表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】(サークルクラッシャーの)私が旅に出ようとしたら、 いつのまにか異世界の旅行会社に就職してました  作者: キサキエム
第一章 新しい環境というのは、気づかない間に疲れていくものである
19/953

18話 試験を受けなくても、割と人生どうにかなってきたのに


身分証を獲得し、コスモスにいることが認められた私と、フェリシアさんとネロは、企画宣伝課に戻ってきた。

もちろん、転送装置ヴェーダを使って。


いや、ほんと楽。

この楽さに、全然慣れないんだけど


元の世界にいたときなんて、徒歩で行けるところは行き、電車やバスという文明の利器によって移動していた。

1時間移動とか普通でむしろ短いくらいに思っていたのだが、それが5分と待つことなく、目的地に着く。

文明の利器は素晴らしいが、私の中で起きた異世界革命により、文明の利器はどこかに追いやられた。

転送装置ヴェーダに慣れ切った私が、いざ、元の世界に帰り、一時間移動しろと言われたら絶対に耐えられない気がする。

一度楽を覚えると、それ以上のことは絶対できなくなる。

絶対そう!


企画宣伝課のオフィスの中に入ると、イケおじに首と足に絡んで遊んでもらっているであろう、アンジュ君とアンヘル君が見えた。


「チヒロ、お帰り」

「どうだった?」


二人は、私のことを見つけると、イケおじ課長に絡むのをやめ、トタトタと私の方へ走ってきてムギュっと抱き着いてくる。

首をコテンとかしげる様子とか、かわいい物好きには、たまらんのではないですか。

そして、毎度のことながら、ちょっと痛いという。


「無事、パーソナルカードを受け取ることができました!」


二人に向かって、カードを見せるとキラキラした目で、おめでと。と言って、微笑んでくれた。

はい、かわいいです


「よかったね」


奥の方から課長さんが首や肩をコキコキ鳴らしながら、声をかけてくれた。

あぁ、痛かったんだな、多分。


「挨拶遅れてしまってすまないね。僕は、アルバート・ファウストといいます。一応、企画宣伝課の課長をやっているよ」

「しっかり、課長をしてください」


課長をするって新しい。

フェリシアさん、キレッキレですね!


「はじめまして、有間千紘です。今回はほんとにありがとうございました。アルバートさんがいろいろ調べてくれたおかげです」

「あぁ!そのことは、大丈夫!そろそろ人員不足に耐えられなくなったから、それに比べたら、あれくらい調べるのは造作でもないさ」


人員不足に悩んでいるのは、前々から伝わっていたけど、素直にお礼言いにくいんだが。

あーあ、フェリシアさんたちも深く頷いちゃってるし。


「そこで、企画宣伝課に正式に入ってもらうには、もう一つやってもらうことがあるんだよね」


異世界就職は、先が長いらしい


「それが!観光部、必須のアイテムである観光者ライセンスの取得」

「そういえば何度か、話に出てきてましたよね、契約の時にも言われましたし」


確か、観光者ライセンスの中に、ステータスみたいなものがあって、それによって特典が付いたり、行ける場所が増えたりするって言ってたような


「そう、それを取得してもらうために、研修を受けてもらい、試験に合格してもらう必要があります」


試験?

ここに来て、その言葉を聞くとは…

確かに、日本でも就職活動があり、面接とか筆記試験とかあるのは知っているけど、異世界の就職でも、そういうのは、ちゃんとあるんだな。


確か、大学2年生から就活セミナーみたいなものがあったけど、まじめに聞いた気になっていたが、今思うと全然頭に残ってない。

そして、就職活動が本格化する前にコスモスに来た私は、その活動に深くかかわっていない。

しかもだが、私は試験というものにもあまり縁がない。


学校内のテストとかは、ちゃんとまじめに受けるのだが、節目節目の大きい試験は、全部スルーしてきた口なのだ。


例えば、大学入試。

高校で、内申点が完凸していた私は、試験を受けず、推薦を獲得。

大学入試という勉強をせずに、大学入学をいち早く決めていた。


高校入試も、しかり。

よって、必要に迫られるはずの試験を、全く受ける必要がなかった私は、今に至るのである。


まぁ、私の2年生までの大学生活は、人生の休息時間として、浮かれに浮かれ、キャッキャウフフして無残に砕け散ったわけですけど。


とにかく、試験を避けに避けてきたため、その言葉を聞くと、なんか痒くなる。

試験アレルギーかな…


でも、私には後がないわけで、これに通らないと違約金で人生詰むわけだからやるしかない。


「何するんですか?」

「チヒロに合った試験にしたいんだよね、そうだなぁ」


もしかして、今決めてます?

そんな行き当たりばったりな試験をしなくちゃいけないの?

嫌すぎる…。


「試験内容は、研修先の感想を書いてもらうとかどう?」


かんそうって感想?

感想を書くだけでいいの?


「あー、いいんじゃないですか。今後、頼みたい仕事内容ともあってますし」


フェリシアさんも納得ということは、ほんとにそれだけでいいんだ


「じゃあ、現場試験官はネロに任せようかな」

「なんでこいつのおもりを、毎回俺にやらせるんだ」

「別にいいだろ?現在、魔力がないチヒロちゃんのフォローができるのもネロだろ」

「フォローなんてしていいのか?不正だろ」

「今回はイレギュラー尽くしだから、すべて僕に一任されてるんだよ。そういう細かいところは。ネロの判断で、本当に必要と思ったら、フォロー入れてあげて。そういう所、信頼してるんだから」


アルバートさんの言葉に、ネロはそっぽを向く。

でも、気になっているのはそこじゃない。

会話の中で、フォロー、フォローと何回も出てきたけど、何させられるの?


「じゃあ、明日の朝、研修先に案内しようかな」

「チヒロちゃん、頑張ってくださいね」

「研修楽しんできてね、チヒロ」

「今日は早く寝るんだよ」


みんなの優しい微笑みがとても、怖いのですが。

ほんとに何させられるのだろう。


異世界に来て、有間千紘、就職試験を受けることになりました。


読んでいただき、ありがとうございます


よろしければ、

コメント、ブックマーク、評価、レビューしていただけると嬉しいです。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ