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ソラ・ルデ・ビアスの書架  作者: 梢瓏
第四章 ソルフゲイルの謀略
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第49話 制作現場

 セレスの提案と作戦で、急遽『アリエルシアの弓』を作ることになった仲間達は、依代チームと触媒チームに分かれて各々魔力を注ぎ込んでいた。

 一番苦戦していたのは実はレオルステイルで、何せ魔力が無尽蔵?と言う程の伝説級のエルフだったので、魔力の込める量を極小に制限する事に苦労したのは言うまでもない。

「セレス、儂がこんなちっぽけな玉に魔力を限界まで混めようモノなら多分、この書架どころかこの国が吹っ飛ぶやも知れぬぞ?そんな事になったら大変どころか、この大陸の歴史が塗り替えられる可能性が高いのでな、ほんのちょーーーーーっとにしておいたぞ?」

と、レオルステイルが満足げに話すのを見て、

「そ、それはどうもお気遣い有難き・・・・って、本当は面倒臭いだけなんだろうけど。」

レオルステイルの性格を見抜いているセレスは、半ば呆れた様子で母に言い放った。

 レオルステイルは、自身の怠惰が意外とアッサリ見破られていた事に対して少し驚いていたが、何年離れていようとも親子と言う繋がりは簡単には切れたりしないのだと実感していた。

 もう一人、依代に魔力を込めるチームのミカゲは既に魔力を込め終わっていて、先程自分で淹れていたお茶をゴクゴクと飲み干していた。

「あ~、何か魔法を発動しないで魔力を使う方が、何だか疲れるんだち。」

そう言いながら、他の面々の作業をニヤニヤしながら眺めていた。


 この、武器錬成の魔法も数多の魔法の中からセレスが自身の武器になる特別な魔法として作り上げた、言わばほぼセレスのオリジナルの魔法だったりするのだが、自分だけの特別な魔法にする気は毛頭無かったので、自分の中で魔法を完全に確立させた時に魔導書として書物にしている。

 ただ、あまりにも特殊で、それ相当の魔力を持ち合わせている魔導士や種族ではない場合は、武器の錬成前の依代か触媒を作る時点で力が尽きそうになるらしいと言う事で、今まで誰も挑戦しようと言う者が現れていなかった。

 さっきの、ベルフォリスの言っていた「儲かりそうな魔法」と言う言葉が面白くて嬉しかったので、セレスは魔法を伝授する時に更に面白く教えてやろうと思ったのは言うまでも無い。

 触媒チームの方は、ある意味限界まで~と言っても、あくまでもある程度の魔力のある種族や人の場合の限界と言う意味なので、ソフィアステイルレベルの魔力を持っている者は、先に触媒に魔力を込めていたレオルステイル程度に絞り込んで込めて行くのが妥当の様だった。

 ベルフォリスはセレスに協力出来る喜びとかナントカ色々な感情も一緒に込めていた所為か、早々にヘバってテーブル席で突っ伏していた。

 同じく席で少しうなだれているミカゲと共にお茶をゴクゴクと飲みながら、

「いや~、何かこう、このメンバーってある意味恐ろしい魔力の持ち主が集まっていて、このメンバーだけでも一個師団位の戦力あるかと思うと、僕の存在意義って何?とかちょっと自問自答してしまうよ・・・・」

いつも割と自信満々なベルフォリスが、自信を無くしそうになっていた。

 いつもとは違っているベルフォリスを見てミカゲは、

「そんな事言ったらあちしも自信無くしそうになるお。何て言うかこんなに凄い面々が一堂に会すことなんて滅多に無いと思うから、あちしは逆にワクワクして来てしょうがないお?ベルフォは一体何をそんなに嘆いているのか分からないち。」

そう言って、今の素直な気持ちをベルフォリスに投げかけた。

 確かに、このメンバーが本気で諸悪の根源を滅する!とかナントカ言って行動したら、この蒼壁の大陸はおろか世界征服も夢じゃないな?

 ベルフォリスは、ミカゲに言われた言葉の奥底に眠っているであろう意図を読み取ったかどうかは微妙だったけど、自分が自分らしく過ごして行く事の方が大事かもしれないと、少し気付いた様だった。


 その頃コレットは、依代チーム3番手として魔力を込めていた。

 武器の錬成の発動の際に魔力を込めるセレスのすぐ前の段階になる。

 あの時・・・・あの、最初に出会った日の夜の武器錬成の際は、ほんのちょっとの魔力しか注がなかったのに強い武器が出現したのはやっぱり、セレスとミカゲの魔力の高さがモノを言っているのだろうと思っていたけど、今回はコレットも限界まで魔力を注いでいるので、自分の魔力が『アリエルシアの弓』を形作る大きな要素になるのかも知れないと、こっそり大きな期待を寄せていた。

「うーーーーんんんーーー!!」

 最後の一滴まで絞り出すかの様に魔力を込めたコレットは、やはりベルフォリスやミカゲの様にヘロヘロになってテーブル席に戻る。

 そして、ミカゲの淹れたお茶の入ったティーポットを傾け、自分のティーカップに限界まで注いだ。

 なみなみとお茶の注がれたカップをそう~っと持ち上げた後コレットは、お茶を一気に飲み干した。

「お!コレットちゃん、やるね~!僕もさっきこのお茶一気飲みしてた所だよ。」

 不意に、近くでヘバっていたベルフォリスが声をかける。

 コレットは、まさか声を掛けられるとは思っていなかったので、身体がビク!っと震えてしまっていた。

「ごめんごめん、驚かせちゃったみたいだね。でも、さっきの魔力の込め具合見ていたら、この後は僕みたいにヘバっちゃうのかな~と思って。で、案の定僕の予想が当たったみたいだね?」

 ベルフォリスは軽く謝罪しながら、声をかけた理由を話した。

 コレットの第一印象では、ちょっと取っ付きにくそうなイメージがあったベルフォリスだったが、意外と気さくで話しやすそうなエルフのお兄さん?と言う雰囲気だったので、コレットはやっと緊張を解いてベルフォリスに向き合ってみる事にした。

「こ、こちらこそ!何か気を使って頂いて、ありがとうございます。ちょっと気が抜け過ぎてビックリしてしまいました。」

そう言いながら何度も頭を下げた。

 最近は本当に出会いが多くてしかも、自分よりも全員年上だから、お兄さんやお姉さんが居たらこんな感じなのだろうか?とコレットは、目を細めながらこの光景を見つめる。

 実際には、コレットの家族に兄や姉は居らず一人っ子と言う状態だったのだが、偶然~ではなく仕組まれていた出会いだったとしても、仕組んだ人が本当は悪い人だったとしても感謝せずには居られなかった。

 コレットが逆に謝って来たのでベルフォリスは、

「何か、お互い様様って感じだね~これからよろしく!因みに、僕の事はベルって呼んでくれてイイからね!コレットちゃん!」

 金色の草原の様な髪を揺らしながら、セレスと同じ緑色の瞳を輝かせながら自分に微笑むエルフの青年に、コレットも柔らかに笑みを返した。

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