エピローグ
邪神討伐からいくらかの月日が流れた─
結局、あの後は剣魔大会のカルテットの試合は会場の破壊により中止となった。邪神の眷属との戦いで少なからず兵士にも犠牲者が出ていた為、強大な邪神と戦った英雄として会場の一角に、慰霊碑が建てられ次の年からは黙祷を捧げる事が付け加えられた。
そして、剣魔大会で実力を示したカレンとレインはレインの学園卒業と同時に結婚式を挙げた。
「カレーーーン!!!おめでとう!」
「クソッ!羨ましいぞ!レイン!」
学園の同級生を呼び、家族と一緒に最高の結婚式を挙げた。結婚式の最中に、女神リューシンが現れて騒ぎになったのは後世に語り継がれる事となる。
『我が分身体とはいえ、カレンは自我を持った1人の人間だ。寿命も同じなので短い人生を大切に生きろ』
女神リューシンは思った。これが短く儚い人間の幸せなのかと。幸せそうな笑顔のカレンを見て自分自身も結婚願望が生まれた瞬間であった。周りの女神達がどうして騒ぐのかわかったのだ。
カレンは結婚はしたが一年間は学園に通い、きちんと卒業を果たす。人妻カレンが、人妻特有の色香が出て男子生徒に人気があったのはカレンは知らなかった事は秘密にしておく。
そして1番変わったのはレグルスであった。王籍に戻った事で王位第一継承権を得て、晴れて王太子になった。レグルスは戦闘スキルで優遇される風習を改善しようと、様々な政策を行った。レグルス自身、支援魔法とスキルばかりで第一級の戦闘力を身に付けた証拠となり、このレグルスの境遇は、【演劇】に用いられる事になり各国で有名な話となっていく。
不遇なスキルで除籍されたが、必死で努力し女神リューシン様に認められ、剣魔大会の出場し見事優勝する。さらに邪神の討伐にも尽力した事が有名にならない訳が無かった。演劇をこっそり見に行ったレグルスは途中で悶えたのは仲間だけの秘密です!
そして、各仲間達がそれぞれの道を見つけて歩み始めた時、シオンもまたレグルスと結ばれ、エトワール王国の王妃となる。
しかし、シオンの2つ名からエトワール王国には【女王】が存在すると言われた。
そう、シオンの【発明女王】としての名は大陸中に轟き、知らない者はいないとまで言われるほど文明の技術レベルを押し上げる事となる。
魔法文明が栄えると、技術レベルが上がらないと言われる。魔法の方が便利で簡単だからだ。しかし、魔法で治せるものを薬草をブレンドした現在の薬など庶民が手のでる料金での治療を可能としたシオンの発明品は多岐に渡った。
嗜好品から薬品類、馬車などを快適にする技術提供に、新しい香辛料、料理などなどシオンの名前も後世に語り継がれる事となる。
そして─
「シオンお婆様!」
大勢の子供達に、家族に見守られシオンの寿命は途切れようとしていた。
そしてシオンの友人達もまだ生きている者もいるが、半数以上が寿命などで他界していた。
「みんな、ありがとう。こんなに大勢の家族に見守られて逝けるなんて幸せです………」
こうしてシオンは異世界での一生を終えた。
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「あれ?ここは………?」
真っ白い空間にシオンはいた。
『久しぶりだね。シオン。異世界はどうだったかな?』
そこには創造神が立っていた。そしてシオンの身体から女神セレスティーナが現れた。
『長い人生、お疲れ様でした。シオン!』
「セレスも長い間、私の為にありがとう!」
セレスにお礼を言って握手をする自分の手を見て驚いた。
「んっ?これは?」
セレスはクスリと笑い鏡を出してシオンに見せた。
『今のシオンはここに来たときと同じ年齢に戻っているわ。これでようやく現代の家族の所に転生させる事が出来ます』
そこには慈愛の女神セレスティーナの姿があった。
『邪神を倒し、異世界の文明レベルを上げてくれたシオンにはお詫びだけではなく、お礼もしなくてはならないと考えている』
突然、創造神はそんな事をいってきた。
『シオン、後ろを見てみるがいい!』
シオンは後ろを向くと、そこには若返ったシオンに関わり深い友人達が揃っていた。
「み、みんな!?」
「シオン、なんて顔をしているのよ!」
「そうじゃ!これからまた皆で騒げるというのにじゃ!」
!?
「えっ?どういうこと?」
『邪神討伐のお礼だよ。異世界からシオンの生まれた現代へ、関わりの深い者を【逆転生】させる事にしたのだ。ちゃんとお前達が出逢えるように細工をした上でな』
創造神様は、いたずらが成功したような顔でシオンをみた。
シオンは皆を見て嬉し涙を流しながら言った!
「みんなーーー!またよろしくね!!!」
FIN
愚者の声
「最後までお読み頂き、ありがとうございました!毎日更新のため、途中で話が少し薄っぺらくなった感がありますが、なんとか完結出来て良かったです。また別の作品のシオンの活躍をお楽しみ下さい!」