで僕達もルキソミュフィアに行かないと!で、その後一緒に赤の孤島にも行かないと!」

「どうした?何が視えた??」

 ベルフォリスは、拾い上げた確定した未来の中に、ルキソミュフィアで何らかの危機的状況が発生する光景を目にしてしまっていた。

「レオルさん、もしかするとこのままじゃ銀狼族を救えないかも知れない・・・・」

青ざめた顔を一層青くしながら、ベルフォリスは、絶望的な言葉を口にした。

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