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SF  作者: 真夜
14/14

工業系アイドルの製造過程 中

心地よい緊張感といい感じの不安に包まれながら、鏡の前で自分の髪をいじって遊ぶ。

長い黒髪が肩に当たって面倒なので、そろそろ切ろうかなと控え室で考えていた。

後ろから、そろそろ時間だよと聞こえてきたので、急いで手元にある、小さな箱から覚醒素材を取り出し装着して、控え室を出た。

前のグループの出番が終わり挨拶をして退場して行った。


「先輩...行きましょうか。」

隣で相方が、元気よく拳を握りしめてそう言ってきた。


「よーし...皆さんこんにちは!!」

私がそう言うと、会場内が一気に盛り上がる。

うーん、めちゃくちゃ気持ちいい、この歓声。

スポットライトの熱が眩しくて熱いとアイドルが言うがそれは正しい。

スポットライトに照らせれながら、私を応援してくれている人を笑顔にできる喜びが私の活動の原動機となっていた。

私は、みんなを笑顔にするために生まれてきたのだと思っていた。


だけど、それは今まで応援してくれていた人が優しくて単純だっただけで、笑ってくれない人が来たらと思ってすらいなかった。


そして、嫌なことは、すぐ当たると言わんばかりにその日がやって来た。

その日は、会場いっぱいに、私と相方を応援してくれる人が来てくれていた。私は、いつもと変わらないように踊って歌うの作業を行っていた。


「それをやって、何になるんですか?」

そう聞こえてきたので、声のするほうを向いてみた。

そうすると、真顔で私を見つめてくる女の子がいた。


いつ通り、私は、スマイルを送った。

周りの人は、今俺に笑顔送ったんだよね!きたー!!と叫んでいる。

みんな笑顔になってくれた...だけど、女の子は笑ってくれない。

な、なんで...血がパニック状態で回り始める。

普段とは違う変な呼吸になってしまう。


なんで...笑ってくれないの?

そう思った瞬間に、私は何かに刺されたような感覚と共に耳にふっと何かが聞こえてきた。


「あなたの生き甲斐ってなんなんですか?」

そう女の子が言ったのか、幻聴なのかは覚えていないが、そう聞こえた。


...私の生き甲斐って何なんだろうか?

そう考えると、今やっていることが嘘みたいに面白くなくなった。

私は...リアルを甘く見ていたのだろうか?

私は、間違った道を進んでいたのだろうか?

そう思うと、私は相方に捨て台詞を吐いて逃げた。


「神奈ちゃんの生き甲斐ってなんですか?」

相方は、即答でなにか言ってきたと思うが、私は無視してその場から去っていった。

悲しい時は、雨が降るって小説とかで書いてあるけど、本当にその通りだった。

だけど...普段は冷たい雨だけど、今の私には温かく感じるくらいに心は冷えていた。


私は...何がしたいんだろう?

見えないゴールを目指してただ放流する人生が始まった。


最低で何もかも人任せだった私の人生のここまでがあらすじ。


そして、これからは、私が再びアイドルになろうと工業学校に入ろうと思ったきっかけの話。



_______________

約一年と半年前、私は、特に何もすることもない、目的のない怠惰な日々を暮らしていた。

やりたい事も、すぐに飽きるし、何をやっても達成感が湧かない、つまらない...つまらない日々だった。


「先輩...先輩の家の晩御飯今日はなんですかね?」

中学校の屋上で、二人でもたれ合いながら、隣の人が言ってくる。

後輩の神奈ちゃんは、ダンス教室に通い、毎日を必死に楽しく生きている、私とは、違う人間だった。


「うーん...カレーとか?だったら嬉しいかな。」

特に何も起こらない...つまらない会話イベントだった。

これじゃあ。私がたまに暇潰しでやってる、ギャルゲーだったら、好感度が全然上がらないで、バットエンドになるよ。


その後、後輩と喋ることもなく、ただお互いがお互いの体で、持たれ合うだけの時間を過ごしていた。

口にくわえていた、いちごミルクが無くなった...

儚いな...自分の人生。

暇なので、空をボーと眺める、蒼いな。


昼休憩が終わり、教室に戻る。

黒板には、自習と大きく書かれている。

ラッキーと思いながら、ヘッドホンを耳に装着し、音楽を流す。

教室内は、ざわざわといい意味で騒いでいる。

今日も平和で、何も変わらない日々...もう、中二だぞ...いい加減に、好きなことを見つけて...必死になりたかった。

そう思ってもできない自分に腹を立たす、毎日。


...背中に、謎の感触を感じる

んん?振り返ると、後ろの席の子が、教室の入口を指さしている。やばいよ、やばいよと言いながら。


「な、なに?」

ヘッドホンを取って、そう聞く。


「い、いや...先生が、その、教室の入口にいるよ。」

後ろの席の子が、アワアワとしながらそう言う。


...や、やらかした。

この学校は、音楽プレーヤーもヘッドホンも持ち込みは、校則に引っかかる。


「おい、織田...?」

先生がツカツカとこちらに近づいてくる。


「は...はい...」

私は、もう無抵抗...完全に終わった...


「お前の罪...分かってるよな?」

先生が、私のヘッドホンを触りながらそう言う。


「は、はい...」

私は、そう言ってゆっくりと席を立った。


「よーし、職員室に来ようか。」

先生がそう言うと、私は、ゆっくりと先生についていった。


廊下が長い...歩くのがめんどい...セグウェイ欲しい...

なんで、ヘッドホン付けたんだろう...イヤホンにするべきだったかな。

後悔をしながら、廊下を歩いていく。


職員室のドアを開けて、中に入る。

そして、私の前を歩いてた先生が、岸田と書いてある席に着いたので、話を始める。


「それで、織田...この不要物の謝罪処分どうしたい?」

先生がもう、決まっていることを言ってくる。

どうせ、没収とか、反省活動でしょ...嫌だな。


「はい、没収ですよね?それで、反省活動と?」


「普段ならそうだな...だけど、それは、嫌だろう?」

先生が、ニヤニヤとしながらそう言ってくる。


「はい!嫌です!普段の処罰はご勘弁を」

私は、マッハ2??ぐらいのスピードで頭を下げる。


「ふふ、そうか...素直で宜しい。なら、これに行け、それで、そこで見たものの、感想文を少し書けば、今回のことは。無かったことにしてやる。」

先生が、ピラピラとチラシを見せてくる。

...チラシを受け取って、見てみる。


車のレース??

近場である草レースと言う、レースを見てこいとの命令だった。


「いいですけど、なんでまた、車のレースなんです?」

本当に意味がわからない。

私は、車になんか興味が無い。行く意味が分からない。


「分からないか?...ここにお前の探してたものがあるよ。」

意味がわからない、私の使っているヘッドホンが、お年玉を貯めて買ったから、大切なので行くけど...行ったところで、何も得られないだろう。


「...分かりました、行ってみますよ。」

行きたくないオーラーを出しつつ、そう言った。


「おう、楽しんでこいよ。」

先生が、そう言って、送り出した。

正直車のレースなんてどうでもいい。

私のヘッドホンと音楽プレーヤーが戻ってくるのならそれでよかった。


草レースの開催日、私は、一人寂しく、会場に行く。

初めて、レース会場に行くので、どこに座ればいいかも分からない。

取り敢えず、歩くが、どこに行くのがいいんだ?

すぐそこにある通路の角を曲がる...


『イターイ。』

角を曲がった瞬間、人とぶつかった。

私もぶつかった相手も、地面にペタッと押し倒される。


「ご、ごめんなさい。」

私は、勢いよくたって、倒した相手に手を差し伸べる。


「あ、ありがとうございます。こちらこそ、ごめんなさい。」

地面に座ってた人が、私の手を引っ張って、立ち上がる。

...可愛い人だった、紫のロング髪で...すごい可愛い人だった、歳は、私と同じぐらい?

こんな子も、車に興味があるんだ。


「あ...あの、貴方も車に興味があるんですか?」

紫の髪の子にそう聞かれた。


「い、いや...その知り合いに、強引に来させられました。」

先生=知り合い、って言うのは、無理があるかもしれなが、あながち、間違えてないだろう。


「そうなんですか...あの、もし宜しければ、一緒に見ませんか?」

紫髪の子に、そう誘われる。

どこが観客席なのか、わからない自分としては、もちろんOKを出した。


「はい!よろしくお願いします。」

そう言うと、紫髪の子が、こっちですと、案内してくれる。

前を歩く子は、後ろ姿まで、とても綺麗だった。

可愛い?と聞かれたら、もちろんと元気よく返せるだろう。


紫髪の子に連れられて、観客席?ではないだろう、作業室なのか?まぁ、今にして思えば、単純にピットな訳だが、そこに連れていかせた。


「ここって、関係者以外駄目とかなんですか?」

今さっき、紫髪の子が係員に身分証明書を提示していたので、聞いてみる。


「はい、まぁ、一応この、86の関係者です。」

そう言うと、紫髪の子は、白い色のボディ色なのに蒼く輝く謎の車をバッと手で私の目線を導いてくれた。


「不思議な車ですね。なんか...」

ボディ色も、だけど、この車から出てるオーラ?みたいなものがビンビン伝わってくる。

とても、気持ちが高揚する。

ドクンドクンと血が回るのがわかる。


「不思議な車ですよね、この車のドライバーも不思議な子ですよ。」

そう言うと、紫髪の子が、すぐ近くで、モニターを凝視している少女を呼んできた。


「...なにかな?けんちゃん?」

そう言いながら、紫髪の子に連れられてきた子は、茶色の髪に、目の色は...見ているだけで吸い込ませれそうな蒼い色だった。

とても、興味深い子で、この子も、また同じ意味で、蒼く輝く車と同等に謎のオーラを放っている。


「い、いやー真夜ちゃん、ちょっとこの子に挨拶して欲しいなと思ってね。」

紫髪の子が、そう言うと、りょーかいと、敬礼して私の前に立った。


「蒼神真夜と申します。よろしくお願いします。」

...その子は、間違えなく...そう言った。

その事を今でも、覚えている。


「織田美希と申します...そのよろしくお願いします。」

私は、人見知りが人一倍強い。

学校では、グレてるみたいな性格だけど、こうやって喋られると、頭が回らない。

コミ障と言われたら、そうだと頷くしかない。


「織田さんね、よろしく...」

そう蒼目の子がいう。

彼女が動く度に、蒼い輝きが私の目に映る。

なんて、幻想的な子なんだろう。

だけど、何故か私と同じように心が空っぽな様な気がした...


「...おっと、けんちゃん、そろそろVADS着ないと、いけない時間だよ。行ってくるね。」

蒼目の少女が、謎の単語を言いながら、走っていく。

それを、紫髪の子が行ってらっしゃいーと言いながら見送った。


「...あ、あの?Vなんですけ?今さっきの子が言ってた、英単語ってなんですか?」

流石に、謎単語をスルーするほど私も冷めてないと思う。

なので、聞いてみた。


「あ、ああVADSですか?流石に分からないですよね。」

そう言うと、紫髪の子は、近くにあったパソコンを素早くタイピングして、英単語なのか?を構成し始めた。


「variable,assist,drive,suitが正式名称なんです、今さっきの子、真夜ちゃん専用に作られたドライブスーツで、長いので約して、VADSと言います。」

なんか、Fなんちゃらの装備に似たような物が、あった気がするが気にしない。


「その、VADSって、性能が良いとか、なんですか?」

普通のドライブスーツでは、ない事は理解した。

だが、その性能がよく分からなかった。


「はい、VADSは、彼女が、蒼弾を発動した時に、感情を自在に調節してくれる物なんですよ。」

紫髪の子が、意味のわからないことを言ってくる。

感情コントロール?よく分からないし、それがレースに使えるのかとすら思う。

けど、紫髪の子が嘘をついてるようにも見えない。


「な、なるほどー分かりやすかったです。」

...素直に、考えるのをやめた。


「ふふ、分かってもらえて良かったです。」

紫髪の子がそう言った。

...どうやら、車のレースは、私が思ってたものより奥深いようだな。


「おっと、そろそろフリータイムが始まりますね。」

紫髪の子が、時計を確認しながらそう言った。



レースが始まる前、少しの間は観客が、レースの出走車を間近で眺める、フリータイムがある。

私は、出走車一覧表を眺めながら、特に見たい車も無いので、軽く見て回ることにした。


紫髪の子の、カーボンと言う軽量素材の熱演をまずは聞いた。

私と同い年とは、思えないぐらいやる気に満ち溢れていた。

紫髪の子と、何もしていない私を見比べるのが怖くて、他の企業紹介に行った。

よく分からない金属にこだわる会社の熱演を聞いたりした。


「次はどこに行こうかなー」

今さっきまで、白けていた私だが、体が熱くなっているのがよくわかる。

この会場内の熱に染められたんだ。

もっと見たい...皆のこだわりが、何を改造して、何に特化したのか...もっと見せて欲しい。


「えーと次は...ん?」

出走車一覧表の1部を何度も読み返す。

...自分の中学校の名前が書いてある。

自分の学校って、自動車部なんてあったんだと思いながら、先生が見に行けって言った理由を大体理解した。


「はいはい、見に行けばいいんでしょう先生...」

一人でボソっと呟いて目的地に向かって歩き出した。


自分の学校の自動車部の待機場所に来た。

何故かここだけ、人で溢れかえっていたので、歩くのすら大変だった。

...自動車部の待機場所が近づくにつれ、歌い声が聴こえてくる。

この声って...人混みを気にせず走る、そしてわかっていた答えが見えた。

観客の視線を独占している、人が目に止まった。


「神奈ちゃん...」

1人で簡易ステージに立ち、歌いながら踊っている少女が見える。

衣装は派手で、学生服を見事に着こなす彼女が着ると、まぁ、アイドルだわな...そりゃ当たり前か...みたいな感じになる。

彼女を見ていると胸の当たりが熱いけど、縛られる感じがする。

早く...どこか違うところに行かないと...


丁度歌が終わり、歓声と拍手が沸き上がる。

神奈ちゃんがありがとうございますと、透き通る声で言っていた。


観客を押し分けて、紫髪の子の元へ帰ろうと走った。

しかし、押し分けきれなかった、人に勢いよくぶつかる。


「痛ッ」

...本日二回目だよ...運ないなーと思いながら、倒してしまった人を見つめる。

倒れた少女は、作業着を着ていた。

顔に見覚えがある。この子って...芳村って名前の人だっけ?


自分の学校で、毎月1回、強制的に渡される新聞部作の校内新聞がある。

校内新聞は、大体10ページぐらいで構成されていて、その6ページぐらいを占めている、構内美少女月間ランキングと言うものがある。

見事?それに選ばれた人は、新聞部にアンケートされて、それがそのまま記事になる訳だ。

...なぜ詳しいか?...それは、私が地味にこのランキングに入ることが多いからだ。


まぁ、校内新聞はどうでもいい。

取り敢えず、その校内新聞で最近引っ張りだこなのが、この芳村と言う少女な訳だ。


「あ、あのー、す、すいません。」

このオドオドさと、ロリ外見なお陰で株価急上昇中らしい。

その考えに...めっちゃ同意します。


「い、いや...こちらこそ。」

私と芳村は、一度も同じクラスになったことが無いので、名前を知ってる訳が無いので、冷静に対処する。


「あ、あの...えーとありがとうございます。」

芳村が、立ち上がりながらそう言ってくる。

...か、可愛いな。小動物みたいで。


「あ、倒して悪いけど...私先急いでんだ...」

そう言って、腰を深く曲げて謝罪をして、そのまま逃げた。


「は、はぁ...こちらこそ。ごめんなさい。」

そう後方から聞こえてきた。

ご、ごめんね、芳村。また学校出会うことがあったら謝罪するね。

...ちなみに、それから私と芳村が中学校生活で出会うことは無かった。


...先生がこのレースを見に行けと言った理由が完璧に理解した。

まぁ、だからと言って、またやる気は無いけども...

今日は、まるで私自身の怠惰さを見つめ直せよと、問いただされるような日だった。

蒼目の子や、紫髪の子、神奈ちゃん、芳村は必死で頑張っていた。

それなのに...私は...


...紫髪の子の元に帰る気にもならなかったので、不良は不良らしく、孤独に生きよう。

観戦席の場所も、フリータイムの内に理解した。

観客席へ行き、空いた席に一人寂しく座った。


レースが始まり、私の周りは一斉に湧き上がった。

レースに参加している、車が眩しい。

先頭を走る、あの蒼く輝く車が脳裏に焼き付く、胸の当たりが熱くなる。

車から奏でられるエキゾーストノートが応援歌のように私の心に響く。


...辞めて欲しかった。嫌だった、苦しかった。


希望は絶望に変わるということを知っている。

向上意識は、すぐに怠惰になることを知ったいる。

アイドルを本気でやっても、笑顔にできない人がいることを知っている。

本気になっても...叶わないことがあることを知っている。


今走ってる車達だって、いつか...いつか...鉄の塊に化けることをみんな知っているはずなのに。


「なのに、何で...みんな本気になれるの?」

思ってることを吐露しています。

小さい声なので、誰にも聞こえないだろう。


「それはですね、みんな信じたいんですよ。自分が信じた道が正しいと言うことを。形に残すことで、間違えじゃなかったと信じたいんですよ。その為なら、無駄なことでもこなしていく。そんな物じゃないですか?」

後ろから声がする。

この優しい声は...間違えない。


「ど、どうしてここに...」

後ろを振り返ると、紫色の髪が風になびいてる。

キメ細かい白い肌に品のある風格。


「貴方が、悲しそうな顔をしていたから駆けつけました。」

紫髪の子が、そう言って私の隣に座ってくる。

右隣に座ると、とてもいい匂いがする。


「...私そんな顔してました?」

無理に、作り笑顔をする。

馬鹿みたいだ...我ながら。


「はい...なんかあったんですか?」

紫髪の子が苦笑しながらそう言ってくる。


「さっき言った通りですよ、皆なんでこんなに本気になれるんだろうって、疑問になっただけです。」

自分的にポーカーフェイスで対応するが、ボロボロだろう。我ながら、み、見苦しい。


「織田さんは、本気で何かをやったことがありますか?」

紫髪の子が、そう言ってくる。


「...ありませんよ。一度も。」

私は、自分でもわかるぐらいに冷たく笑った。

自分で自分を自虐する。

これなら、誰も傷つかない。


「そうですか。織田さんなら、やりたい事がすぐに見つかると思いますよ。そんな感じがします。」

紫髪の子が笑顔でそういう、やりたい事か。


「そうですね、見つかったら、報告しますよ。」

そう言いながら、コースで走る蒼く輝く車を見つめた。

...共振というのだろうか、この車を見ると体の震えが止まらない。

もっとこの車を見ていたい...そう思えてくる。


「あの、86今日は絶対優勝しますね...」

私は、なんとなく...そう言った。


「ん?まぁ、真夜ちゃんが、他の人に負けるわけが無いと思いますが...何でそう思うんですか?」


「その、あんまり車に詳しくないんで、なんて言えばいいか分からないんですが...活き活きしてるなって、あの車は、他の車にはない、アグレッシブさがあるなって思うんです。」

自分でも、何が言いたいのか分からないが、これだけは言える、あの蒼く輝く車は、物凄いアグレッシブで、ドライバーがノリノリだなと人1倍教えてくれている。


「そ、そうですか。よく分かりますね...そんな事が。」

紫髪の子が、興味深そうにそう言ってきた。


「そ、そうですかね。まぁ、何となくですが...」

そう言うと、紫髪の子が、忘れてたと言いながら、何かを取り出している。


「織田さん、もし車に興味を持ってくれたら、これで勉強してみて下さい。」

そう言って、紫髪の子から分厚い本を貰った。


「え、えっと...そのありがとうございます。」

そう言ってもらった本の表紙を見た、ガソリンエンジン分解基礎という本だった。

ガソリンってあの危険物の?

そういえば少し前までは、危険物であるガソリンをみんな使ってたって言ってたっけ?

なんで、そんなガソリンを使ったエンジンを今更...

そう疑問に思ったが、貰っておいた。

今は無性にこの本が読みたかったから。


「おっと...こんな時間、すいません織田さん、私そろそろピットに戻らないと...またお会いしましょう。」

紫髪の子が、慌ててピットのほうへと駆けていった。

...連絡先聞くの忘れてた、それにあの子へのお礼だって...ちゃんと言えていない。


また会えた時に、お礼を言おう。


「という訳で、先生にヘッドホンとミュージックプレイヤー返してください。」

私は、レースであった事を、自己規制して一部は公表しなかったが、その他はありのまま先生に発表して、ヘッドホン等の返品を頼んだ。


「ほう、珍しく、ちゃんと見たんだな。ほらよ。」

先生が物珍しそうに私を見た後に、ヘッドホンとミュージックプレイヤーを返してくれた。


「ありがとうございます。それじゃあ失礼します。」

私は、笑顔でそのまま、昼休憩なので屋上に向かおうとした。


「お、おっと...織田、お前ガソリンエンジン分解してみねーか?勿論、お前が嫌だと思うから、自動車部には入れない、私と秘密の特訓会って言うので...どうだ?」

先生が、神経な目で見てくる。


「それに関しては...すいません、興味無いです。」

そう言うと、私は職員室を出た。


...なんで今更、エンジン分解なんか...

そう思いながら、自動販売機でミネラルウォーターを買うと、私は、いつも通り屋上に向かって歩き始める。

屋上に繋がるドアを開けると、後輩の神奈ちゃんが、軽快に踊っていた。


「神奈ちゃん...お昼食べよ。」

私が、そう言った瞬間、彼女は光速で私の元にやって来た。

その勢いで、思わず尻餅をついてしまう。

神奈ちゃんの前世...猪だったのかな??

いやー違うよね...と思いながら立ち上がる。


「先輩!待ってましたよ。食べましょう。」

踊っていたせいか、息を切らしながら、そう言ってきた。

...本当に、踊るのが好きなんだな...っと思った。


「神奈ちゃん、ダンスの練習してたの?今さっき?」

弁当の中身を確認しながら、聞いてみる。


「はい...まぁ、先輩には、まだまだ遠く及びませんけどね。」

そう言って、苦笑いをしてくる。


「...そ、そうなの?けど、大分いい感じだったよ、無駄もなくなってるし、何より姿勢がいい感じだったよ。」


「ほ、本当ですか!先輩に褒められるなんて...照れちゃいますよ!もっともっと、頑張ります。」

そう言うと、神奈ちゃんが、バックから何かを取り出した。


「...せ、先輩、実は、今日は...そのお願いがありまして」

神奈ちゃんが、改まって、モジモジしながら言ってくる。


「ん?なに?私で出来ることなら...やるけど」

神奈ちゃんのようにやる気に満ちてる人は、なんとなく助けてあげたいと思う。

勿論、下手に了解して、結果を残せないといけないので、わたしにできること限定だ。


「ほ、本当ですか?なら...次のアイドル大会...一緒に出てもらえないですか?」

...最近の私は、つくづく自分が、無力で無気力で無関心だと思い示される。


「...か、神奈ちゃん...ごめん。それは出来ないかな。」

心が痛い...なんで、今更...またアイドルなんて...。

...また、帰って来いってことなのか?

だけど、私はもう二度と踊らないし、踊れない。


「そ、そうですよね...ごめんなさい。あ、私午後から体育の授業なので、先行かせてもらいますね。」

神奈ちゃんが、笑顔でそう言って、屋上を去っていく。

彼女が走っていった地面に、水が落ちた跡が出来ている。


「...な、なんでこう上手くいかないのかな...人生は...」

私は、返してもらったばかりのヘッドホンを耳に当てて、倒れ込む。

...こうやって、現実逃避をしている時間と神奈ちゃんと話す時間だけが私の今の生き甲斐だった。

なのに...神奈ちゃんを傷付けてしまった。

...来世は踊りに無縁な生活を送りたいものだ。


「逃げるんですか?」

ヘッドホンで、曲を再生しながらも、その声が耳にすっと入ってくる。


「逃げる?それは違う...方向転換しただけだ。」

...そう、あの時、アイドルになろうと必死で頑張ってた、けど、アイドルになれても、本当に笑顔にしたかった人を笑顔に出来なかった...

これは...選ぶ道を初めから間違えてただけ...逃げたんじゃなく、方向転換しただけだ。


「けど、今さっきの子のお誘い断りましたよね?」

透き通る声が、ヘッドホンをまた貫通してくる。

辺りを見ましても、誰もいない...心の声なのかな?


「...あれは、私が失敗して、あの子の夢を壊したくなかったら、とった行動で...断るしかないじゃない。神奈ちゃんの夢は壊せない、絶対に。」


「そうですか、なら彼女の夢を壊したくないなら...断った時点で彼女の夢を壊したことになりますよ。」

後ろからコツコツと靴がコンクリートを踏む音が聞こえてくる。

振り返ると...紫髪の子がいた。

私の知らない学生服を着ていた。


「な、なんで、貴方がここに?」

驚きを隠せない。

もう二度と会わないと思っていた。

それに、前にあった時とは違って、とても冷静な表情で私を見ていた。


「たまたま、とある人に用事があって来ただけです。その帰りにちょっと、学校探索したらここに来ました。」

真剣そうな顔が怖い...前の笑顔が嘘みたいだ。


「そ、そうなんですか...」

言葉が詰まる...な、なんて言えばいいんだろう。


「そんなことより...これを見てください。」

そう言って、紫髪の子が紙を見せてくる。

紙には、神奈ちゃんが今さっき言ってたアイドル大会の内容が書いてある。

参加資格をゲットするためには最低2人のグループで行くこと、大会は今日あるということ。


...神奈ちゃんは、私が昔逃げたから、そのせいで、ずっとソロ活動をしている。

そんな神奈ちゃんに、ペアがいるとは考えにくい。

つまり、この調子で行けば、踊ることすら許されず終わってしまう。


「...なんで、この大会知ってるんですか?アイドルに興味があるんですか?」


「ま、まぁ今さっきの子と織田さんが話しているのを聞いてたって言うのもありますが、私、探してる人がいるんです。」

紫髪の子が、照れくさそうに言ってくる。


「探してるって、誰を?」

本当は知っていた...初めてあった時から、もしかしたらと、思ったが彼女の真顔を見た時に思い出した。

紫髪の子が探している人が...


「昔、全然笑えなかった自分の心を溶かそうとしてくれた人がいるんです、けど、その時の私は、どう笑えばいいのか、分からなくて迷惑かけたなと思って謝りたいんです。」

紫髪の子の声が苦しそうになっている。

嫌だ...そんな声を聞くためにまた出会った訳じゃない。


「...ズルイですよ。今更...」

私は、震える声を必死に噛み殺そうとした。

けど、無理だ...無理なんだ...

感情が吐露してしまう。歯止めが効かなくなってしまう。


「そうですよね...私は、ズルイです。終わってからの事はなんだって言えます。貴方を辛くして逃げた、それなのに、今になって現れる。」

紫髪の子が下を向いてそう言ってくる。


「そ、そうですよ...遅いんですよ、現れるのが...」

気分が悪い...彼女が現れるのが遅いのを理由にして辞めたのは自分なのに...彼女に責任転換をしている。

私の方がズルイ人間だ。


「そうですね。だ、だから、貴方にはそうなって欲しくない...貴方だけには、これ以上、手遅れな選択をさせたくないんです。だからお願いします、今さっきの子の大会に一緒に出てあげてください。」

紫髪の子が、綺麗な紫髪をバサッと垂らしながら頭を下げてくる。


「か、顔を上げてください!」

思わずそう叫ぶ。

手遅れだらけで構成された私の今までの人生。

希望を絶望に塗り替え、趣味を無駄に変えてきたこの人生。

人生には分岐点があると、本で読んだことがある。

その分岐点は、いつかは訪れると毎日他人に頼っていた。

いつも...神奈ちゃんに縋っていた。

神奈ちゃんに恩を返すためにも、この分岐点に乗るためにも、そして...私に引導を渡してきた人を見返すためにも...


「やりますよ...今度こそ貴方を笑顔にするためにも...神奈ちゃんを助けられる人間になるためにも...この怠惰な人生に終止符を打つためにも。」

アイドルをやって何になるのか?

私自身の希望になる。それが他の人の希望になれば尚、良。


アイドルをやって何になるのか?

私に達成感をくれる。それが他の人の達成感になれば尚、良。


今になってみれば、あの時、あの子の答えにちゃんと向き合えば良かったなと後悔してくる。

...これが私の最後の後悔になるように頑張らないと。


時計を確認する、神奈ちゃんとの約束の時間までは、後3時間...ぐらいかな、会場に行く時間や着替えの時間などを引くと、残り2時間ぐらい。


それに、今からは普通に授業があるし、授業を早退しないと神奈ちゃんとの約束の時間に間に合わない。


「...サボるか、授業」

結論が出るのは、早かった。

急いで、自分の教室に戻ってカバンを取って戻ってきた。

いつも、捨てられないで携帯していた小さい箱を取り出す。


「あ、あの、それって何が入ってるんですか?」

紫髪の子が、不安そうに見てくる。

箱を開けると...ん??あれ?白い粉が入っている。


「だ、大丈夫ですよ、これは覚醒素材ですよ。」

ん?覚醒素材、白い粉...これ、逮捕されるんじゃ。


「織田さん?これ...罪は認めた方がいいかと...」

紫髪の子が、手錠をかけるジェスチャーをしてきた。


「い、いやー待ってください。こ、これ違います...」

そう言うと、白い粉を急いで捨てる。

粉を捨て終わると、お目当てのものが出てくる。


「...カラコンですか?」

紫髪の子が、それが覚醒素材なの?と言いたそうな顔で見てくる。


「まぁ、これが覚醒素材と言われても困りますよね。まぁ、見ておいてください。奇跡を見せてあげますよ。」

そう言って私は、カラコンを勢いよく取り出して、その勢いのまま...とは行かずに、ゆっくり慎重に目につけていく。


「...はい、完成しました。」

特に、眩い光が出るとか、魔法少女みたいに服が破けるということもなく、普通に装着し終わった。


「奇跡??って何でしたっけ...」

紫髪の子が呆れながらそう言ってくる。


「ふふ、確かに見た目は、目の色が変わっただけですよね、だけど、これが私の戦闘態勢まぁ、アイドルだった頃のアイデンティティの1部なんですよ。」

そう言うと、青色から紫色になった目を見せつける。


「は、はぁ...なるほど、と言うことは、運動性のが120%向上とかしたんですか?」


「いやー残念ながら某宇宙戦艦の十八番技を撃てるぐらいにパワーを集中させることは出来ませんけど...気持ち動きやすいですよ。」

そう言うと、腕をグイグイと天に向けて伸ばした。

うーん、多少なりブランクはあるけど全然行けるね。

流石、私と自分を褒める。


「そうなんですか、あの...それで練習するんですよね?織田さんは、相方さんが、何を踊るか知ってるんですか?」


「はい!神奈ちゃんが、私を誘ってくれたってことは...分かりますよ。」

そう言って、私は捨てられずに取っていた。

歌詞と振りが記されているプリントを取り出す。


「さぁて、これからは、アイドルと秘密レッスンのお時間なので、去った去った。」

そう言うと、私は、紫髪の子の背中を押して屋上の出口に押し寄せた。


「え?秘密レッスン見せてくれないんですか??!」

紫髪の子が、不服そうにそう言ってくる。


「はい、プライバシーポリシーがあるので、今日お時間がありましたら、会場に来てください。会場で見せてあげますよ。私の本当の姿を。」


「はい!絶対に行きます。楽しみにしてますね!」

そう元気よく言って、紫髪の子が去っていった。


「...さーて、やりますかね。」

音楽プレーヤーで曲を流しながら、昔の自分の動きをトレースしながら踊り始めた。



_______________

コツコツといい音を響かせながら、屋上から4階への階段を降りていく。

屋上からは、懐かしい歌が聞こえてくる。

再び織田さんの歌声が聞けて、とても嬉しくなってくる。


「やってますね、頑張ってください。織田さん」


「どうやら...上手いこと成功したらしいな...」

4階に着くと、私を織田さんの元へ導いてくれた人が話しかけてくる。


「はい、岸田さん。それにしても...すごい伏線の張り方ですね。織田さんを本気にさせるために、わざとあの時、岸田さんの授業を自習にして、織田さんの大切なものを奪って、私に自然な感じで再会させるなんて...」

岸田さん、本当に何者なんだろうか、他校の生徒である私を、織田さんの学校に入れるように手配してくれたり、この濃密な伏線を完璧に回収するなんて...


「それはな、織田は、私の計画に必要不可欠な存在なんだ。だから、織田のやる気を再燃させるために手伝ったまでだ。」

岸田さんが、真剣な顔でそう言ってくる。


「計画って?なんなんですか?」


「それは次期に分かるさ、君だって私は、必要な存在だと思っている、だから...手を貸したんだよ。」

岸田さんが、笑いながらそう言ってきた。


「は、はぁ...まぁ、私に出来ることなら協力させて頂きますけど...先生は、織田さんのどんな所に目をつけたんですか?」


「織田は、真面目で超人的な記憶力と分析力があるんだ、レースっていうのは、走る前にアドバンテージを取ろうと思うと、情報戦になってしまう。織田なら、絶対に他の人に負けないぐらいの情報をレース前に仕入れることが出来ると私は踏んでいる。」

岸田さんが、自信満々でそう言ってきた。


「はい、確かに...織田さんは優秀な分析者になれますね。」

織田さんと再会した時のあのレース、織田さんは、86が優勝すると言った、それは本当に当たった。

いい目と、直感と分析力があるんだろう。


「まぁ、織田さんと共闘できる日が来るのを待っておきます。それじゃあ、失礼します。今日はありがとうございました。」

そう言って、私は、織田さんの学校を後にした。


「織田さん...同じ舞台に立てる日を待ってますよ。」

彼女は、私の希望だ...彼女が本気になってくれた時、彼女が発したオーラーは、私に希望をくれた。

ありがとう。織田さん。次会うときは、笑って対応できるようにしないと...

私は、蒼い空を見上げた。綺麗だ。


_______________

タンタンと言う小気味よいステップを中断する。

いい感じにあの時の、感覚が戻ってきている。

時間的には...そろそろ行かないと、神奈ちゃん元へ。

ほかの学生は、今授業中なので、こっそり、下校する。

4階から、3階へと降りていく。そして、順調に校門に辿り着いた。


「遅かったな...織田、待ちくたびれたぞ。」

しかし、外に脱出する前にラスボスが私の前に現れる。


「岸田先生...待ちくたびれたって、わざわざ待ってくれてたんですか...」

初めて、岸田先生って言ったなと、思いながらそう言う。


「お前みたいな、問題児が悪事を働かないようにな...監視は常に必要なのだよ。」


「問題児ですか...なら、問題児らしく行かせて頂きます。」

私は、そう言うと、全力疾走で、先生の横を通り過ぎ...れなかった。脇腹をギュッと詰まられるた。


「はぅっ!...せ、先生辞めてください。」

思わず、そう叫んだ。

うう、横腹は、反則でしょう。


「ほーら、コショコショ...ふふ、降参していいんだぞ。」

先生...低レベルすぎますよ、この戦いは...

だけど、ちょっと、コショコショは反則ですからー。


「こ、降参、ギブキブ、ギブアップです。先生。」

そう言うと、先生は、やっと私を解放してくれた。


「ふ、明るくなった...織田。いい顔ができるようになった。」

先生が笑いながら、そう言ってくる。


「そうですか...別に変わりませんよ。それより早く行かせてくださいよ。」


「まぁ落ち着けよ、お前がなんでそんなに焦っているか、知っている、神奈の元へ行きたいんだろう。」


「はい、そうなんですよ、神奈ちゃんに恩を返したいんです。だから、お願いします。行かせてくださいよ。」


「仕方ないな、まぁ、私も優しいから条件付きでなら行かせ...」


「はい、やります絶対に!なので行ってきます!」

即答した、条件とか聞こえたけど、まぁ、後で聞くとしよう。


「お、おい即答...まぁ、いい行ってこいよ!楽しんでこい。」

そう言うと、先生が何かを私に向かって投げてきた。


「危な...先生これは?」

靴?...これ完全に靴だよね。めっちゃオシャレな、こんなもの投げるなんて...怖すぎ...


「お前の親からの餞別だよ、車のブレーキのノウハウを使っているから、お前みたいにアグレッシブなダンスを踊るヤツには滑りにくくて最適だろ?だから、見せてやれよ会場内の皆に、希望を与えてくれる歌姫の力をな。」

先生が、笑いながら言ってくる。


「はい!任せてください!それじゃあ、行ってきます。」

脚が軽い、会場までの距離は、そこそこあるけど、今はそこに行くまでも、新鮮で楽しい。

世界を見る目が、変わった気がする。

ものを見るビジョンが変わった気がする。


「変われたかな?私?」

蒼い空を見ながらそう言った。

うーん、空の蒼色が綺麗だ。

排気ガスが少なくなって空気がきれいになったこの世界。

ガソリンエンジンが、化石化したこの世界。

この世界も...変えられるのだろうか?


「今度は、私が変えてみせるよ!」

そう言って、神奈ちゃんが待つ会場へ走っていく。

ガソリンエンジンと言う、メリットもなく環境を壊す化石原動機なぜ、このエンジンにみんな引かれるのか...私はまだ知らなかった。

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