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ソラ・ルデ・ビアスの書架  作者: 梢瓏
第三章 世界樹の守護者
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第25話 世界樹の守護者の前任者

「前任の守護者をそろそろ帰還させるべきだとアタシは思っている。」

 ひとしきりテーブルの上に突っ伏して、料理が並べ始める音がし始めた頃にようやく起き上がったセレスはそう言った。

 前任者?って一体誰?みたいな顔をしながらも、料理と食器を並べて行くグレアラシルに、

「そりゃ気になるよな?世界樹の守護者ってそんなホイホイ変わって行けるのか?って、学校ではそんな事習わなかっただろう?」

と、悪戯っぽくセレスは話を続ける。

「元はね、あの世界樹の守護者はエルフがやってたんだ。それも数千年という長い時間をずっと一人で。それが約200年位前にね、突然世界を旅行したいと言い出してね、オヤジが守護者の代役を立てる形で彼女に世界を旅行する許可を与えたのさ。」

そう言って、運ばれてきた料理に口を付けた。

 ミカゲがコレットの親から習ったという料理は、牛の尾をトマトで煮込んだ後辛いスパイスを振りかけた料理で、ちょっと辛い料理が苦手なセレスは、舌がヒリヒリして冷たい水を何杯も飲む事になった。

「ちょっとミカゲ!スパイスの量は多いんじゃないの?これじゃアタシはこの料理を素直に楽しめないよ。」

そう言いながら、グレアラシルが個別に焼いていた鶏肉のハーブソテーの方を口に運ぶ。

「ああ~確かにあのクレモストナカの街では普段から辛い物を食べる習慣があったっすねー。俺はその街で育ったのでそれがフツーだと思ってたんすが、他の地域に住んでみた時に辛い料理があまり出ないので、やっぱり特殊だったんだと思った時はちょっと悲しかったっすね~。」

 グレアラシルは体験した思い出を語りながら、セレスが辛いと言っていた料理をパクパクと口に運んだ。

 その光景を見ながらセレスは、

「今、アタシ、お前を猛烈に尊敬している。」

と、かなり真面目な顔をして言ったので、グレアラシルは絶句して頭を下げて謝った。

「スミマセンスミマセン!!俺、姐さんに非常に大変に申し訳ない事をしました!!」

と言って何度も謝罪した。

 セレスの方は本気で尊敬していた様で、グレアラシルが何故こんなに謝っているのか分からないぞ?と言った顔をして、怪訝そうに見ていた。

「とりあえず、まずは、セレスのお母さん探しに出かけたいだちね~。」

 もぐもぐと、辛い料理も何のその出食べるミカゲの口から出た『お母さん』と言う単語に、グレアラシルはまた恐れ慄いた。

「お、おおおお、お母さん?」

口をパクパクさせながら、セレスの方を見る。

 セレスは、

「ああ、そこまでは言ってなかったか。前任の世界樹の守護者は私の母なんだよ。」

と、サラリと言ってのける。

 そして、


「オヤジが言うには、母が世界樹の守護者をやってる時に恋に落ちたとか~ナントカいちいち自慢してたけどな。そのお陰でアタシは生まれながらに世界樹の守護者の因子を持った魔界人になってしまったんだよね・・・・・。」

そう言って深いため息をついた。

 グレアラシルはと言うと、あの世界樹の守護者が本当はセレスで、更に前任者と言うか本職の守護者が他に存在していた事実に、頭が回らなくなっている様だった。

 それを見ながらミカゲは、

「さらに面白いのがセレスの生まれた方法で、普通は人間みたいなタイプのヤツらはお母さんのお腹の中から生まれると思うんだち。所がセレスは、世界樹の中で胎児になってて、最終的には殻に入っててドラゴンの卵みたいな中から生まれたんだち!」

と言ってケタケタ笑った。

 見た目的に、ミカゲは13歳位に見えるからミカゲの方が年下の様に感じていたグレアラシルだったが、どうも話を色々聞いているとミカゲの方が遥かに年上だという事を、ようやく実感した話だった。

「まぁ、そんな感じでアタシは特殊な感じで生まれて、オヤジも戸惑ったのかしばらくは魔界に引っ込んで書架の運営をやっていた時代もあったそうなんだが・・・・もうこの辺はあんまり聞いて無くて、実際にオヤジに会って根掘り葉掘り聞くしか真実は見つからないって感じさ。」

とセレスは言った後、また深いため息をついた。

「とにかく、母さんを見つけないとアタシはメルヴィレッジから出られないし、友達を助けにも行けないんだ!!」

 セレスは、日中ニーアーライルが言った言葉を思い出す。


 『ルキソミュフィアとソルフゲイルが戦争をする』


 この言葉が、ずっと頭の中をグルグルと渦巻いていて離れなかった。

 出来れば、今すぐにでもルキソミュフィアに行ってニーアーライルを始めとする銀狼族を助けたい!その思いは、100年前の戦争以来何ら変わっていなかった。

 むしろ、100年前にむざむざとソルフゲイルに銀狼族が奪われて行く様を、見ている事しか出来なかった自分にセレスはずっと腹が立っていた。

 セレスが水の入ったコップを眺めて動作が止まってしまったのを心配したのか、ミカゲが声をかけた。

「もしかして、ニーアーライルが来たち?」

 まるで、セレスの考えはお見通しだち!と言わんばかりに、セレスの今考えている事の中心人物の名を挙げた。

 セレスは、

「あああ、もう、ミカゲにはずっと叶わないなー!」

と言って笑った。


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