表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/248

*** 14 禁呪 ***

 


「それからさ、そういう物質的な魔法はまだ理解出来るんだが、よくわからない魔法もあるんだわ」


「どの魔法ですかにゃ?」


「例えばこの重力魔法な。

 これってさ、通常物質世界の素粒子を支配している重力子グラビトンをコントロールして強めたり弱めたりしてるんだろ。

 よくそんなことが出来るよな」


「まあ重力子だけは他の相互作用とは少し性質が違っていますからにゃ。

 にゃにしろビッグバンでこの宇宙が誕生してすぐ、5つの相互作用のうちで最初に発生した力ですにょで」


「ということはさ、他の相互作用、例えば『強い相互作用』とかもコントロール出来るのか?

 あれって原子の中でプラス電荷を持つ陽子同士の反発力を上回って繋ぎとめている力だろ。

 もしその力を弱められたら、原子をバラバラにして陽子と中性子に分解出来るんじゃないか?

 それってものすごい攻撃魔法になると思うんだが……」


「それは相当に難しい魔法になりますし、特別な資格を持つ神さま以外には扱いを禁止されている魔法になるんですにゃ……」


「そうなのか?」


「まず、強い相互作用と電磁気相互作用と弱い相互作用は大統一理論(GUT)にあります通り、密接に結びついていて、本来は個別に操作出来る力ではにゃいんですにゃ」


「そうなんだ……」


「それにですね……

 もし仮に『強い相互作用』だけを停止させることが出来たとします。

 その時はもちろん原子内で『強い相互作用』で結び付けられていた陽子同士が分解されるでしょうにゃ」


「うん」


「ですがそれは核分裂そにょもにょなのですにゃ……」


「あっ!」


「つまり『強い相互作用』だけを停止させると、同時に原子爆弾と同じ大核爆発を引き起こすのですにゃよ。

 それも魔法の対象がウランなどの核分裂物質でにゃくとも。

 しかもその際にはプラス電荷を持った陽子同士の結合を解除されていますので、それらの陽子が『電磁気力相互作用』によって反発し、凄まじい勢いで飛び散ります。

 その運動エネルギーを浴びただけで如何なる物質も破壊されるでしょう。


 さらにその際には原子のβ崩壊を引き起こしている『弱い相互作用』がそのままになっていますにょで、この爆発と同時に膨大な量の放射線が放出されます。

 これは近傍にいる如何なる生命をも抹殺するでしょうね。

 もちろんその魔法を放ったタケルさまも、その傍らにいるはずのボクも、素粒子にまで分解されてしまうでしょう」


「げげげげ……」


「ですがまあ、神界の研究によると、この『強い相互作用』のみを停止させる魔法は、魔法力100以上の上級神さま10人が1日かけて1個の原子にかけることが出来る程度だそうですにゃ。

 ですから、この魔法を単独で為せる存在がいるとすれば、それは全銀河宇宙で唯一タケルーさま1人だったことでしょう。

 よって、あと何年後かにタケルさまの魔法レベルが100を超えた際には、ボクから警告させていただくことににゃっていました。

 それまでも念のため、神界調査部の神々がこの空間も含めてタケルさまの魔法鍛錬を厳重に監視しているはずです」


「げーげげげげげ……」


「その宇宙最凶最悪の禁呪の存在を予想されてしまわれるとは……

 もうさすがというかなんというか。

 やはりあなたさまはタケルーさまの生まれ変わりだったのですね……」


「わ、わかりましたぁっ!

 そ、そそそ、その魔法は絶対に追求しませんのでぇぇぇ―――っ!」



 神界調査部特別監視部隊員たち:


(なあ、こいつやっぱりヤバいな……)

(ああ、魔法訓練初めてたった3か月であの超絶大禁呪の存在に気付くとは……)

(でもこれでもうタケルもあの大禁呪には挑戦しないだろう)

(そうだな、それにしてもさすがはあの超英雄の生まれ変わりっていうことか……)



 タケルーの記憶:


(さすがは俺の生まれ変わりっ♪)



 神界調査部から報告を受けたエリザベート上級神:


「さすがは妾が愛した男よのう♡ また惚れ直したわ♡」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 3.5次元空間に籠ってさらに1年後(地球時間6日後)。


「ニャイチローのおかげでとうとうレベル100になれたよ、ありがとうな」


「どういたしましてです」


「ところでさ、お前みたいな強者とサシで戦ってるだけでこれだけレベルが上がるんだろ。

 ということはさ、銀河宇宙の連中ってみんな相当にレベル高いのか?」


「いいえ、そんにゃことはありませんにゃ。

 銀河の成人の平均レベルは10程度ですよ」


「?」


「まず闘争のほとんど無い神界認定世界では、闘争機会がにゃいためにレベルは上がりません」


「格闘技の大会とかは無いのか?」


「文明が進むとその構成員たちの闘争本能も徐々に薄れて来ますので、通常のスポーツで十分に昇華出来るようになりますにゃ」


「そ、そうか……」


「それに、非認定世界の闘争は古代でも近世でも武装戦闘ににゃりますので、構成員がすぐに死んでしまってレベルを上げているヒマがにゃいのですにゃ。

 仮に生き残って強者ににゃっても、周囲には自分よりレベルの低い者しかいませんにょでレベルは上がりにくくにゃりますし」


「な、なるほど……」


「加えてこの場のような神域の利用は、天使見習(みにゃら)い以上の者にしか許されていませんからね。

 一般人がレベル100を超えるのはまず不可能とされているのですにゃ。

 実際に記録に残る一般ヒューマノイドの最高レベルはレベル58でしたし」


「そうだったんだ……

 それじゃあまた組手を続けようか」


「はいですにゃ」





「タケルさまの魔法レベルも順調に上がって来ましたにゃ。

 さすがのご素質です」


「でもニャジロー、魔法訓練しててもMPが10以下になると中止して、その後休養して周囲から魔素を補給してから再開してるだろ。

 それってさ、MPをゼロにするまで魔法使って気絶を繰り返すとか、途中でMPポーション飲んで魔力を回復させながら訓練するとかの方が効率的なんじゃないか?」


「その方法を採用するかどうかは、とりあえずMPが300を超えてから考えたいと思っていますにゃ。

 まだタケルさまの魔臓は未熟で、そういう過激な鍛錬をしていると破壊されてしまうリスクがあるんですにゃ」


「そ、そうか」


「ですからこのまま通常の魔法鍛錬を続けて、取り敢えずはMP300を目指しましょうにゃ」


「わかった。

 それからひとつ疑問に思ってることがあるんだけどな」


「なんですかにゃ?」


「俺が今訓練している魔法の中に『治癒キュア』って無いだろ。

 割と重要で一般的な魔法だと思うんだけど、なんで練習しないんだ?」


「あの魔法は、本来神さまとその使徒である天使さまにしか許されていにゃい魔法にゃんですにゃ。

 まだボクは使徒の資格を頂いていにゃいもにょですので……

 でもその代わりに治癒ポーションをたくさん渡されておりますので、万が一タケルさまが怪我をされても大丈夫ですにゃよ」


「魔法の『治癒キュア』と治癒ポーションって同じものなのか?」


「はいですにゃ。

 ポーションの中には大量の多能性幹細胞や各種アミノ酸、カルシウムなどの修復材料に加えて数億から数兆の医療用ピコマシンも含まれているんですにゃ。

 これらが体内に浸透して体の自己修復機能を大幅に促進しているんです。

治癒キュア』の魔法の場合は、これら修復材料とピコマシンを重層次元から転移させているだけですので、同じもにょにゃんです。

 因みに上級の治癒ポーションや魔法では、患部や体全体の時間を早めて自己修復を促進もしていますにゃ」


「あのさ、こないだ俺、頸椎折ってエリザベートさまに『ゴッドキュア』ってかけてもらってたろ。

 あれも同じものなんか?」


「『ゴッドキュア』は本来中級神さま以上にしか使用許可が出にゃい特別なもにょなんですにゃ。

 にゃにしろ時間次元の相互作用に干渉して、人体の時間を巻き戻していますから。

 ですからもはや『魔法』ではなく『神法』ですね」


「えっ……」


「つまりあの時のタケルさまの頸椎は、修復されたのではにゃく、折れる前の時間に戻されたんです。

 そして、電磁相互作用を媒介しているのは光子ですけど、光子は時間次元相互作用の一部も媒介しているんですにゃよ。

 だからタケルさまもあんにゃに光っていたのでしょうね。

 ボクも初めて見ましたけど。

 ですから、申し訳にゃいんですけど、ボクではゴッドキュアはもちろん普通のキュアの魔法も教えられにゃいんです。

 魔法レベルが300を越えたらエリザベートさまに許可を頂戴したらいかがでしょうか」


「わ、わかった」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ