*** 13 レベルアップ ***
タケルが3.5次元のトレーニング空間に籠って3か月が経過した。
(地球では1日半)
「ピロリロリ~ン♪ レベルが1上がって7になりました」
「な、なあニャイチロー、なんか今頭の中でヘンな声が聞こえたぞ……」
「設定していたレベルアップチャイムが鳴りましたか。
おめでとうございますにゃ」
「そうか。
それにしてもさ、毎日これだけ鍛錬していても、3か月もかけてようやくレベルが1コ上がっただけか……
確かに地球じゃあ1日半経っただけだけどさ、こんなんじゃタケルーさんみたいにレベル1000以上になるためにはマジで何百年もかかりそうだよな……」
「大丈夫ですにゃ。
レベルは実際に誰かと対戦した方が上がりやすいんですにゃあ。
それも自分より圧倒的に格上の相手であればあるほど上がりやすくなりますし。
それでは今日からボクが模擬戦の相手をさせていただきますにゃ。
現時点ではタケルさまと僕のレベル差は500以上ありますからけっこうなペースでレベルは上がりますにゃよ」
「そ、そうか、すまんな」
「とんでもありません!
タケルさまのレベルアップのお手伝いをさせて頂いたともなれば、僕は僕の母惑星では英雄扱いされますにゃよ。
ママも泣いて喜んでくれますでしょうにゃ」
「パパは?」
「パパはどこにいるのか知りませんにゃ」
(そ、そうか、猫人族は母系社会だからパパはどうでもいいんか……)
「それでは組手を始める前に『痛覚低減』と『身体防御』の魔法をかけさせていただきますにゃ」
「なあニャイチロー、その『痛覚低減』と『身体防御』の魔法ってかけないとマズイのか?」
「そんにゃことはありませんけど……
でもかけにゃいと痛いですにゃよ」
「あのさ、俺が格闘技を習っていたMMAのジムでも、初心者が組手をするときには防具だらけにして始めさせてたんだ。
そうしないと初心者は痛がってすぐ辞めちゃうから。
でもそうした防具組手に慣れ過ぎちゃうと、そいつなかなか上達しないんだ。
攻撃を受けても痛くないのに慣れると防御とか真剣にやらなくなるからな。
でも実際の試合ではヘッドギアとファウルカップとシンガードを除いて防具ってつけないから、いつまでも試合に出られない初心者のままで終わっちゃうんだよ」
「それにゃら最初は魔法をかけても、徐々に魔法のレベルを下げていっては如何ですかにゃ。
それにタケルさまにはエリザベートさまが命の加護を授けて下さっていますので、もしボクが手加減を間違えても、タケルさまは決して死にませんにょで」
「な、なあ、その『命の加護』ってどういうもんなんだ?」
「HPが0になった瞬間に、時間が巻き戻されてHPがある一定の量になるまで戻るんですにゃ」
「それって、あの5つの相互作用のうち、時間と空間の相互作用をコントロールしてるっていうことか?」
「はいですにゃ。
でも相互作用のコントロールは非常に危険な種類もありますにょで、使用する権限は神さまにしか与えられていないのですにゃ。
また、時間のコントロールは非常に多くの神力を使うために、死後10分以上経った場合にはまず不可能とされていますにょで、レベルが0になったときにすぐに発動させてるんですにゃよ」
「なあ、それってさ、HPが2とかになってた時にHPを3減らすような攻撃を受けるとどうなるんだ?」
「HPにマイナスはありませんから大丈夫ですにゃよ」
「そうか……
それじゃあまずその魔法をかけて組手を始めてみようか」
「はいですにゃ」
(うおおおおおっ!
なんだこのニャイチローの重いパンチは!
こ、これ『身体防御』かけてなかったら一撃で骨がバキバキになってんぞ!)
(このひとやっぱりすごいにゃぁ。
いくら『痛覚低減』と『身体防御』がかかってるとはいえ、ボクの攻撃が入っても全く怯んでいにゃいや……)
「それではタケルさまもボクに攻撃していただけますかにゃ」
「お、おう」
どがっ!
(うっわー硬ってぇっ!
レベル580の体ってこんなにすげぇんだ!
これ身体防御が無かったら俺の拳砕けてんぞ!)
(うわー、腰の入ったいいパンチにゃなぁ)
「もっと何度も攻撃してくださいにゃ!」
「おう!」
ドガッ!
バシッ!
ビチュン、ビチュン、ズドン、ズドン! バシン、バシン、バシーン!
ビチュン、ビチュン、ズドン、ズドン! バシン、バシン、バシーン!
ビチュン、ビチュン、ズドン、ズドン! バシン、バシン、バシーン!
(はは、もうコンビネーションも入れ始めてるにゃよ。
いくら身体強化してても拳はけっこう痛いにゃろうに……)
「もっと激しく何度も!」
「おう!」
ビチュン、ビチュン、ズドン、ズドン! バシン、バシン、バシーン!
ビチュン、ビチュン、ズドン、ズドン! バシン、バシン、バシーン!
ビチュン、ビチュン、ズドン、ズドン! バシン、バシン、バシーン!
ビチュン、ビチュン、ズドン、ズドン! バシン、バシン、バシーン!
ピロリリロリ~ン♪ レベルが1上がって8になりました♪
「あ、もうレベルが上がった……」
「おめでとうございますにゃ」
「そうか、やっぱり格上を攻撃するとレベルって上がりやすいんだ……
ということは、これもすべてニャイチローのおかげだな……」
「いえいえ、これもニャルーンさまや神さまに与えられた任務ですにゃ。
そのために今まで努力して自分のレベルを上げてきましたから」
「いや、それでもお前のおかげだ。
お前たち3人の恩は忘れないぞ」
(こにょひと、E階梯が上級天使さま並みに高いだけあって、本当に優しいにゃぁ……
ボクの忠誠心爆上がりにゃ……)
「さあ! もっと攻撃してくださいにゃっ!
ボクもときおり反撃しますにょで!」
「おう!」
ビチュン、ビチュン、ズドン、ズドン! ばきっ!
「ぐえっ!」
ビチュン、ビチュン、ズドン、どがっ!
「ぎえっ!」
・
・
・
「ピロリロリ~ン♪ レベルが1上がって9になりました♪」
「さて、これでタケルさまは基礎魔法30種類について、レベル1まで発動出来るようになられましたにゃ」
「なあニャジロー、この『火魔法』ってさ、可燃物と酸素を重層次元空間から持って来て、それに魔法マクロで着火して火を出して、それを重力制御でコントロールしてるんだろ」
「はいですにゃ」
「その異次元空間には可燃物と酸素が備蓄されているのか?」
「タケルさまに覚えて頂きました火魔法の魔法マクロの中に、可燃物と酸素を備蓄している対象空間の座標が登録されていますにゃ。
そこに予めボクが可燃物と酸素を準備しておいたのですにゃ」
「そうか、それじゃあ今後俺が任務を始めるときには、俺の空間にさまざまな資源を備蓄しておく必要があるんだな」
「はい、水魔法を使用する際には水を、風魔法を使用する際には圧縮空気を、土魔法を使用される際には土や砂を備蓄されておく方が便利ですにゃ。
ダークマターを操作して水や空気や土を作り出すことは出来ますが、かにゃり高度な魔法になって、魔法操作力も大量に必要とにゃりますから」
「そうか」
「もちろんその備蓄の際にはボクもお手伝いさせていただきますにゃ」
「ありがとうな。
ところでさ、『鑑定魔法』で俺自身を見てみると、MPっていう表示があるんだよ。
これって魔法力レベルのことなのか?」
「厳密に言うと若干異なるんですけど、ほぼそのご認識で合っていますにゃ。
もちろんHPは体力レベルや戦闘力レベルとほぼ同義ですにゃね」
「そうか……
それじゃあ魔法力レベルが1つ上がるっていうのは何を意味しているんだ?」
「レベルが1上がると、魔法能力はおよそ倍ににゃるんですにゃよ。
ですからレベルが10上がると魔法能力は2の10乗で1024倍ににゃります」
「そうか、等差級数じゃなくって等比級数で伸びていくんか」
「はいですにゃ」




